→最高裁の判決では、以下のようになりました
…受取人の変更は保険契約者の一方的意思表示のみで効力をもち、保険会社への通知は必要ない。」という判決です。判決は(1)受取人変更は契約者の一方的意思表示で効力を生じる(2)その場合、新旧いずれかの受取人に通告しさえすれば変更の効力が生じる(3)保険会社への通知は必要ない(保険会社への無通知の場合は、保険会社が旧受取人に保険金を払っても責任がない)――となっています。
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この場合、金融業者が保険金を受け取った場合、法律的には、代理?、代理受領?、債権譲渡?、どの契約に基づいて受け取ることになるのでしょうか。
初心者的には、代理契約に基づいて受け取っているように思えるのですが、違うのでしょうか。
受領です。
念書(この場合遺言書)が無ければ内妻は相続放棄し借金を帳消しにし(他財産も相続出来なくなりますが。)、生命保険を受け取る選択が出来たんですが、念書というか、遺言書で受取人が変更されてしまっているんで受取り権利を喪失してるんです。
※生命保険は相続財産では有りません。(例外有り)
以前に引き続き回答ありがとうございました。
http://law.leh.kagoshima-u.ac.jp/STAFF/uneme/kyouzai/5Schuld8-2....
債権譲渡の場合は、第三者対抗要件が債務者への通知であるため、当該判例の趣旨に反しており、債権譲渡ではない。
http://www.takahara.gr.jp/office/faq_dousan05.shtml
代理受領も債権譲渡同様第三者対抗要件が債務者の承認となっており、判例の趣旨と相違する。
http://www.houko.com/00/01/M29/089.HTM#s1.5.3
民法の条文から解釈する限り代理は本人の同意があれば有効となるので、判例の趣旨に合致する。よって代理と解釈するのが一般的です。
以前に引き続き回答ありがとうございました。
http://www.ab.cyberhome.ne.jp/~youiti/sisutemu/souzoku/igonn/303...
1の再回答です。
遺言の効果は死後にのみ効力を発揮し、また、執行行為が必要となります。
つまり、A氏が死んだ時点では保険金受取請求権は内妻にあります。
金融業者は、内妻から保険金受取請求権を得る形になるので、債権譲渡になります。
受取人の変更とは言っても、生前に変更されるわけではありません。
保険金受取請求権の移動について考えると、
A氏死亡
↓
相続後、内妻に3000万円の債務と3000万円の保険金受取請求権
遺言により、内妻の保険金受取請求権は金融業者へ
↓
A氏の債務が無くなるので、内妻が相続する債務も無くなる
という感じです。
それをふまえて代理、代理受領について考えると、
代理は、回答3にあるように「本人の同意」という点ですが、この場合の本人は、債権を保持してる人間、つまりA氏ではなく内妻です。
A氏が持っているのは「受取請求権を与える権利」であり、受取請求権そのものではありません。
代理受領については、相続後に内妻が3000万円の借金を負うことになるので一見そう見えますが、相続するまでは、内妻に債務が発生しません。
そして、
相続する=保険金受取請求権を金融業者に移動する
ですから、保険金受取請求権をすでに得ている金融業者は代理受領をしたくても出来ません。
要するに「内妻の債務相続」と、「金融業者への保険金受取請求権移動」が同時に発生する。というわけです。
論理的で明解な回答ありがとうございました。
<<A氏が持っているのは「受取請求権を与える権利」であり、受取請求権そのものではありません。</p>
この説明でスッキリわかりました。
「第三者のためにする契約」に基づき受け取ることになります。民法537条の特別法である商法675条が条文上の根拠です。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M32/M32HO048.html#10020000000100...
第六百七十五条 保険金額ヲ受取ルヘキ者カ第三者ナルトキハ其第三者ハ当然保険契約ノ利益ヲ享受ス但保険契約者カ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ其意思ニ従フ
http://ichigo-law.net/sakamoto/law-18.html
7 第三者のためにする契約(B)
「第三者のためにする契約」とは,契約当事者でない第三者が利益を受けるという内容の契約である。典型的なのが生命保険契約で,Aが保険者(保険会社)として,Bが自分を被保険者,自分の妻Cを受取人としてAと生命保険契約を締結し,自ら保険料を払い込んだとすると,生命保険契約はAB間の契約であるが,Bが死亡した場合に保険金を受け取るのは第三者であるCである。
民法上第三者のためにする契約の効力が生じるためには第三者の受益の意思表示が必要なのですが特別法たる当該条文でそれが不要とされています。
http://ichigo-law.net/sakamoto/law-18.html
第三者のためにする契約について,民法は次のような規定を置いている。
・ 第三者の権利は,当該第三者による「受益の意思表示」によってその効力を生じる(537条2項)。ただし,保険契約の場合は商法で特別の規定が置かれ,受益の意思表示は不要とされている(商法648条,675条)。
・ 受益の意思表示をした後は,当事者は第三者の利益を変更したり消滅させたりすることはできない(538条)。ただし,契約の相手方に対する抗弁は第三者に対しても主張することができる(539条)。
「死んだお父さんが生命保険をかけてくれていたみたいで僕に保険代金が支払われたよ」というのもこれが根拠です。
問題となった質問
http://q.hatena.ne.jp/1152406555
の正解たる判例でも中下段辺りを見ていただくと、
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/388615D8FD20868149256A8500311...
保険契約者が保険金受取人を変更する権利を留保した場合(同法六七五条一項但書)において、保険契約者がする保険金受取人を変更する旨の意思表示は、保険契約者の一方的意思表示によつてその効力を生ずるものであり、また、意思表示の相手方は必ずしも保険者であることを要せず、新旧保険金受取人のいずれに対してしてもよく、この場合には、保険者への通知を必要とせず、右意思表示によつて直ちに保険金受取人変更の効力が生ずるものと解するのが相当である。
とあるように商法675条を根拠にしていることがわかります。
尚、本件は単なる「念書」であり遺言ではありません。しかし判例上遺言による受取人の変更がなされたときも第三者のためにする契約675条を根拠にある一定の条件の下で認められるとしています(東京高判平成10年3月25日の判例なのですが残念ながらネット上では見つけることができませんでした。類似の判例を添付しておきます)
http://72.14.235.104/search?q=cache:_Y3e5u0EVVQJ:courtdomino2.co...
本件遺言による保険金受取人の変更もこれが許容されるというべきである。ところで,被告は,本件遺言による保険金受取人変更の効力が生じない根拠として,保険契約者が保険金受取人の指定変更権を有する場合において,その権利を行わずに死亡したときは,保険金受取人の権利は確定する旨を定めた商法675条2項をあげるが,保険契約者が遺言によってその変更権を行使したときも,その意思表示自体は生前に行われているのであるから,死亡までにその権利を行ったものと解すべきであり,商法675条2項の規定は,遺言による受取人変更を何ら妨げるものではない。
またこの場合代理権ではありません。
代理とは、
http://ichigo-law.net/sakamoto/law-8.html
他人の意思表示によって成立した契約の効果が本人に帰属する制度
です。
この場合代理人のした代理行為は原則として本人に帰属します。
http://www.houko.com/00/01/M29/089.HTM#s1.5.3
第99条 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
本件の場合保険契約者Aが保険金受取人を変更する旨の意思表示により金融業者はあくまでAの代理人としてではなく保険金を受け取るべき当事者すなわち保険金受取人として受け取っているのです。
最後に、確かに保険金を受け取る事実行為そのものは「受領」ですがその法的根拠すなわち何に基づいているかがここでは問題になっている。論点が異なります。
第三者のためにする契約だったんですね。
代理でも、債権譲渡でも、代理受領でもなく…。用語の定義と、類似判例を交えてわかりやすく説明していただきありがとうございました。
http://fp-murasaki.whoa.jp/fp/test/06.html
保険契約者、またはその継承人は被保険者の同意を得て、保険契約者、保険金受取人の変更をすることが出来ちゃいます。
保険約款の規定を平たく説明したものです。
→あくまでも保険者が保険金受取人の変更ができるため、債権譲渡ではないのです。受取人を変更して代理受領をしたわけです。
ありがとうございました。