なんとなく違憲立法な気もしますが、具体的に憲法のどの条文に違反しているのかとなると、指摘することができません。
「放送法第32条は、これこれこういう理由で違憲と考えられる」(もしくは、これこれこういう理由で違憲ではないと考えられる)
というのをビシッとご教示ください。
当方法律を勉強しはじめたばかりなので確かなことはいえませんが、自分の復習代わりに回答させていただきます。
全く的外れのことをいっていたらごめんなさい。
まず、放送法第32条により、受信設備を持っている人は協会と契約をしなければならず、同37条4項に定められているとおり、受信料を支払わねばなりません。
このことが、財産権の保障(憲法29条)に反している恐れはあります。
ただし、財産権のような経済的自由権というのは、「信教の自由」のような精神的自由権に比べて憲法による保護が弱いんですね。
法律が財産権を侵害しているか、という判断は、基本的には立法府の裁量に任されています。立法府が作った法律に関しては「合憲性の推定」というのが働き、よっぽど不合理な財産権の侵害でないかぎり違憲にならないわけです。
そこで、この放送法32条を見てみると、そこまで不合理とはいえません。NHKがあまりにも公共的機能を失っている、というのなら不合理といえますが、現状ではそうもいえそうにありません。
となると、この放送法32条が29条違憲である、というのは難しいと思います。
『NHK受信料契約は契約の強制であり、憲法19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」に違反する』という説があるようです。
これとは逆に『公共の福祉のために放送しているNHKの維持のため、受信料を徴収する契約強制なので憲法違反ではない』との考え方もあるようです。
しかし、現状では『違憲立法審査権を持つ最高裁判所の判断がでていないので違憲であるか違憲でないかの結論はでていない』というのが回答になるのではないでしょうか?
放送法第32条の規定は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に対して、法の強制力をもって、一律無条件に受信契約の義務を課しています。
これは受信料の存在を実質税金と同等のものとしているということであり、日本国民は憲法第30条に定めるところの納税義務しか負わないにもかかわらず、NHKという一法人に対してこれを義務づけることは、憲法の保証する財産権を侵害する可能性があると言えます。
したがって、放送法第32条は、正しくは「協会の放送を受信しようとする者」としなければならず、そうでなければ、受信料と税金とは違うとするNHK自身の主張とも整合しなくなります。
【参考】
放送政策研究会(第22回会合)議事録より抜粋
- 日時 平成13年11月1日(木) 18時00分から20時10分まで
- 場所 総務省901会議室
- 出席者 (1) 研究会構成員(敬称略)
塩野宏、辻井重男、伊東晋、岡村黎明、小塚荘一郎、白石忠志、鈴木秀美、中村清、羽鳥光俊、濱田純一、早坂禧子(11名)
(2) 総務省側 高原情報通信政策局長 他- 議事 公共放送の在り方について(ヒアリング)
発表者
日本民間放送連盟 酒井専務理事ほか
日本放送協会 菅野副会長ほか
○日本民間放送連盟の発言
「NHKの財源そのものである受信料は極めて税金に近い性格のものでございまして、私どもはそう考えているわけですが、この受信料が効率的に使われているか否かという疑問は、特殊法人における補助金問題と同様の観点から検討すべきであるというふうに考えております。」
○日本放送協会の発言
「先ほど民放連さんのご説明の中で、受信料が極めて税金に近い性格のものだったということがございましたので、これは私どもの基本的な性格にかかわることでございますので、ちょっと反論させていただきたいと思います。」
「受信料は、確かにご存じのように、それは放送法に基づいていることは事実でございますけれども、これを実際に国民の方からいただくというのは、税金みたいに強制力があるわけではございませんので。一つは番組によって信頼感を得る。これは読売新聞の調査でNHKに対する信頼度というのは82%という数字もいただいております。そういう数字があって、初めて私どもが一人一人受信者の方の理解を得て、受信料をいただけるのかなということで、極めて税金に使いというおっしゃり方をされると、これはやっぱり違うのではないかなということを申し上げておかないと(以下略)」
このように、受信料の存在を合憲とすることが出来るのは、あくまでその徴収に強制力を持たせないという大前提があるわけです。
したがって、法の強制力を持って、単に受信「できる」設備を設置するだけで一律無条件に受信契約の義務を課す放送法第32条の規定は、それを厳密に運用すれば違憲となると、NHK自身が認めているということが出来るでしょう。
受像機設置を根拠に徴収する行為については、「租税法律主義(憲法80条)に基づき、放送法で特別目的税を決めた」とする以外に合憲となる道はないと思います。で、政府もそのように見なす方向なのかなと思っています。(このへん、禁反言!とか言って効果あるんだろうか??)
そのような税を、一法人に徴収代行をさせ、そのまま徴収額を半ば自由に処分させていることの是非を問題にする手もあるかと思いますが‥道路やらのあたりで一法人が実質使ってたような特別税は、あるかもしれませんから、こちらも望み薄か。
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