亀和田武の「人ったらし」(文春新書)の中で、川上宗薫の私小説的小説「流行作家」という作品が紹介されています。
その小説の中で、川上の友人で「同じような貧乏生活」をしていた、小説家志望の友人に、川上が出版社を紹介する、という描写があるそうです。
亀和田によると、その作家は「通俗的な流行作家としてスタートしたが、晩年は日本の現状を嘆く、押しも押されぬもせぬ、一流の文化人となった。人里離れた山の中に仕事場を構え、ときおりテレビや雑誌に登場して、朴訥とした表情で白髪をかきあげながら、『庶民』によりそった自説を述べる」を書いてあります。
この「作家」は誰でしょうか? 立松和平かとも思いましたが、また存命ですから、「晩年」ではないですよね・・。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E4%B8%8A%E5%8B%89
水上勉だと思います。
http://www.tokyo-kurenaidan.com/mizukami-tokyo24.htm
その松戸の一軒家で、私は既製服の行商をしていたので、その暇を見て「霧と影」七百枚を書き上げた。そして、これを当時、柏に住んでいた川上宗薫氏に見てもらい、氏の世話で、河出書房の坂本一亀氏に送ったところ、手直しすれば面白くなる故、出版も可能だと勇気づけられ、都合四回書き直した。
http://www.tokyo-kurenaidan.com/mizukami-shinano.htm
水上勉は軽井沢で別荘を購入、此方で日々の仕事を行います。その後、軽井沢から長野県北佐久郡北御牧村勘六山に別荘を移し住んでいました。
なるほど、ありがとうございます。
「水上勉の晩年」というのが、私の中であまりイメージがなかったモノで、わかりませんでした。