小説部門 - 400字程度。「萌理学園」が舞台です。最優秀作品には200pt進呈。
今回のテーマは「夏休み」「合宿」「海・山」「水着」(複数選択可)です。
原作部門 - 200字程度。「萌理学園」の設定です。最優秀作品には100pt進呈。
人物・組織・場所・異能などの設定を募集します。
イラスト部門 - 「萌理学園」の設定です。最優秀作品には200pt以上進呈。
今回のテーマは「夏休み」「合宿」「海・山」「水着」(複数選択可)です。
最大600×600(ドット絵は16×16以上、顔アイコンは100×100)の画像サイズ、
JPG・GIF・PNGいずれかの画像形式で、画像を貼るかリンクしてください。
投稿作は、「萌理Wiki」他、萌理賞関連サイトへの転載をご了承ください。
なお「萌理学園」の設定に基づく二次創作は、誰でも自由に制作可能です。
ゴス・ヴァン【Goth-Vam】
萌理学園第13代生徒会長:黒深九創(くろみ・くきず)が好んだファッションの傾向をその信奉者たちが模倣し、ティーン誌「D-induS」にとりあげられたことにより定着した。元来ゴシックに内包されていた猟奇的趣向に著しく傾倒した文化、ファッション・スタイル。ゴシックのそれとの最大の相違点は十字架を極端に嫌い、排斥する傾向にあること及び獣牙を模した刺青を必ず唇の下に彫りこんでいること。Gothic-Vampireの略。
『いつも何か忘れてる』
幽霊部合宿。今年は海。
「ねえ。海と湖って何が違うの?」
「えーと、まず……」
「うー! みー!」
「じーざす!」
生者の僕の話はいつものように無視されて、幽霊達は海に向かって駆けていく。
僕は荷物の横に腰を下ろし溜息をつく。あの人達はいつも何かを忘れてる。礼儀とか。僕とか。
「何で溜息?」
「うわっ」
クーラーボックスから生首が生えていた。微笑っている。
「やめて下さい。そういうの!」
生首はクスクスと笑いながら上昇し、黄色いワンピースの水着が現れた。向日葵が良く似合ってる。
「そんなに見ない」
「せ、先輩は、泳がないんですか?」
僕は顔を海に向ける。視線はそのまま。
「私は水着が着たかっただけだから」
微笑んで海を見つめる先輩の横顔。悪くない。今日くらい、忘れても。
「ぎゃああああ!」
そして砂浜に響く悲鳴、海から立ち上る光の柱、蒸発し空に昇っていくのは部員達。
「あ」
その日、96名が成仏。4名が霊体を70%以上消失し活動停止。6名は海に入ってない。合宿不参加、いわゆる幽霊部員が2名。
合宿は続行。
投稿ありがとうございます。「幽霊部」がユニークな設定。「生者の僕」がどういう位置付けなのか興味深いですね。マネージャーみたいな?
『永劫線上の夏休み少女』
屋上の扉を開けると、視界一杯に夕焼けが広がった。
彼は部活動の喧噪を耳にしたが、真実を知った今、遠い異世界から届いたかのように聞こえた。
少女はゆっくりと振り向き、今日は部活に出ないの、と小首を傾げた。夏休み明けに大会なんでしょう、みんなあなたの活躍を楽しみにしてるわ、もちろん私も。
彼は首を横にふった。新学期を取り返しに来たんだ、どうやってこの永遠の夏休みから抜け出す、なぜきみはこの状況を仕組んだのか。
少女はうつむいて乱れた髪を直した。永遠の夏休みはいや? どうしても新学期がほしい? あそこにはなにもないよ?
「大会に出て力を試したいんだ」
「嘘つき。あんなに怖がっていたくせに。自信なんてないくせに。」
「それでも出なくてはいけない」
「虚勢を張らなくてもいいのよ。わざわざ傷つく必要なんてないのだから。そんなあなたを私はみたくない」
「けれどもその傷が俺には必要なんだ」
投稿ありがとうございます。ループ時空とそのモラトリアムを脱して成長しようとする物語。「時かけ」みたいにすごくジャンプしたりすると絵になりますね。
小説部門に投稿です。
ところてん式彼女
隣家の幼馴染、がめつい舞と関係を持つに至った経緯を記す。
舞の金に対する執着心は懸命な蚊よりも粘土質で、夏場の冷房代を渋り、おれの部屋に頭大の筒を接合し、クーラーをつけた際の冷気を彼女曰くおっそわけしてもらうまでに至る。
さらに冷気ならまだしも、深夜、「ぴぴぴぴぴ」と鳴き夜食を乞う。筒からピザを流せというのだ。
おれは無視を決め込み毛布をかぶる。するとやつは逆切れをおこし、ストーブから吹き出す暖風を筒から流しこむ。
そんな悪魔が、今横でピザを食べている。
あの寝苦しい熱帯夜、おれは軽度の熱射病にうなされていた。その呻き声でも聞こえたのか、舞から見舞いに行くと電話があった。
しかし、いつまで経っても来ない。心配になり、筒から声をかけようとしたとき、それが聞こえた。
「お姉ちゃん、途中で詰まった」「じゃあ後ろからおじやで押すね」「熱くない?」「熱いよ」「やだなぁ」「べとべとになったらたっちゃんに舐めてもらったら?」
ところてんのように噴き出してきた舞に押し倒され、十七歳夏の体験は始まったのだ。
投稿ありがとうございます。タイトルのつかみは最高。筒を接合するのも楽しい。ラストが気になります。「ところてんのように噴き出して」来るのかぁ…プッチンプリンみたいにぷるるんと飛び出して来たら可愛いのに!
小説部門への投稿です。
「夏季休暇断固粉砕」の垂幕。
校舎を包囲する生徒会部隊。
机で組んだバリケードの間で、彼女はうつむく。
もういいでしょう、と俺は言った。
彼女は答えない。
荒れ果てた教室。横たわりうずくまる、人体の群。
もう、いいでしょう。俺はもう一度言った。
彼女は首を振る。
遠くから蝉の声、スピーカーから降伏勧告。
俺、待ちますよ。
彼女はようやく顔を上た。
全部終わったら、海に行きましょう。約束どおり。
ね、先輩。
「いくら補修が嫌だからって、学校ごと占拠する人がいますか」
「仕方ないじゃない、出来ちゃったんだから。隙を見せた方が悪いのよ。
あ、でもね、今度のことで補修組には深い友情が芽生えたわ。俺達バカだけどやれば出来る!みたいな」
「その熱意を勉強に回したらどうです」
「アーアーキコエナーイ」
先輩はそう言って笑うと、スカートを翻して振り返った。
「じゃ、君は早く宿題を終わらせるのよ。後半は遊びまくるんだから!」
「言われなくても」
「よろしいっ!」
そう言って校庭の真ん中まで走ると、学園中に響きわたる声で、先輩は叫んだ。
「夏休みだーっ!!」
投稿ありがとうございます。学園闘争もの。「夏季休暇断固粉砕」…夏休みが嫌いな生徒なんていません! みんな補修に反対なんですよね。でも校舎を潰すわけでもない。爽やかな話なんで、含みを持たせず、補修でどう困るのか、ポンと説明していいと思います。
涼をとるなら
夏休み初日、いきなり暇を持て余した俺は学園に足を運んでいた。中庭でぼんやりしていると、制服姿の女子生徒が俺に話かけてくる。
「あれ、ひとりなんて珍しいね。彼女は?」
「部活の合宿」
「あんたは行かないの?」
「俺は帰宅部だから」
「ふうん。じゃあさ、帰宅部同士で合宿に行かない?」
「どこへ」
「山とか」
「海の方がいいだろ。水着も見れるし」
「あんたスケベだねえ」
「男はみんなそうだよ」
「でも山の方がエロいよ」
「どこが」
「ほら、このふたつの山に登頂したいと思わない?」
そう言いながら彼女はブラウスの胸元をはだけてみせる。深く切り立った渓谷が目にまぶしい。
「確かにその山には非常に興味をそそられるが」
「だったら」
「でもやめとく」
「なんで」
「その山に登って帰ってこれた者はいないから」
「へえ知ってたんだ、つまんないの」
そう言うと彼女はひんやりとした冷気を残して夏空へと消えていった。夏休みになると決まって現れる彼女は、かつてこの学園の生徒だったと聞く。俺は空を見上げながらしみじみと呟く。
「涼をとるなら地縛霊に限る」
投稿ありがとうございます。(大きい)胸を山に喩える台詞のインパクトが大きいですね。私なら食べ物に喩えるでしょうか。「プッチンプリンみたいにぷるるんと飛び出して来たら可愛いのに!」
小説部門ですー。
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『輝くような空の下』
合宿最終日、快晴続きで朝から蒸し暑い。元々笑わないギン先輩が眉を顰めっ放しだ。原因は自分。
「駄目だ。本当に全国行けると思ってるのか、八幡」
「すいません」
吹き出る汗より目の奥が熱い。
「駄目だよギンちゃん。りょーちゃんいぢめちゃ」
泣きそうになった所で、明里先輩が部屋に入ってきた。
「虐めてない。アカリが甘いだけだ」
「甘くないもん。それよりさジュース飲もうよぅ」
「…休憩してくる」
先輩達が部屋を出て行く。汗も涙も拭く時間が勿体無い。数十回目のおさらい。
「りょーちゃんおいで」暫くして明里先輩が一人戻ってきた。「休憩しよ?」
ラウンジで、おごりの缶ジュースを手渡しながら明里先輩は小さい声で耳打ちした。
…トイレから女子がすすり泣く声が聞こえる。きっと自分のように先輩に絞られたんだろう。
「ギンちゃんね、全国に行った事無いのがプレッシャーなの」
「でも、足引っ張ってるのはオレです」
「バカっ。今おトイレでめそめそ泣いてるのギンコちゃんだぞ。自分の指導力が足りないって毎日メール送って来るの。『竜斗と一緒に全国行きたい』て」
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400文字制限がきついですね。。。今回もオーバーですすいません。
あとタイトルとかネーミングのネタが尽きてきました←駄目だこりゃ
投稿ありがとうございます。おお~この字数で、三人の関係を描いて、軽い叙述トリックのオチも入ってます。ただ「八幡=りょーちゃん=竜斗」という風に呼び方を変えることで、発言の立場を表せますが、パッと見だとやや複雑で混乱しますね。
『梅雨明けのジレンマ』
途方もなく長い休暇を控えたある日の放課後。
僕らはいつものように無為な時間を過ごす。
二人で使うには広すぎる部室。
不意に彼女が呟く。
「夏休み、どこか行こっか? 二人きりで」
僕は彼女の顔を正面で捉える。
「どうして?」
「ほら、これから暑い日が続くし、ずっとここに居ても退屈だしさ」
君が逃げ出したいだけなのだろう。
本心を言わない彼女は、臆病者だ。
知っていて答えに迷う僕も、また臆病者だった。
急に彼女が視界から消える。
僕の背に、ふわりとした重みがかかる。
「行くの、行かないの?」
柔らかな感触。
風に揺れるカーテン。
遠くから聞こえてくる蝉の鳴き声。
左腕に巻かれた包帯と、右腕に巻かれたあいつの腕時計。
愛おしい左腕と、憎らしい右腕。
僕は文字通り、彼女の両腕に支配されている。
「行こう」
ぽつりと放った言葉が、彼女を笑顔にさせる。
笑顔の裏で、いつまでも泣いている女の子を、僕は知っている。
「どこに、行こうか?」
「遠くへ。戻って来られなくなるくらい、うんと遠くへ」
それでも僕たちは戻ってくるだろう。
同じ道は二度と通れないと知っていても。
彼女の腕時計だけが、夏の時間を淡々と刻んでいく。
投稿ありがとうございます。爽やかで少し切ない青春もの。包帯と時計が「ジレンマ」なのでしょうが、「遠くへ」行くという結末は、時計(と包帯)を外したら解放感が出ると思いました。でも好みの問題かな。
タイトル『Never Let Me Decide』
転校生は辻斬りだった。
なぜそれを僕が知っているのかというと、僕は対「日本刀を持った気違い」戦士として学園に送り込まれた人間で、
人一倍以上にそういった気配には敏感だからだ。当然、転校生は転校初日から僕の監視対象になった。
しかし、転校生の得物は妖刀の類らしく人を斬っても外傷を与えず、斬られた被害者は少し気を失ったあと、
みな一様に迷いの晴れたような、スッキリした顔をしていたりするし、尾行はすぐバレて「同行」になるし、
なにより、笑顔で通行人に斬りかかる転校生に、僕は戸惑っていた。
でも夏休みになって、街中で辻斬りをするようになってから、転校生がおかしい。
辻斬りに適さない服を着てきたり、薄く化粧をしてきたり、こっちをチラチラ見てきたり、
目が合うと顔を真っ赤にしたり、手をつないできたり、今だって、会うなり急に抱きついてきた。
僕は内心驚きながらも両手を上げて降参のポーズをしながら、転校生に尋ねる。
「今日は誰を斬るの?」
「わたし、たち」
すると転校生は僕に密着したまま、僕の背中に刀を突き立てると、そのまま僕と転校生を串刺しにしたのだった。
(終)
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・466文字すいません
・お疲れ様でした
投稿ありがとうございます。ああーこういう展開もアリなんですね。一行目と最終行だけ読むと壮絶ですけど、上手くひねった展開になっています。
『サロメの恋人』
彼女は、名前と身体に夏を持っていた。
一年の内に、夏だけ存在した。
文字通り、きっかり四分の一だけ。
僕は臨海学校の授業を抜け出して、波飛沫の打ち寄せる岩場に夏を連れて来る。
クーラーボックスの蓋は開いている。僕は泳ぐ夏を見ていた。
彼女の身体は、首の少し下からが海に溶けて、波が来る度に濃さがゆらゆらと変わる。
りん、と無人の海の家から濁った水晶のような風鈴の音がした。
泳ぎ疲れたのか、夏が岩場に戻ってくる。
「泳いだ?」
彼女の頬にそっと手を差し伸べる。
「……うん」
夏は俯き頬を染める。
「えっちいことできなくてごめんね」
「いらない」
「ちゃんと身体のある人と付き合ってもい……あっ」
不安げに呟く夏の口を唇で塞いだ。一回のキスで、何年分もの味を感じるように深く。
やがて顔を離すと、ゆっくりと眼を開いた彼女に囁いた。
「他の誰の4倍よりずっと、夏の事が好きだ」
海中に浸した指が、するりと逃げるように掻き回された。
夏を抱き締めることはできない。
それでも、彼女はそこにいて、僕は確かな季節を感じているのだった。
投稿ありがとうございます。クーラーボックスに入れて来たんですね。普段は冷蔵庫? 設定だけでなく文章も良いです。
初投稿ありがとうございます。ファッションに関する設定は初めて。ゴシックとヴァンパイアは相性が良さそうです。