クリスマス企画の第11日目です。
ルール等、詳しくは http://q.hatena.ne.jp/1197051779 を参照ください。
2位のビンゴはkumaimizuki様です。おめでとうございます。
企画に応募された9名は、全員、参加者Aとして参加いただけます。
また応募しなかった方々も参加者Bとしてなら、だれでも、いつでも参加できます。
参加者Aには、ビンゴカードを1枚ずつWeb上に配ります。
http://www.nurs.or.jp/~lionfan/kikaku_2007_christmas/index.html
(現在、サーバに不具合があったため1回古いデータが表示されています)
今回のキーワードは「プレゼント」です。
それでは「キーワード+あなたの好きな言葉1つ」で
短い小説をつくり、この質問に答える形で応募してください。
締め切りは1/5(土) 23:59までです。
キーワードを明示することも忘れずに。
あと簡単に言及できるよう、小説にタイトルも付けてください。
あと1~2回で終了すると思います。それではよろしくお願いいたします。
タイトル:アロマキャンドル。(キーワード:プレゼント/キャンドル)
ここは富士山への一本道。
灯はなく、人通りもない。
そのような場所で、車を止めた。
事の発端は、数日前に遡る。
彼女が仕事によるストレスから、自殺すると言い出した。
もちろん、すぐに自殺なんてするな。と、言い聞かせた。
しかし、次の日。
「わたし……自殺しようと思うの」
同じことをまた言った。
「昨日も言っただろ? 自殺なんてバカげたことをするなって。大体、自殺したら俺の立場は……」
「そうね。あなたは淋しい思いをするわよね……」
「何だ、分かってるんだったら……」
「でもね。あなたを殺してしまえば、あなたは淋しい思いをしなくて済むわ」
「おいおい。何を……」
俺は、そう言い掛けて、彼女が本気だということに気付いた。
「ねぇ。あなたは、わたしに殺されるのと、一緒に自殺するの、どっちがいいのかしら?」
「どっちって……どっちも嫌に決まってるだろ!?」
「じゃあ、決まりね。わたしに殺されるということに……」
「ま、待てよ。何でそうなるんだよ」
「どちらか一方よ。さぁ、どっちにするのかしら?」
俺は悩んだ。もし、彼女に殺されると願ったのなら、今すぐにでも殺しにかかるだろう。
だったら……
「分かった。一緒に自殺しよう」
俺は、彼女にそう告げた。
時間稼ぎと察しられたのか、彼女はすぐに言った。
「じゃあ、今すぐ自殺しましょ」
そう言って、彼女は俺を車へと乗せた。
途中のホームセンターで、ガムテープと練炭を買った。
もちろん、それだけでは怪しまれるので、様々なものを買った。
ロープや芳香剤、スナック菓子などなど。
そして、車を走らせて……現代に至る、というわけだ。
「さぁ、燃やしましょう」
彼女はそう言って、マッチを手に取った。
俺はすぐにマッチを奪った。
「あら、まさかこの期に及んで『自殺しない』なんて言わないわよね? それとも、わたしを殺す気?」
「まさか……。ただ、せっかくなら俺に火を付けさせてくれないか?」
「別に良いわよ。そのくらいは許してあげる」
「ありがと」
俺はそう言って、マッチで火を付けた。
しばらくすると、車内に心地よい香りが漂ってきた。
「ちょっとこれ……もしかして……」
「そう。その『もしかして』だよ。君は気付かなかっただろうけどね」
俺が火を付けたのは練炭ではない。
俺が火を付けたのは……
「わたしがプレゼントした……アロマキャンドル……?」
「正解。君が『良い香りよ』と言ってくれたものだよ。この香りをかぐと、あのときのことが思い返されるだろ?」
「あのときのこと……?」
彼女がそう言うと、しばらく考え込んだ。
彼女が、アロマキャンドルをプレゼントしてくれた日の事。
この日は、アロマキャンドルと共に、今の仕事に決まったという知らせも持ってきてくれた。
その時の彼女は、非常に生き生きとしていた顔をしていた。
「これから、一生懸命頑張る!」
彼女の笑顔は、最高のものだった……。
「辛いのは分かる。けれど、あの時は『それを乗り越えてこそ、わたしの夢が叶う』って言ってたよね。覚えてる?」
「覚えてる……わ……」
「その時、俺が言ったことも覚えてるか?」
「『どんなことがあっても、俺が救ってやる』」
「そう。俺が救ってやる。どんな時も、どんなことがあっても。もし、今ここで、自殺をしなかったら、ご褒美をあげる」
「ご褒美……?」
「これだよ」
俺は、隠し持っていた、ダイヤの指輪を見せた。
「結婚しよう」
彼女は、信じられないといった表情をしている。
「どうする? それでも自殺するって言うかい?」
「……わたしの負けね。ありがと、わたしを負かせてくれて」
「帰ろ。家へ」
アロマキャンドル……癒しと安らぎの効果がある、アロマキャンドルの香りに包まれながら、来た道を戻っていった。
来る時には、気が狂ったような彼女の表情も。
安らかな寝顔へと変わっていた。
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お正月明けです。あけましておめでとうございます。
しばらく休んでましたが、その間にビンゴしてしまうとは(^-^;
今回のキーワードは、単純にゲームを面白くするために選んでみました。
『キャンドル』が選ばれると、現在リーチの掛かっていない2名がリーチになります。
同時に、ビンゴになる人が誰も出ないのです。
つまり、全員リーチという状況になります。
まぁ、腕が悪いので選ばれるかが非常に難しい問題だったりしますが。
kumaimizuki様、面白い小説で、すごく引き込まれました。
そして、なかなか明るいラストで良かったのでした。