http://q.hatena.ne.jp/1162404161
と近い質問ではあるのですが、
例えば、ある特許を取ったプログラム(今はプログラムも特許取れるはずですよね?)
を、あるフリーソフトが侵害したとします。
(著作権とは違うから、範囲に入ってりゃオリジナルで考えようと侵害なんですよね?)
その時に、自社が実施してなかった場合、損害賠償はどのように請求できるのでしょうか?
相手はフリーソフトなので実施料は0ですよね?
で、例えば、もし売った時の代金…という形だとすると、
例えば、ソース○クスト社が訴えると、1本1980円となって、アド○社が訴えると、1本39800円とかで請求できるわけなのでしょうか?
それとも、幾らでも根拠の無い主張が出来る?
また、実施許諾料相当分にしても、前例が無かったとしたら、自分で勝手に額を決めて主張できるのでしょうか?
(いかんせん、相手がフリーだったら、5%とかそういう数字にもできないし)
それとも、
ソース○クストだったら、200円/本くらいで、
アド○だったら、3000円/本という風に、
それまでの販売しているソフトの価格帯に縛られちゃったりするのでしょうか?
そういった損害賠償をする場合は、
フリーソフトの普及状況と自社製品の人気や売れ行きなどの評価から、そのフリーソフトが存在しなければはもっと売れていたはず!というおおよその損害額を計算してから請求します。
例、ソース○クスト社の製品がフリーソフトが無ければ1万本は多く売れていたはずと計算した場合は
1980円×10000本=19800000円
裁判になれば裁判官が損害賠償額と被告の支払い能力を比べて、被告が金持ちだったら全額請求を了承したり、払えそうに無ければ減額したりします。
http://www.tohoho-web.com/wwwxx051.htm
かつてまさに想定されている通りの問題が発生しました。
ライセンスの結び方にも寄りますが、
一括5,000ドルの特許料を徴収
という形態も合ったようで、事実上特許権者の言い値です。
損害賠償という形になったとしても、「うちはこういう商品を作って儲けるつもりだった」というのはいくらでも言えます。
ただ、この場合示談でなければ裁判で認められる必要があるので既存のソフトの価格は参考にはされるでしょう。
もっとも実際に特許を取れるような技術であればもっと大もうけできる可能性も含んでいるわけで一般に「これくらい」とは言いにくいとは思います。
へええ。GIF問題って聞いたことはあったけど、経過を見たのは初めてでした。
面白いですねー。
>「相手はフリーソフトなので実施料は0ですよね?」
ここが、ご質問の肝になるのでしょうか。
上記のようなフリーソフトですと、まず基本に戻って、このフリーソフトの配布行為が「事業」としての実施となるか否かが問題になります。
特許権の効力については、「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。」(特許法68条)と規定されています。そして、「業として」とは、広く事業としてという意味に解されています。
本件の場合において、フリーソフトが単に趣味として作成されて「みなさんどうぞ使って下さい」と公開したのであれば、そもそも業としての実施に該当しないといえます(つまり特許権侵害とならない)。このような場合には、特許権侵害というスタンスではなく、故意過失の有無・逸失利益の有無・・・が問題となりますね(民法709条等)。実施料相当額等の規定は特許権侵害の場合の特別規定ですから、この場合には使えないことになり、逸失利益の立証などは本当に難しいでしょうね。
一方、フリーソフトが他の商品(例えばフリーソフトとして圧縮ソフト、他の商品として画像編集ソフト)の販売のためのツールとして利用されている実態があれば、これは業としての実施といえますね。この場合、フリーソフトを無償配布した根拠となっている「他の商品」を基準に損害額を主張すればよいと思います。例えば、「他の商品」にフリーソフトがセット販売されているとして「他の商品」の価格をもとに損害額を主張するという形が挙げられますね。
ご質問が多岐にわたるようなので、とりあえず特許権侵害とは?という基本に立ち返ったところの一部についての話をしてみました!
つまり、配布や譲渡をする場合、
有償で配布/譲渡する場合だけが業としての実施で、
無償で配布/譲渡する場合は業としての実施には当たらないということですね?
(セット配布などの形で無い限り)
僕はてっきり、有償/無償に関わらず、
いわゆる個人使用や試験研究のための使用以外は全て、
業としての実施、(たとえお金が入らなくとも)
になると思い込んでいました。
ってことは、業としての実施と、個人使用及び試験研究と、そのどちらにも当たらない非業非個人という領域もあるということですね。
難しいなあ。
http://www.meti.go.jp/policy/ipr/infringe/remedy/remedy03-1.html
特許権侵害事件における損害賠償請求は、まずは民法第709条が根拠条文となります(不法行為による損害に対する賠償請求)。
しかし、民法第709条に基づく損害賠償請求では、損害額を立証しなければならないのは特許権者です。特許権侵害の場合は、損害額を立証するのが難しいですから、損害額の算定を容易にするために、特許法第102条において、損害額を推定する規定が設けられています。
特許法第102条は、損害額の立証のために、三つの手法を示しています。
一.第102条第1項: 特許権者の損害額=権利侵害者が販売した侵害構成物の販売数量×単価当たりの利益額-特許権者の実施能力
二.第102条第2項: 特許権者の損害額=権利侵害者の利益額
三.第102条第3項: 特許権者の損害額=特許権者の実施料相当額
上記三つの手法のうち、一及び二、すなわち、第102条第1項及び第2項に基づく損害賠償請求は、特許権者が特許発明を実施していない場合には、請求をすることができないという解釈が有力です。特許権者が実施をしていなければ、権利侵害者が実施したとしても、逸失利益の発生を観念することができないからです。
これに対して、三の第102条第3項に基づく損害賠償請求は、特許権者が特許発明を実施していなくても、請求することができます。特許権者が実施をしていなくても、特許権者は、実施権者に実施をさせて、その実施の対価としての実施料(ロイヤリティ)を受け取ることが可能であり、その実施料の不払い分を最低限の損害の額と考えることができるからです。
以上のことを前提に、ご質問に回答します。
特許発明であるプログラムを、フリーソフトが侵害した場合に、自社が実施していなければ、第102条第3項に基づく損害賠償請求しかすることができません。つまり、他人に対する実施料相当額を損害の額として請求することになります。
> 相手はフリーソフトなので実施料は0ですよね?
実施料には、一時金(イニシャルロイヤリティ)と、販売額に応じたランニングロイヤリティとがあるようです。イニシャルロイヤリティとランニングロイヤリティとを、どのように組み合わせて実施料として定めるかは、交渉、契約によるのでしょう。無償で配布したとしても、特許権者は一時金を実施料として請求することができると考えられます。
> で、例えば、もし売った時の代金…という形だとすると、
自社は実施していないのに(販売していないのに)、売った時の代金というのは、矛盾しているように思えます。実施していなければ、自社製品の価格が損害賠償請求の損害額の根拠となることはないでしょう。
> それとも、幾らでも根拠の無い主張が出来る?
この質問は、特許権者が主張をすることが物理的に可能であるかという質問と、裁判所でその主張が認められるかという質問との、両方の意味を含んでいます。
根拠がなくても、交渉の結果、侵害者が実施料の支払請求に応じて支払うことは可能です。しかし、根拠がない主張に侵害者が応じなかった場合には、最終的に実施料は裁判で決めるしかなく、このとき根拠のない主張は裁判で認められないでしょう。
裁判所では、業界における相場(業界に相場がなければ、他の業界を参考にした相場)と、諸般の事情を総合的に勘案して実施料を定めることになると思います。
だったら、全く同じ特許権の侵害であって、
状況が何の差が無かったとしても、
原告がソース○クストじゃなくてアド○だったりしたら、
39800円×10000本=39800万円
と、額が大幅に変わってしまうのでしょうか?
すなわち、幾らで売れたはず、というのはその会社の他の商品を見て決められるものなのでしょうか?
そこが知りたい。どのように推定されるのかが。