http://www.med.nagoya-u.ac.jp/uro/bladdertumor/boukou.html
標準的治療法は現在勧められている膀胱全摘+尿路変更となります。
対照の治療としては抗がん剤の動脈内注入療法+放射線療法が考えられます。
がんの場合、完治するのがもちろん理想ではありますが、完治するための治療によって普段の生活が非常に制限された結果になる場合は違う治療が考えられます。
もしhiraitabyさんが80歳でTUR後の生検で腫瘍が認められなければ、膀胱を温存する治療も選択枝のひとつになります。
もし、90歳で心臓が悪いような場合はTURできただけでもよかったと考えられます。
今回の場合、腫瘍の浸潤度、腫瘍の部位、年齢を考えると動脈内注入は賭けの要素が強いと思われます。
賭けというのは運がよければ膀胱を温存したままがんが根治できるということですが、賭けに負ければ局所再発して根治手術不能になるか、転移して手術の適応すらなくなるということです。
(あと、腫瘍の悪性度も関係します。一般にgrade1-3に分かれていて、3が悪いです。悪性度が高いようであれば何らかの追加治療を早く始めた方がいいでしょう。)
尿路変更ですが、確かに生活の制限はある程度出てきます。
たとえば、公衆浴場に入ったり、海水浴に行ったりは少しつらいかと思います。
海水浴ならワンピースタイプの水着を選んだり、Tシャツを着れば可能と思いますが。
しかし、昔に比べて採尿の器具はずいぶんよくなって1枚で3-4日持つようなものもあります。(採尿のバックは基本的に使い捨てで昔は接着剤が悪くって貼っても貼ってもすぐにもれて1日2-3回換えないというようなこともありました。)また、接着剤による皮膚のかぶれもほとんどなくなりました。
また、このような尿路変更や人工肛門を作った患者さんの集まりやその出口(ストーマといいますが)を管理する専門家もいます。
服を着た普段の生活では他の方からはまったくわからない状態で生活はできますよ。
最終的な判断を下すのはご自身ですが、
人生をかけるのですから悔いのない選択をしてください。
でも、結論を先延ばしにしていくのだけはお勧めしません。
無治療の期間を増やすだけですから。
どれぐらい猶予があるかは主治医の先生に聞いてみるのが一番です。
とても心に重圧がかかっていると思いますが、
健診で見つかっていなかったら、手遅れになっていた可能性は高かったと思いますので、自分の気持ちを十分に確かめて決定してください。
最後に自己治癒力が高いというのは何の根拠もない感情だけのものですので、治療選択の要素にはなりません。自己治癒力(医学的には自己治癒力の欠如する病気はありますが、自己治癒力が高いかどうかというのが議論されることはないです。)というものがあったとして、それが高ければそもそもがんは発症しませんよ。そうなる前に体はさっさと癌細胞を排除していますよ。お忘れなく。
真剣で客観的なご示唆本当にありがたく存じます。すべてが初めてで不安な中決断ができそうです。自分の甘さにも反省しています。
知らなかった情報もあり、有難く拝見できました。ありがとうございました。