THEME:「今も目に浮かぶ…あなたの心に刻まれたイエの光景」を教えて下さい
「街を見渡せば、100通りの家族に100通りの家。家をのぞいてみれば、それぞれの暮らし振りが面白い!」と展開してきた“イエ・ルポ”の続編コーナーです。“イエ・ルポ 2”では、特にマチとイエ、人と家族のドラマやものがたりを語らっていきませんか?毎回のテーマに沿って、あなたのルポをご投稿下さいね!
豊かな暮らしを創っていく〈イエはてな〉のマインドで、みなさまのご参加をお待ちしています!
*回答条件* 下記のページをご覧になってご投稿下さいね!
「Welcome to イエはてな」
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テーマ詳細とルポ例
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プレゼント変更ご案内
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※〈イエはてな〉では、はてなスターを「おすすめメッセージ」として活用しています。ご回答頂く時にもご参考下さい。また投稿期間中はできるだけはてなスターのご利用を控えて頂けますようお願いいたします。
※質問は9月25日(木)正午で終了させて頂きます。
私が小学生のころ、超大型の台風が直撃しました。夜だったのですが、停電、雨漏りで大変でした。祖母は大変怖がっていましたが、冗談好きなところはいつもどおりで笑わしてくれました。小さかった私達を怖がらせてはいけない、と思い、一生懸命冗談を考えていたのかもしれません。
小学校の頃に住んでいた借家は、手入れもしていない、鬱そうと茂った木々で囲まれていました。木造1階建てで、あばら家と言っていいほど、ご近所さんでも名が知れた、おどろおどろしい家でした。
台風が来ると、猛烈な風雨で、家の周りの木々や竹が、今にもひび割れそうな音を立て、激しい雨音と共に木々のきしむ音が家中に響きます。
雷がピカっと光ると、嵐で狂ったようにざわめいた木々や竹が照らされ、今にも得体の知れないシルエットが窓越しに襲ってくるように見えたんです。
台風のお化け、まさにそんな感じでした。嵐が過ぎ去るまで、布団にくるまって夜を過ごした覚えがあります。
昔 ロングノーズガーという魚を飼っていました。エサをとりかたが特長のある魚で、おもしろかったです。ある日川でエサ用に小魚をとっていると、下級生に見つかりました。仕方が無いので、エサをやるところを見せました。
その様子を見ていた母にあとで怒られました。仕事で大事な書類をいれてあるところに、父が招いた人以外いれては、いけないと。深く反省しました。
ちょうど今、台風第13号が本州太平洋側をかすめるように移動しています。東京もだいぶ雨足が強まってきました。こんな時思い出すのは、台風で停電になった夜のことです。
その夜も段々雨足が強まり、風も出てきて、本格的な台風の勢力圏内に入りました。もう子供が起きている時間にしては遅い時間でしたが、私は不安で、父母と一緒にテレビの台風情報を見ていました。
もう寝なさい、朝になれば台風は通り過ぎているからと言われて自分の部屋に行きました。念のためと渡された懐中電灯を枕元に置き横になりましたが、風雨の音が気になって眠れません。何かあった時に恐いと思い、部屋の電気を点けっぱなしにしているので、よけいに眠れません。トイレに行く振りをして部屋を出てみると、まだ父母はテレビの台風情報を見ていました。
台風どうなった?と居間に入ったとたん、電気が消えました。思わず変な声を上げて叫んでしまいました。父は落ち着いて手元の懐中電灯を点け、大丈夫、すぐつくからと言ってくれましたが、いつまで待っても復旧しません。電池がもったいないのでローソクを使おうかということになり、テーブルの上にローソクが灯りました。
ローソクの揺らめく炎が外の風雨の音と合わさる感じがして私は恐くなりましたが、そんな様子を察した母が、クッキーとお煎餅を持ってきてくれました。目がローソクの灯りに慣れると、段々不安感が薄らいできます。父が子供の頃の思い出話を始めました。初めて聞く話なので、私は台風の不安も忘れて、話に引き込まれていきました。母も、そんな話初めて聞いたわと楽しそうです。ローソクの灯りは家族の心をいつもよりずっと近付けてくれました。
話が佳境に入ったその時、パチパチッと蛍光灯が瞬いて、電気が復旧しました。急に辺りが真っ白になったかと思うまぶしさでした。しかし私はそれでホッとするよりも、せっかくのローソクで過ごす楽しい時間が終わってしまったことを残念に思う気持ちの方が強かった感じでした。
今わが家では、時々ローソクで楽しむ夜を設けています。全国規模で呼びかけられるキャンドルナイトのほかにも、時々思い立ったようにローソクで過ごす夜を楽しみます。ローソクの灯りに照らされながら過ごしていると、私は子供時代に心が帰っていく気がします。懐かしい光景が蘇ってきます。
今夜も一応、ローソクを準備しています。おそらく今回は使うことはないと思いますが、テーブルの上に用意されたローソクを見るとあの夜のことが思い出されて、何があっても家族がいてくれれば安心だという気持ちにさせてくれます。