日本では、ネット上で北京五輪に批判的な意見が多いですが、その根底にあるのは、チベット云々というより、以前からあった中国への反感ではないか、と思っています(少なくとも、チベットを支持するためにチベット国旗を掲げる、という人より、中国への嫌がらせのために掲げる、という人の方が多いのではないかと)。
これは、中国が歴史問題を度々外交カードに使ったり、国民に反日教育を施して敵愾心をあおっていること、言い換えれば、
「相手がこっちを嫌ってるからこっちも相手を好きになれない」
という反感が原因で、チベットとかギョウザとか著作権問題とかはおまけであろう、と考えます。
しかし、その他の各国でも反中国活動が活発なのはなぜなのでしょうか。
中国との間に大して歴史的な抗争がなさそうな国々でも活発な活動が起きているのが不思議です。
いくつか可能性を考えたのですが(コメント欄に書きます)、どうも納得できません。
どなたか事情に詳しい方、ご教示ください。
(質問の前提が間違っている、という指摘もあればどうぞ)
ダライ・ラマやチベット問題については、詳細を今回初めて知ったという欧米人は多いです。欧米人にとってはイスラム教との確執のほうが圧倒的に大きな宗教問題であり、チベットについては知っている人は知っている、という程度でした。
今回はおっしゃるとおり、欧米でも、積もり積もった反中国感情が顕わになった格好です。
20世紀は戦争の世紀と言われます。
人権、環境といった、欧米諸国が破壊しながらも、その反省の末、保護されるべきという共通の前提に至ったわけです。
それに対して、後から来た中国がそれを無視しながら経済成長を続け、強い発言力を持ち、強硬な姿勢を崩さないことについては、欧米人には嫌悪感が強くあります。
人権、環境、知的所有権、中国製品問題といった問題が、欧米人の不快感を生んできたのは間違いありません。
歴史的に中国と抗争が無い国でも、中国に対する反中国活動が盛んな理由は何故か?
という質問と読み取りました。
2つの視点から回答を書いてみました。
【1つ目】
http://homepage1.nifty.com/yk/conflict_menu.htm
地域紛争のまとめ
それは自分たちの国でも同様の民族紛争があるから、支持しているのです。
よく見ると分かると思いますが、国家レベル(政府レベル)で、今回のチベット問題に
対する中国へ非難を示しているのは、現状で同様の問題を国内に抱えていない国です。
国内に同様の問題を抱えている国の政府が、非難の声をあげたら、自国の民族問題も
認めることとなり困るからです。
裏を返せば、そのような国で、国からの独立を望んでいる人々にとっては、チベット
問題はオリンピックと合わせて世界の注目を浴びているし、民族の独立の気運が高ま
れば、自国でも同様に独立が勝ち取れるかも知れないという期待が働いているのです。
民族問題もなく、平和に暮らしている国の人々ではなかなか発想できない論理かも
知れませんね。
【2つ目】
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=98605&servcode...
中央日報
上記とは別の次元で、中国自体に対するバッシングというものはあると思います。
しかし、それは急成長の中で、世界の一員としてのルールやマナーが、まだきちんと
していないだけで、時間は掛かるでしょうが、きちんと教育とか意識が変われば解決
していくものだと思います。
まずは何よりも中国政府がもっと世界を見る目を持つべきと個人的には思いますが。
以上です。
>同様の民族紛争があるから
なるほど。それは考えませんでした、が……。
つまり、チベット独立を支持して(ダライ・ラマは「独立」とは言ってませんが)、それが達成されれば、ドミノ式に自分たちも、ということでしょうか。
してみると、ロンドンでチベット支持のデモをやってる人達は、実はみんなアイルランド人だとか?
ううん……。
そうなんでしょうか……?
確かにイギリス政府は「開会式をボイコットする」と言ってはいませんが、全体としては批判的な姿勢のようにも見えるんですが……。
>民族問題もなく
日本は単一民族国家。
と、中曽根康弘首相(当時)は言った。
>急成長の中で、世界の一員としてのルールやマナーが、まだきちんとしていないだけ
そうですね。
時間が解決してくれる……のかも知れませんが、それがなるべく早いことを祈ります。
中国自身のためにも。
しかし人民日報、
「賞賛されながら大国が前進するということはありえない」
と来ましたか……。うへえ。
まあ、正しく歴史に学んだ態度とも言えますが……。
歴史の暗部を抱えなくとも大国になれる、という模範を示して欲しいものですね。
興味深い資料、ありがとうございました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E4%B8%AD
こちらに まとまってますが、安い労働者が大量に 各国に流れたため、
雇用の場を奪うこととなり反感を まねいたようです。
19世紀の話ですか。
まあ確かに、それ以来続く反感も底流にはあるのかも知れませんね。
回答ありがとうございました。
これは外務省キャリアの友人から聞いた話し。
およそ世界で起こる政治的な問題の一切は、各国の国益をかけた、覇権をかけて駆け引きの現れで、今回の一連の「チベット問題」もその例外ではないということです。
昔から欧米は、Divide and Rule(分断して統治せよ)を常套手段として、ターゲットをごちゃごちゃにしながら権益を握ってきたわけです。少数民族の指導者に資金援助したり、反政府運動をサポートしたりと手法は様々です。
大国化する中国の最大のアキレス腱は、「チベット問題」で、逆にいうと各国の最大の外交カードが「チベット問題」というわけです。
アメリカ イギリス フランス ドイツの領事館は、チベット自治区に隣接する四川省の省都・成都市にありますが、中国政府は、はじめなかなか認めず重慶におけと主張していたそうです。
各国が成都に拘ったのも、中国政府が嫌がったのも「チベット問題」があるからです。ちなみに、チベット自治区の暴動鎮圧を指揮する本部は、成都に置かれています。
日本はなさけないことに重慶に領事館を置いています。
この成都の領事館は、欧米にとっては最も重要なインテリジェンスの拠点で、「チベット問題」をターゲットにした戦略拠点です。
内側と外側から中国を弱体化させ、最終的な目標は、チベットの独立でしょう。地下資源の豊富なチベット自治区は魅力的です。
一連の事象には筋書き(Divide and Rule)があると考えていいかと思います。
>これは外務省キャリアの友人から聞いた話
おお。
>世界で起こる政治的な問題の一切は、各国の国益をかけた、覇権をかけて駆け引きの現れ
ううむ。
政府の外交活動についてはそうでしょうし、おそらくそうあるべきとも思うのですが、一般市民の抗議行動までその範疇に入れるのはちょっと陰謀論くさいような。
例えば、ベトナム戦争に対するアメリカ国内の反戦運動は、「国益」という観点にはむしろ反するものであったのでは、と思うのですが……。
もちろん、中には政府から金をもらってる「市民団体」もあるのかもしれませんが。
>各国が成都に拘ったのも、中国政府が嫌がったのも「チベット問題」があるから
国家に真の友人はいない。
国家間外交が長期戦略に基づいて行われている、というのはきっと正しいのでしょうね。
>日本はなさけないことに重慶に領事館を置いています。
……日本は外交下手だと言われますね……。
重慶に領事館を置いたのには、我が国独自の外交戦略があるのだ、と信じたいところではあります。
興味深いお話ありがとうございました。
外儒内道という言葉があります。つまり交渉に先立って儒教思想に基づいた厳格な倫理を求めて来るのに対して、実質的には堕落した仕事しかしてこないといった意味です。
私の知り合いでも、中国側で納期を完全に遅らせてくれたお陰で機会損失を招いたにもかかわらず費用だけはしっかり取られたと嘆いている者がいます。
中国は大国として国連の常任理事国でもありながら、チベット以外にも台湾もありますし、領土的要求をしている。
結局そこなんですね。著作権や毒入りギョーザにしても偉そうなことを言っているくせに自国はなんだといった感情が入ってしまう。そしてこっちは悪くないと言って何も対処しない。結局輸入した業者が対応せざるを得ないんですね。
米国で中国製玩具56万点を自主回収したのが好例です。
ギョーザにしろ、業者の問題ですが、その後国家が中国側は悪くないと主張しています。つまり、悪かったという点を認めないんですよ。そりゃ嫌われますね。
回答ありがとうございます。
リンク先、ざっと読みました(長い……)。
ううむむむ。
中国で賄賂が絶えないのは、贈り物を重視する儒教の影響がある、とは聞きます。
(我が国のお中元・お歳暮・香典・香典返しなどなどにも)
とはいえ、儒教を打算的なもの、と言い切るのも……。
欧米のピューリタニズムだって金儲けを否定はしてないわけで、さもなくば資本主義の発達はなかったかも知れないんじゃないでしょうか。(古い意見なのかも知れませんが)
「肉や欲や罪のためではなくて、神のためにあなたがたが労働し、富裕になるというのは良いことなのだ(バクスター)」
タオイズムも私は嫌いじゃないなあ……。
というか、日本以外の諸外国のことをおたずねしていますので、毒入りギョーザとか「私の知り合い」とかのお話をうかがっても。
(海外勤務なのかも知れませんけども)
……まあ、おそらくたぶん、日本以外の企業と取引する時にも、納期が遅れることはあるのでしょうね。
ただ、納期厳守については日本は世界でもトップクラスだと私は信じています。
納期にルーズな国は中国以外にもごまんとあるはずで、世界的な中国叩きの要因としては弱いんじゃないかな、と思いますが、いかがでしょう。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080408/chn0804082206004-n1....
中国は歴史的に見て東アジア最大の侵略国家でした。王朝が変遷しても中原を統一した後には必ず周辺への侵略を繰り返してきました。
極端な愛国主義と、それを支える中華思想は過去様々な侵略と圧政の理論的な背景を為してきましたし、現在も内情は変わっていません。
技術によって軍事的な可能性が広がった現在においては特に危険な国家なのは間違いありません。
情報や思想を国家が統制しているだけでも危険なのです。
チベット問題は現在被害を被っている侵略された他民族の実態を示していると同時に周辺諸国にとっての中国の危険性を如実に表現しているのです。
もちろん日本も埒外ではありません。
近視眼的な損得勘定以上の問題が中国相手だと特に強いのは間違いありません。
アメリカと付き合いを深めたのも内向外交と見れば納得できます。
中国共産党の支配下で暮らしたい、とは私も全然思いません。
しかし、今回の質問は、
「なぜ(東アジア以外の地域を含めた)諸外国で反中国運動が盛んなのか」
をおたずねしているのであって、
「なぜ中国は危険なのか(または、「なぜ危険だとみなされているのか」)」
をおたずねしているわけではないことにご注意頂ければ、と思います。
過去の中国が侵略的であったが故に危険であると目され、その警戒感が反中国運動を引き起こしているのだ、という趣旨かもしれませんが、
「過去に侵略的だった=危険」
というなら、先進国のほとんどは危険国家なわけで。
実際には、トリノオリンピックにエチオピアが出てきた(冬季には初参加だった)ことなどを考えても、それは主たる要因にはならないように思います。
そもそも、中国による侵略の脅威、という思いが、例えばイギリスやアルゼンチンでも共有されているとはあまり思えないのですが……。
>近視眼的な損得勘定以上の問題が中国相手だと特に強いのは間違いありません。
すみません、私の理解力が及びませんでした。
かみ砕いて説明して頂けないでしょうか(できればコメント欄で)。
>アメリカと付き合いを深めたのも内向外交と見れば納得できます。
アメリカと付き合いを深めたのに反中国運動が盛り上がっている、というのは、逆の場合(アメリカと対立して反中国運動が盛り上がった場合)と比べるとむしろ不思議だと思うのですが。
それと、「内向外交」とはなんでしょうか。
(中国語のサイトにしか出てこない言葉のようで、ちょっとわかりませんでした)
中国の経済成長が目障り。
インドは許せても、中国は駄目なんだってさ>欧米人。
インドのカースト制は、人権侵害じゃないんだって(^^;
あと、仮想敵国がなくなった現在、仮想敵国を作る必然性があるのです。
イラクは切り札につかったし、北朝鮮の切り札はリスク高いし・・。
で、今立場が弱い、中国。
>インドは許せても、中国は駄目なんだってさ>欧米人。
いわば、それがなぜなのか(なぜ中国だけは許せないのか)をおたずねしているわけです。
経済成長について言えば、中国ほどではないにせよインドも無視できないはずでは。
また、カースト制を人権問題と見なすのは、国連でも共通理解となっているはずです。
>仮想敵国がなくなった現在、仮想敵国を作る必然性がある
なぜでしょう?
外敵を創出することで、内部の結束を高める、ということでしょうか。
現在でもそういう手法が有効だとしても、それは政府の発想であって、民間の抗議活動までそれで説明するのは難しいように思えます。
それとも、ああいった反中国活動は政府が裏で糸を引いている、というご意見でしょうか?
>北朝鮮の切り札はリスク高いし・・。
「切り札」の意味がよくわからないのですが、軍事的な攻撃対象にする、といったことでしょうか。
なるほど、北朝鮮は国内を陣地化しているそうですし、特殊部隊も良く訓練されており、核も(実用になるかどうかは謎ですが)持っています。
でも、中国の軍事力(核兵器を含む)に比べたら、まるでお話にならないと思うのですが……。
やはり、社会制度のせいと思います。
欧米の民主制度と違っている社会主義国家中国は、市場経済を導入後、政治面でも経済面でも正真正銘な大国になってくるのが嫌がっていると思います。
中国と同じ莫大な人口を抱いている欧米の民主主義をやっている印度は、60年の市場経済をやってきたにもかかわらず、わずか30年の市場経済をやっている中国に大いに抜かれていて、どの社会制度がいいのかは世界中に議論されているようですよ。
実際、昔フランスやイギリスなどの影響力が大きかったアフリカ諸国は、みんな欧米離れで中国に急接近して、中国の社会民主主義がいいではないかとなっているようです。
ソ連の崩壊は、共産主義負けの証しになっていましたが、
中国の持続急成長は、中国式社会主義の成功の証しになるかもしれません。
実際は、ベトナムやキューバは、中国に学んで共産党独裁を維持しながら市場経済の導入によって、いずれも高成長を続けていますね。
ええと、「社会制度」が、共産主義を指すのか一党独裁制を指すのかが定かでないのですが……。
ともかく、社会制度の異なる国が台頭しつつあることに、欧米の反発がある、ということでしょうか。
んー、中国共産党の言う「社会主義市場経済」体制が、本当に共産主義なのか、というと、どうも疑わしいように思うのですがどうでしょう。
(「社会民主主義」かどうかはもっと疑わしいと思います)
資本家が入党できる共産党なんて……。
ソ連時代、
「レーニンのころは良かった! 欲しい物はなんでも店にあった!」
という老人に詳しく話を聞いたら、NEP(新経済政策)時代の話だった、なんてエピソードもありますが。
市場経済を導入した共産国が成長している、というのは、共産主義の勝利を示すものとはあまり思えないのですがどうでしょう。
ベトナムにせよ中国にせよ、あの成長は共産主義の力というより、むしろ開発独裁と呼ぶのが適切なような。
もちろん、アフリカ諸国でもそれは力を発揮するかも知れませんが……。
(戦後日本の経済成長も、開発独裁呼ばわりする人がいるようで)
むむ。
まとまりませんが、確かに、異なる政治体制への不信、というのは背景にあるかも知れませんね。
ありがとうございました。
>チベットについては知っている人は知っている、という程度でした。
ですよね、やっぱり。
>反省の末、保護されるべきという共通の前提に至った
そうですね……。
正直なところ、
「よその国の人権とか環境とかを守るために大規模なデモを起こすほど、人間は善良で世話好きだろうか?」
という疑念がありました。
しかし、人権思想を確立するために大きな代償を支払った欧米では、そういうものが重視されている、のかも知れませんね。
現状は、
「我々は人権も環境も保護してるのに中国ときたら……」
という欧米の言い分と、
「お前らだって成長の過程ではあくどいことを……」
という中国の言い分、というわけでしょうか。
なんか、我先に植民地拡大競争をやった欧州各国と、それが終わった後で植民地を獲得しようとして戦争を引き起こした大日本帝国・ドイツ第三帝国の図に似ているような……。
欧米のどこかにお住まいである/だったのでしょうか。
実際、現地の人達の意見を知りたい、と思っていました。回答ありがとうございました。