・くるむへとろじゃんの「へろ」 不条理日記(吾妻ひでお)
漫画に出た時は実在しなかったが,後にファンが同人誌で発行したというマニアには有名なもの。
・ネクロノミコン クトゥルー神話(H.P.ラブクラフトらによる小説群)
http://ja.wikipedia.org/wiki/ネクロノミコン
オカルト小説中もっとも有名な架空の魔導書。
「吾妻鏡」の頼朝の死に関わる部分です。
どこかにはあると思うのですが・・・
普段「源頼朝」として知られる図像は、
実は別人のものであるということが知られてきました。
歴史にはまだまだ分からないところが多そうです。
52巻中で現存は7巻のみ、と云うと殆ど逸失してるも同然ですねえ。竹取物語で言うとお公家さんが蓬莱島をうろちょろしてた部分だけ残ってる、みたいな感じですか。
弟さんの方、判官義経に関しては随分と後世の潤色があるようですが、そうした色眼鏡を抜きにした史実の部分はどうだったのか。確かに興味を惹かれます。また一方で、その一枚薄皮を隔てた感じ……木材の中の仏様を彫り出すように、推測に推測を重ねていく考証の過程が歴史の楽しみとも言えそう。
ところでつい先日、別の質問への回答で『鸚鵡籠中記』について触れました。これは時代こそぐっと降って江戸元禄の御代ですが、物はしがない木っ端役人の膨大な日々の記録、しかも当時の藩主の醜態や政道の批判などを含む、支配者側からしてみれば焚書抹殺然るべき内容……でありながら、完全な形で今に伝承されていると云う稀有な事例です。本当は鎌倉にも室町にもこんな記録が存在していたのかもしれません。
三丁目の山田さんの初孫がバブーと言ってキーボードを踏ん付けた、その痕跡まで永久保存公開されかねない情報過多の現代ですが、しかし一方で私達の「歴史」と云うものは一撮みの記憶と、その億倍の忘却の結果である。空想の余白が残されていると云う意味では、何となく嬉しい事ですね……。それでこそ、その物忘れの大海を泳ぎ渡って現在に残る日記があるなんて話はいや増して嬉しい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B8%9A%E9%B5%A1%E7%B1%A0%E4%B8%A...
「らくだこぶ書房」
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%89%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%93%E3%...
やや軽薄なものですが、ご参考までに。
やあ、クラフト・エヴィング商會は個人的に懐かしい名前です。かれこれ5年は前になりますが、たまたま図書館で目に付いた『ないもの、あります』を衝動借り(?)しまして……曰く「自分を上げる棚」「目から落ちたウロコ」「捕らぬ狸の皮ジャンパー」等々、実に情けない商品の販促文が並べられていました。いかにも軽薄極まる連中ですが、そんなやくざ者を飼っておけないようでは人類社会も先が暗い。総じて、悪い本ではないですね。
ご参考のご参考になりますが、お返しとしてもう少し重厚なスタニスワフ・レム『完全な真空』をご紹介しておきます。「架空の本」というのはここでは前提条件になっていまして、この奇矯なポーランド作家は「架空の本の書評」を物して一冊の本にしてしまいました。私自身が未読なので内容にはちょっと触れられませんが、どうやら好き者には堪らない味がありそうです。
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%8C%E5%85%A8%E3%81%AA%E7%9C%9F%E7%...
「松田伸治中編文学集Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」です。
紙の本ではありませんが、列記としたISBNコード出版物の電子本です。
近日出版、公開予定であります。
発売直前です。
詳しくは、はてなキーワード検索で「松田伸治中編文学集」で調べてみてください。http://d.hatena.ne.jp/keyword/%be%be%c5%c4%bf%ad%bc%a3%c3%e6%ca%...
ノー。設問が言葉足らずだったかもしれませんが、今回お訊ねしているのは「魅力的な、架空の書物」なのです。「今はまだ存在しないけれど、読んでみたい」と云う本を含めるなら例えば『私の死後100年くらい経った頃の世界名作文学全集』であるとか、際限なく浮かんでしまいますね。
とはいえ、本件を離れるなら電子書籍やオンデマンド出版はなかなか魅力的なモチーフに違いありません。最近になってMicrosoftやAmazonなど大手中の大手と言うべき会社からも働きかけが出てきましたし……22世紀版世界名作文学全集なんて、今からは想像もできないような体裁で出版されるのかもしれません。今すぐの話でも、ゲームブックの凄い奴くらいは電子書籍で出そうな気がします。
ついでになりますが、オンデマンド出版の愉快げな企画を1、2点。
「紅天女」の脚本
漫画「ガラスの仮面」に登場。主人公・北島マヤの師匠にあたる大女優・月影千草が上演権を持っている。脚本家の尾崎一蓮は、月影千草にのみ紅天女を演じ、上演することを許していた。紅梅の精霊である紅天女(あこや)と、その紅梅で仏像を彫ろうとしている仏師との深い愛の物語、らしい。
「わが青春のアルカディア」
同名のアニメ映画に出てくるハーロック一世の自伝。
「裏千家貰い方作法」
須藤真澄という漫画家がプロフィールに本当に掲げていたことがある実在しない著書。講壇社から出版されたことになっている。
紹介文がいい加減でごめんなさい。
ああ、『紅天女』は気になりますねえ。『ガラスの仮面』は部分々々でしか読んでないので、今どうなっているか分からないのですけれど……このままお話が展開していけば、作中で演じられる機会があるのかもしれません。
それから、旅先の駅で広告を見掛けただけなのですが、どうやら能――日本伝統芸能の、あの能です――の舞台でなら『紅天女』は実現している模様。原作者監修の正統なものらしく、ポスター自体は能面に漫画絵の重なった妖気漂う出来でしたが、もはや劇中劇ではない純粋の作品として演じられるなら、是非機会を捉まえて観に行ってみたいと思っています。
文学的な修辞の上で「絶世の美女」「入神の技芸」などと言うのは簡単、寧ろ濫用を咎められるくらいですが、さてそれを現実に移すとなると……映画「ロードオブザリング」のエルフがちっともエルフじゃなかったのと同様、生身の役者には荷が重いと云う事態になりがちです。その点では能楽や人形文楽、浄瑠璃といった虚実のあわいにある芸が活きてきそうですね。
と、何だか妙に大仰な括りになってしまいました。しかし講「壇」社は酷いな!
20億年前の生物図鑑。
生物誕生の瞬間なんかも載ってると最高です。
やや詭弁めきますが、化石や地層なんかがまさに「古代の生物図鑑」と言えるかもしれませんね。
そう云えば、何という学問に分類されるのか分かりませんが、まあその辺りの学術用語に「バージェス動物群」というものがあるそうで……広辞苑を丸引きしますと、
「(Burgess fauna) カンブリア紀中期の化石動物群。カナダのロッキー山脈から知られる。多数の門にわたる動物のほか、所属不明の多種多様な化石が含まれる。多細胞動物が出現してまもない時期に爆発的に適応分化した動物の、いわば進化の試行錯誤の記録と考えられている」
との事。そうした数多の絶滅種、進化系譜上のミステイクとでも言うような生き物が見られると大変楽しそうです。生存競争を○×クイズで表現すると、我々霊長類ヒト科は最適解……かどうかはまだ分からないにしても、かなりの数の正解を積み重ねてきた結果の繁栄ではある訳ですね。
別に関係ないんですが、架空の生物『ハナアルキ』はご存知ですか? 何と云うか「これを挙げて貰えたら私が大喜びしていた」であろう史上最もキュートな幻獣の一種です。どうでもいいですね。
http://images.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E3%83%8F%E3%83%8A...
「魁!!男塾」に登場する民明書房の一連の書籍です。
もし一冊にまとまったら、パスティーシュ文学としてもとても面白いものになると思います。
男塾は……申し訳ない全く手付かずで、つい最近になるまで「かい!!おとこじゅく」と読んでいたのですが。その門外漢の耳にさえ、民明書房の威名は届いております。出版の暁には是非と学会のお歴々並びに空想科学研究所の柳田主任にも参画頂いて、ゲンミツな考証をお願いしたいですね。
と学会から連想しましたが、つい先日読了した『トンデモ本の世界』にパスティーシュ文学の代表選手になりそうな一品、『アイアンマウンテン報告』が挙げられているのを見掛けました。
アメリカ政府の報告書を精密に模倣した文体・書式を用いて、「戦争は国家にとって有益な機能を果たしており、定期的な戦争なしに国家の健全性は保てない」約めて言えば、「平和なぞ割に合わん」と云う旨を詳細に検討・実証した文書なのだそうで。軍産複合体による経済の回転が実在する以上、ちょっと洒落にならない……事実、元々は諷刺目的のおどけである筈の企画が、余りにも生硬な筆致も手伝ったか相当の物議を醸してしまったようで。慌てた出版元が「これはジョーク本です」と弁明して流通分を回収、しかし疑り深い人々が「政府の圧力に屈して回収したんだ」とお定まりのいたちごっこを演じたそうです。おもしろうて、やがて怖し。ですね。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%...
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9...
光源氏が死ぬところは読んだことがないのにいつのまにか話は進んで・・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E6%B5%B7%E6%96%87%E6%9B%B...
死海文書はキリスト教会により秘密にされているとか。
あとはゲド戦記に出てくる名付けの長の書き出す長い長い名前リストや、死の呪文の載っているものなどといった魔道書も見るだけ見てみたいですね。もちろん、ファンタジーの系譜の下のほうにはハリーポッターなども当然連なってるわけで、マジックアイテムならなんでも楽しいのですが。
ビブリオマニアというよりミーハーでごめんなさいね・・・
やあ、私『死海文書』の公刊当時――つまり95年には火中に毒草の花開いたような妄想小学生でして。まさに時流に棹さした検証本を有り難がっていた、ちょっと気恥ずかしい記憶があります。しかし何かと言うと偽書だ異端だとヒステリックなバチカンのお陰で、却ってキリスト教の周辺こそオカルト民にとって一番居心地が良い……何やら無用に皮肉が利いていますね。
さておき。『源氏』にも散逸や後代の編纂が囁かれているとは知りませんでした。尤も、どう付け足し並べ替えた所で、一頁の空白に示される光の君の「雲隠」――あれ以上に凄絶な結末が可能とは思われませんが。
と、思われませんが、と言った舌の根も乾かない内に何ですが、フランスの女流マルグリット・ユルスナール『東方綺譚』には口にするも恐ろしい事ながら、その「雲隠」の空白を埋める――つまり光源氏の末期の一幕を描写してしまう、天をも恐れぬ掌編が収められているのをご存知でしょうか?
困った事に、これが哀切悲痛な物語として十分称賛に足る出来映えでして……まさか原典に代入はしないにしても、有り得たかもしれない空想の一景としては「アリ」だと思わされてしまいます。何だか主旨を外れるようですが、この『源氏の君の最後の恋』他8篇から成る『東方綺譚』、珠玉の短編集ですのでご興味が向かれた向きには是非ご一読。
http://www.amazon.co.jp/%E6%9D%B1%E6%96%B9%E7%B6%BA%E8%AD%9A-%E7...
(それはそうと、ローク学院全生徒の「真の名」を握ってしまうと顎先一つで多島海が征服できてしまいそうですね。名付けの長は偉かった。)
日本の貨車総覧とか客車総覧、写真付きでほしいですねえ。
それこそ日本の鉄道が生まれてからの貨車、客車が全て総覧できたら
最高ですねえ。模型創りには最高のもんです。
あと似たような感じで貨物列車編成表もほしいところです。
http://reingold.ld.infoseek.co.jp/
ネット社会になってはいますがこの手の趣味の書籍にはかなわないですね。
毎月のように資料本が数冊づつ増えております。
すみません趣味まるだしで(笑
吾妻さんは本邦のSF(とロリコン)を語る上では外せない名前ですね。作家の空想に惹かれたファンが、その現実化を望んで……という流れはラブクラフトにも適用されたもので、現にネクロノミコンも数次に渡って出版されたのみならず、クトゥルー神話大系自体が既にHPLの弟子達とそのフォロワーによって組み上げられていったものだと認識しています。謂わば壮大なファンアート。
ただ惜しいかな、クトゥルー神話そのものはおたくの基礎教養として愛すべきグロテスクではありますが、創作神話としてはダンセイニ卿の雅趣を欠き、恐怖小説としては和風ホラーのえげつなさを欠くきらいがある。粘液・複眼・触手の毒々クリーチャーが今、わたしの、背後に……! という所で終わっちゃうのですよね、大体。
そう云えば「ホルヘ・ルイス・ボルヘスはネクロノミコンを読んだ為に失明した」なんて風説も存在するようですが、あれだけの人物がたかが空飛ぶスパゲッティ・モンスターに撫でられたくらいで参ってしまうものか……ちょっと首肯しかねるところです。
尤も、そのボルヘス自身によりラブクラフトへ捧げられたオマージュ『人智の思い及ばぬこと』は一読に値する短編なのでちょっとお薦め。それから同じクリトルリトルの文献でも、ネクロノミコンの典拠とされる『Book of Dzyan』、更にまたその原本とされる『mani koum boum』くらいまで行くと幾分興味を惹かれる気味が……。曰く「忘れられたセンザール語で記されている」「人類有史以前から存在していた」代物なのだそうで、幻視者や霊能者達に取ってはバイブルにも等しい扱いを受けています。まるで核ミサイルそのものとしか思えないような古代の魔法兵器「アグネヤストラ」なんてものまで登場するとか……。オカルトも色々ですね。