抵当権の仮登記を設定しました。また代表者個人にも、個人名義の不動産の処理は一任するとの約定書を自筆で書いてもらいました。
その時点で、先順位は金融機関一社のみでした。その後突然代表者が夜逃げしてしまいました。現在、会社、個人共に破産手続きを申請、弁護士が破産管財人になりました。
この場合どうしたらよいのでしょうか。破産手続きの前に設定した権利は有効なのでしょうか。どうかどうか教えてください。
1番の回答に挙げられているマンガの内容と現在は状況が異なっています。平成16年に法律が改正されたからです。
賃借権の仮登記(譲渡、転貸が出来る)抵当権の仮登記
とありますがおそらく「金銭債権を非担保債権とする抵当権の仮登記」と同時に「停止条件付き賃貸借契約」をしたのだと思います。
http://www.isdnet.co.jp/~sinkita/g0004.html
登記順位のトリックとして、「土地建物停止条件付き賃貸借契約」なるものを抵当権の設定と同時に締結することが考案された。この契約は仮登記することができる。つまり、抵当権設定と同時に停止条件付き賃借権を仮登記しておけば、債務不履行発生時に、仮登記を本登記することによって、債権者が誰よりも優先して賃借権を獲得し、結果的に、抵当権設定後に短期賃借権を取得した人に対しても、登記順位上の対抗力を獲得するという理屈である。仮にヤクザが居座っても債権者の賃借権が順位上優先するので、当然に、立ち退きを請求することが出来るのである。このような目的からこれを併用賃借権、あるいは予防的賃借権とも呼ばれている。
しかしここにあるように、
もっとも、賃借権とは名ばかりの権利であるとして、その後の最高裁判決で無効とされたこともあり、今日では使われることは無い。バブル全盛時代には、この併用賃借権の登記が濫用されたので、登記簿を見ると、今でも意味不明な賃借権の仮登記に出くわすことが多い
おそらく今回もこのケースと思われます。
そしてここにあるようにその賃借権の効力は最高裁で否定されました。
http://www.bmi.or.jp/books/bmbook99/mbook99nakata041.html#000100...
「抵当権と併用された賃借権設定予約契約とその仮登記は、抵当不動産の用益を目的とする真正な賃借権ということはできず、単に賃借権の仮登記という外形を具備することにより第三者の短期賃借権の出現を事実上防止しようとの意図のもとになされたにすぎないというべきである(最高裁昭和51年(オ)第1028 号同52年2月17日第1小法廷判決・民集31巻1号67頁参照)から、その予約完結権を行使して賃借権の本登記を経由しても、賃借権としての実体を有するものでない以上、対抗要件を具備した後順位の短期賃借権を排除する効力を認める余地はないものというべきである。」
もっとも現在後順位の短期賃借権者の出現を考える必要はなくなりました。
http://www.re-words.net/kazu/sub.php?n=1626
改正後の民法395条に規定されている建物明渡猶予制度では、建物賃借人は、建物の競売による代金を競売の買受人が納付した日から6ヵ月間は、当該建物の明け渡しを合法的に拒むことができる。
この明け渡しを拒む期間中は、建物所有者である買受人に対して、占有者(すなわち建物賃借人)は賃料と同額の金銭を買受人に支払う義務を負う。仮に占有者が買受人からこの金銭の支払を督促されたにもかかわらずこれを支払わない場合には、占有者はもはや明け渡しを拒むことができなくなる(改正後の民法第 395条第2項)。
ここが冒頭で挙げられているマンガを読む必要がなくなったという部分に当たります。
一方で抵当権の仮登記の方は生きている、破産手続きの前に設定した抵当権の仮登記は有効です。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO075.html#10000000000020...
第四十九条 不動産又は船舶に関し破産手続開始前に生じた登記原因に基づき破産手続開始後にされた登記又は不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)第百五条第一号 の規定による仮登記は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が破産手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。
2 前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。
http://tokagekyo.7777.net/echo_t1_coll/44mor.html
原則として,抵当権を目的不動産に有している者ならば誰でも〔未登記や仮登記でも〕,抵当権の存在を証する文書を提出して,担保不動産競売を申し立てることができます。
有難うございました。とても詳細に、丁寧なご回答を賜り感謝申し上げます。非常に助かりました。
有難うございましたというか、なんとも言いようの無いご回答をいただきました。なにか勘違いされているのかなあ。私のところは零細な建築関係の下請けなのです。ナニワ金融道を全巻読めとはねえ。