http://q.hatena.ne.jp/1206082338
クフ王のピラミッドに使われている「持ち出し構造」とは、なんのためのものなのですか?
天井の石材の負担を減らしているのかな~なんて書かれている個人サイトがありましたが、
本当のところはどうなのか教えて下さい。
宜しくお願いします。
>7 ギザの大ピラミッド
内部は持ち出し式のアーチ構造で、
ピラミッドの重みを横の壁に分散する作りになっています。
http://homepage1.nifty.com/sagi/isan.html
>クフ王の棺が納めらている部屋の上には重力分散のための部屋があるが、
これが設けられたのは棺の部屋の天井に重さで亀裂が入ったことによるという
つまりピラミッドも試行錯誤しながら新技術を開発しつつ建造されたようである。
もうひとつの質問でのchinjuhさんのご回答から、corbelled structureという英語を拾ってちょっと見てみました。
この構造が世界で最初に用いられたのが、エジプトのピラミッドだとのこと。フランツ・ローナーさんというドイツの研究者さん(建築方法についての研究をしておられるようです)のサイトから:
http://www.cheops-pyramide.ch/khufu-pyramid/cheops-great-pyramid...
It is interesting, that the so called corbelled vault was "invented" at the same time as the larger pyramids were built. The first corbelled vault was built in the pyramid of Meidum, then Sneferu's pyramids and Khufu's pyramid followed [2]:
いわゆる「持ち出しヴォールト」は、大きなピラミッドがつくられたのと同時に「発明」された、ということは興味深いことである。「持ち出しヴォールト」の最初の例は、Meidumのピラミッドで、続いてSneferuのピラミッド、クフ王のピラミッドがつくられた。【注:この部分のソースは、Dieter Arnoldという専門家の書籍だそうです。】
...
Why was this new building element employed? A corbelled vault is used, if the distance from one wall to the other is too large, so a piece of stone put flat can't overcome it. Interestingly this new building element abruptly appears and is executed right away on a very high level. Then, two generations later it is already not employed anymore (Khafre's pyramid only has gabled roofs, Menkaure's pyramid vaults).
では、この新たな建築要素が用いられた理由は何だろうか。壁と壁との距離が大きすぎる場合、ただ石を平らに置いただけではもたない。こういうときに「持ち出しヴォールト」が用いられる。興味深いことに、この新たな建築要素は何の前触れもなく現れ、しかも最初から非常に完成されていた。そして2世代(だいたい60年)が経過するころには、もはやどこにも用いられなくなっていた(Khafre王のピラミッドは切妻屋根だし、メンカウラー王のピラミッドはヴォールトである)。【注:「ヴォールト」とはキリスト教の教会建築にあるようなアーチ型の天井のことです。】
また、エジプトの観光情報のサイト、touregypt.netのページで、いろいろと参考文献つきで、Pete Vanderzwetさんというカナダのエジプト学の学生さん(か研究者さん)によってまとめられている「ピラミッド建築の発展」についての説明文:
http://touregypt.net/featurestories/pyramidevolution.htm
The Evolution of the Egyptian Pyramid by Pete Vanderzwet
...
Instead of using thick granite to roof the burial chamber, as Djoser did before him, Sneferu made use of a technique known as corbelling for the first time (Lehner 98). This technique distributes the weight of the core blocks above it and provides better structural stability for the chamber.
Sneferu(エジプト第四王朝の最初の王)は、Djoser(エジプト第三王朝の2人目の王)がやっていたように埋葬室の屋根に分厚い花崗岩を使うのではなく、「持ち出し」として知られる技術をはじめて使った(参考文献はLehner 98)。この技術は、上部にある中心のブロックの重さを分散し、埋葬室を構造的により安定したものにする。
※この記事は、建築について知識のある人に頼んで翻訳してもらうか要約してもらうとよいかもしれません。
なお、「持ち出しヴォールト」について、ものすごく基本的なことは、
http://www.pennridge.org/works/cantstruct.html
がわかりやすかったです(建築とか物理学とかド素人な私には、という意味です)。Corbelled structureについてはページの一番下、写真を見ればわかると思います。少しずつずらして重ねた石・煉瓦などが、上に詰まれた石・煉瓦などの重さで安定する、という構造で、イグルー(カナダのイヌイット族の、氷を切り出したものを建材として作る家)に見られるそうです。
英語版ウィキペディア(マヤ文明の遺跡に見られる持ち出し構造アーチの写真あり)に載っている図(下記URL)もご参照ください。図の左がスタンダードなアーチ、右が持ち出し構造のアーチです。左に比べると右は強度に劣る、というのが具体的にイメージできると思います。
うんうん、やはり重さ分散系みたいですね。
ただ、やはり個人サイト以外のものが欲しいですね。。。
ありがとうございます。