http://www.bionet.jp/2018/06/29/suburb-3/
小林一三翁は、住宅地案内のために、
『 如何なる土地を選ぶべきか 如何なる家屋に住むべきか 』
というパンフレットを1909年に発行した。
「 煙の大阪に住むよりも、健康的な風光明媚なミノ電沿線に 」
と打ち出し、文学の才能を発揮して、こんなコピーを綴ったのだった。
美しき水の都は昔の夢と消えて、
空暗き煙の都に住む不幸なる大阪市民諸君よ!
出生率十人に対し死亡率十一人強に当る、
大阪市民の衛生状態に注意する諸君は、
慄然として都生活の心細さを感じ給ふべし、
同時に田園趣味に富める楽しき郊外生活を懐ふの念や切なるべし。
家屋は諸君の城砦にして安息所なり。
古より衣食住といへど、実は住食衣というが自然の順序なるべし、
家庭の平和、人体の健康等、家屋の構造に原因すること少なしとせず、
世人の家屋に意を払うこと、切なる理ありというべきなり。