「本格ミステリ」の定義については、必ずしもノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則を厳守したものでなくて構いませんが、最低限「解決前に、事件を解明するための全ての情報が読者に提示されるもの」であるとします。
まるでマジックの種を推定するかのようなトリック暴きが主眼のものではなく、論理的に犯人を推論する趣向が強いものでお願いします。
物語としての面白さよりも論理性を重視します。
論理として厳密には演繹的でないもの、も許容します。推理の過程で、ある程度蓋然性の判断を含む推理(~とは考えにくい、など)があっても構いません。
言うまでもなくヴァン・ダインやエラリー・クイーンが理想ですが、これらは除外してください。
逆に『金田一少年の事件簿』のようにトリック暴きが主眼で、論理性が乏しいものは好みませんのでこれも除外してください。
作者の名前だけではなく、作品名も挙げてください(その作家の作品が一つの例外もなく上記の条件に当てはまるのであれば、作家名だけでも構いません)。
加藤元浩『Q.E.D. 証明終了』
漫画ですが、条件に当てはまると思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Q.E.D._%E8%A8%BC%E6%98%8E%E7%B5%82%...
ドラマ化もされるようです。
法月綸太郎『生首にきいてみろ』
探偵法月綸太郎シリーズの一つです。こちらは小説
作者自らエラリー・クイーンを心酔しており、設定を持ち込んだりしています。
>犯行に驚天動地の大トリックは使われない。
>地味であるが実に確実に組み立てられている。
>それでいながら結末のサプライズには驚くべきものがある。
>全てがわかった後では犯罪計画の綿密さに驚嘆せざるを得ない。
リンク先を見て、とても魅力を感じました。
今回紹介頂けなかったら恐らく一生手に取る可能性はなかったと思います。
遅かれ早かれ、中古などで必ず手に入れて読んでみたいです。
すでにお読みかもしれませんが、
有栖川有栖 江神シリーズ(『月光ゲーム』『孤島パズル』『双頭の悪魔』『女王国の城』)
「論理的に犯人を推論する趣向が強いもの」という条件だと、一番に思い浮かぶのは有栖川作品です。
本格ミステリ大賞の受賞作、及び候補作はいかがでしょう。
http://www.geocities.jp/y_ayatsuji/step4/rank/rank1-a.html
http://honkaku.com/ 公式サイトでは全選評も読めます。
小説ではありませんが、「綾辻行人・有栖川有栖からの挑戦状 安楽椅子探偵」シリーズは、まさに論理による犯人当てです。第六作までのDVDが出ています。
>すでにお読みかもしれませんが
実はヴァン・ダイン、エラリー・クイーン以外の本格推理作家の名前や分布には疎いです。
調べてみたところ、有栖川作品はかなり私の嗜好に合いそうな気がします。
安楽椅子探偵シリーズのような面白い趣向のドラマが存在したとは全く知りませんでした。
次回放送の時は是非リアルタイムにチャレンジしてみたいです。
海外物ではハリイ・ケメルマンの『九マイルは遠すぎる』がおすすめです。
二人の議論のやりとりだけで謎の解明に向かいます。
日本人が書いたものでは都筑道夫の『七十五羽の烏』がおすすめです。
作者は文中で一つも嘘をつかずに事件解決の手がかりを読者の前に明示しています。
この作品はシリーズものの第一作で二作目は『最長不倒距離』、3作目は『朱漆の壁に血がしたたる』と続きます。
また『七十五羽の烏』にインスパイアされた作品として『星降り山荘の殺人』という作品もあり、こちらも評価は高いです。
>二人の議論のやりとりだけで謎の解明
論理の遊びとして洗練された形ですね。
すべて読んでみたいと思います。
(既出のものは省略)
論理ゲーム的な性格の強いものということで
・「どちらかが彼女を殺した」「私が彼を殺した」 以上 東野圭吾
完全に論理ゲームです。推理の材料が揃ったところで話は終わってしまいます。(「後は自分で推理しろ」的な趣向)
・「迷路館の殺人」「黒猫館の殺人」 以上 綾辻行人
館シリーズは案外「論理性」という点では弱いかもしれませんが、このあたりは大丈夫なはず。
・「扉は閉ざされたまま」 石持浅海
倒叙です。
色々と逆転した趣向が多いですが、論理のぶつけ合いで進行するという点では該当するかと。
過去に比較的似た質問があったので、そちらも見てみるといいかもしれません
http://q.hatena.ne.jp/1094133103 (条件の4)
以下余談(引っかかったので)
・「本格ミステリ」という単語は島田荘司が明示的に定義したものがある(本格ミステリー宣言)ので、
改めて定義されると違和感があります(趣旨は判りますが)
・「最低限「解決前に、事件を解明するための全ての情報が読者に提示されるもの」」
それだけで無茶苦茶限定してますw
本格ミステリ大賞の受賞/ノミネート作品でも、該当しない作品が大半ではないでしょうか。
島田荘司という人の定義がどの程度権威のあるものなのかわかりませんが、はてなキーワードに
>「100人本格好きな人間がいれば、100通りの本格の定義がある」と言われており、明確な定義付けはできない
とあったので、少なくともこの質問に限っての定義を明確に提示しなければ意図しない作品が挙げられる可能性があると考えて定義しただけです。
今回の本格ミステリの定義付けをこの質問の外のおいても他人に押しつけるつもりはありません。
>該当しない作品が大半ではないでしょうか
母数がどの程度あるのか見当がつきませんが、その少ない中から紹介して頂きたいと申し上げています。
>「どちらかが彼女を殺した」「私が彼を殺した」
答えがないというはある意味、究極的な形ですね。
早めに読んでみたいと思います。
論理性重視の本格ミステリ作家と言えば,現在の新本格ミステリ作家にも大きな影響を与えた,鮎川哲也は外せないかと思います。
活躍したのは昭和期ですが,この数年で文庫の復刊が進み,入手しやすくなっています。
鬼貫警部と星影龍三というレギュラー探偵がいますが,それぞれの代表作がこちら。
ただ,どちらの作品もやや取っ付きが悪いところがあるため,最初に手に取るならばこちらの短編集2冊の方がよいかもしれません。
下り“はつかり”―鮎川哲也短編傑作選〈2〉 (創元推理文庫)
熱狂的なファンの多い作家ですので,ネット上にも多数ガイドや書評があります。
まずは短編から手掛けていって徐々に長編にも挑んでいこうと思います。
評価が高い作家のようなので安心して取り組めそうです。
C・デイリー・キングの「鉄路のオベリスト」は「全ての情報が読者に提示される」に当てはまるが、絶版。
「空」と「海」は未読だが、多分同系統の本格と思われる。
今簡単に入手できるものとしては、コリン・デクスターあたりはどうでしょう。
「キドリントンから消えた娘」など。
コリン・デクスター作品の「仮説提示と論理的検証」と「論理のアクロバット」とやらにとても惹かれます。
早めに読んでみたい作風ですね。
C・デイリー・キング作品も入手できる機会があれば読んでみたいです。
『Q.E.D. 証明終了』は、タイトルだけでもうグッと来ますね。
Wikipediaでの記述を見る限りとても面白そうです。
早速入手してみたいと思います。