1人目の回答者さんの返信に、質問者さんが求めているのは、意見でなく情報と書かれておりますね。質問文からは対策案・意見を求めてると感じましたが、質問の主旨は次のように解釈してよろしいですか?
『食の安全に関して、対策案など講じているのかどうか実態・事例を知りたい』
そういう意味で情報が欲しい・・・と捉えればいいでしょうか?
(何分、回答者側も2回しか回答のチャンスがありません。上記の解釈でも、質問者さんの意図とミスマッチがあった場合は、可能な場合のみ2度目の回答をさせていただきます)
また、『第三者機関によるヒアリング』という表現をされていますね。既に質問者さんの中では常識に当たり、確認するのも大変失礼ではありますが、現行制度上で既に『外部監査』というシステムがあります。その『外部監査機関』の例まで、まずは基本的な事から資料提示させていただきます。ただし、それが質問者さんの求める『第三者機関による調査』に合致するか、今回の回答内で十分な実例数を提示できるか保障できません。
■食の安全に関わる制度の基礎知識■
<ISO 9000シリーズ>
ISO(国際標準化機構)が定めた品質管理の規格。
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/iso9000.html
<HACCP>
米国で食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式。
http://www.shokusan.or.jp/haccp/basis/
農水省統計部:HACCP導入率の上昇
http://www.maff.go.jp/www/info/point/syokuhin-sa2006/syokuhin-sa...
大手食品メーカーは、ISO 9000シリーズ(品質管理の規格)やHACCP(食品の安全管理基準)など取得しています。認定取得までには第三者機関の厳しい審査を受けます。ですが、取得後は内部でのマネジメント(内部監査)に偏り、外部監査は簡易検査のみで済ませるメーカーもあるようです。かつて大問題になった、雪印乳業の食中毒事件はHACCP違反によるものでした。またBSE問題でアメリカ産牛肉の輸入禁止といった事件もありましたね。そのような潮流の中、外部監査やトレーサビリティを積極的に導入するべきだという主張が強まりました。
以下の大村氏なども同様の指摘をしています(概論的な内容です)。
食品の安全:第三者のチェックが重要
大和総研経営戦略研究所主任研究員 大村岳雄
http://www.business-i.jp/news/for-page/kiki/200709050022o.nwc
<ISO 22000の登場>
HACCPとISOマネジメントシステムの両方を持ち合わせる規格。
従来の規格内にあった内部・外部監査だけでなく、内部・外部コミュニケーションを取りいれました。トレーサビリティ等、原料生産者・加工工場職員・消費者らと相互で情報連携を密にとっていくことが重視されるようになります(相互コミュニケーションとも言います)。
http://www.aims.co.jp/food/22000/050216melmaga_2.htm
http://www.fd-uniform.com/04_kato/iso22000.html
http://www.emsjapan.co.jp/consulting/iso22000/about.html
■第三者機関・外部監査機関の例■
NPO法人 食品安全科学コンサルティング
(ISO22000及びHACCPに準じています。
後半に内部監査システム構築のアドバイス及び
外部監査も行うと書かれています)
http://www.npo-fss.org/consultation/index.html
ニチレイフーズの取り組み(サイト内キーワードを以下抜粋)
(検査実施機関として、中国山東省に錦築…を(株)日清製粉…と共同で設立)
(第三者機関AIB:米国製パン研究所.食品工場の安全衛生レベルを監査・指導する国際機関)
http://www.nichirei.co.jp/corpo/env/csr/value/value_06.html
ニチレイさんのTOPページで公開されてる新着情報(08.01.31)。
天洋食品と取引していないため商品回収はしていないようです。
(安全性に自信があるということですかね…)。
■問題を起こした雪印乳業は、その後ちゃんとやってるの?■
過去の事件を風化させないために対策を講じているとあり、
外部監査機関のチェックも入れていると説明はありましたが、
私は機関名まで見つけられませんでした。
http://www.snowbrand.co.jp/koudo/
第2章 お客様・消費者に信頼されるために 4ページ目
また、ISO9001内部監査員の研修を受講など、人材育成には力を注いでいるようですが、
質問者さんの追究されてる、第三者に関する情報が不明瞭であるため、これ以上言及しません。
http://www.snowbrand.co.jp/outline/activity2007.html
コンプライアンス 品質保証への取り組み 6ページ目
■政府レベルの対策■
農林水産省:食の原材料のトレーサビリティ対策
ISO9001やHACCPは工場内での食品加工内で重視される基準です。
一方で、加工前の食肉や野菜といった原材料については、
生産者(畜産農家・漁業者・輸入元)の段階から市場に出てくるまで、
トレース(追跡)するという対策案が出ました。
身近な例:スーパーの野菜などに生産者の情報が提示される等。
資料:http://www.maff.go.jp/trace/top.htm
農林水産省:トレーサビリティ関連にて、主に国内の事例が掲載されています。
また、Ⅰ-2-(8)にて「海外の動向」という報告書があります。
以前BSEで問題になったアメリカ産牛肉に関しては、
こちらのサイト後半の質疑にてトレースできないと回答されています。
http://wakayama.lin.go.jp/topics/tp025/tp025-3.htm
■その他の情報源(資料が多すぎて要約不可)■
(株)フーズデザイン
(HACCP・ISOの現場で活躍している人の解説集
各項目とも充実。リンク集に検査機関なども載っています)
http://www.foodesign.net/
笹山氏(元政治家・農水族?)のブログ
(検索上位にヒットしたので一応載せます)
引退後もBSEや食品・環境問題を扱っています。
(中国語・英語文献あり。各カテゴリーをチェック。
私は解読不十分でしたが情報量は豊富です)
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/
★随分長くなりましたが、質問者さんの『ブランドのある食品関連企業が、海外の工場についてそのような第三者機関による労働者からヒヤリング調査を実施している事例はあるのでしょうか?』に近い事例として、既出のニチレイフードさんが明確に情報開示していました。ニチレイグループ沿革を見ると、『2007年3月末現在<ISO9001>ニチレイグループ認証取得件数:20件[20組織104ヵ所]』とあり、他にもISOシリーズ取得に積極的です。
食の安全を脅かす問題の『防止策』として、上記のようなシステムが国際基準で構築されています。第三者機関による「ヒアリング」も含まれると思いますが、一般には「指導」という形で生産管理の質を保っています。
なお、全ての食品メーカーがISO 9000シリーズを取っているわけではありません。私の調べ方が悪いのかもしれませんが、今回の餃子騒動で自主回収をしているJTや日本ハムは、環境ISOとも呼ばれるISO 14000シリーズ取得をHPで紹介していましたが、ISO 9000シリーズについては明記されていません。また発端の日本生協に関しても、環境ISOの取得と、医療部会に関してはISO 9001取得という情報は得られましたが、食品部門では見つけられませんでした。
ISO 9000シリーズやHACCPの有無も大きいとは思いますが、自社の内部監査・外部監査システム等を認められた企業にて、これらのチェック機能が働いていないと、同じ問題が再発すると思います。積極的にこれらの国際基準にのっとって、PDCAサイクル(Plan(計画)Do(実施)Check(監視)Act(改善))を徹底しているメーカーは、今回のような問題発生率も低いでしょう。仮に問題が起きても、対応も早かろうと期待できます。そういう点で、質問者さんの指摘される『第三者機関』の外部監査先まで情報公開しているかどうかで、メーカーの取り組み方の違いが分かると思います。
質問者さんのご期待に添う回答か分かりませんが、今後の情報集めの参考になれば幸いです。