PBRを計算する際の元となる1株資産というのはあくまでも決算上の数値を元にして出しています。資産には現金・有価証券、売掛金、土地、設備(機械、建物)等々いろいろなものがあります。現金などは財務諸表に載っている数値をそのまま手に入れることができると思われますが、土地などはいざ売るとなった場合は、なかなか財務諸表上の値段では売りにくいのが実情です。企業の持つ土地は広大なものが多く、買い手が限られてくること、土地を売らなければならない、というのはその企業が相当追い込まれた状況であることを意味し、買い手に買い叩かれる、ことなどが原因として挙げられます。
また設備などは減価償却で一応、その設備が導入されてからの年数に応じて、値段を割り引いてはいるものの、土地以上にその設備を買う相手は限られているため、さらに買い叩かれやすいものと思われます。
またPBR計算の際に使う「資産」ですが、負債を使って手に入れた資産も含まれます。当然、企業が解散する際には、資産を売ったお金を債権者に返さなくてはなりません。その残りが株主に支払われることになります。(実際にはもっと複雑ですが)
お考えのパイオニアですが、自己資本比率が34.1%となっています。これは単純に考えて資産の34.1%が株主の出したお金で手に入れたもので、残りの65.9%は負債で手に入れたものとなります。ということは、仮にパイオニアが解散した際、売り払った資産で手に入れたお金の3分の2は債権者側に返さなければならず、株主の手に入れられるのは残り3分の1程度となります。
つまり資産に着目した投資をする場合、パイオニアはあまり的確ではないと考えられます。
資産に注目して投資をするならば、証券会社などのスクリーニング機能を使って例えば「PBRが0.7以下で自己資本比率が60%以上」等の絞込みをかければ、それにふさわしい企業はたくさん出てきます。ただし、これらの企業の数多くが将来性の低い事業を行っていたり、赤字決算が常態化していたりするので要注意です。(逆に言えば、そんな企業だからこそ、そんなに株価が下がるまで売られている、とも言えるのですが)
http://money.jp.msn.com/Columnarticle.aspx?ac=fp2007061200&cc=01...
コメント(2件)
解散した場合の財産分配ですが、まず債権者への返済にあてられます。その後残りがあった場合にのみ、株主が株数に応じて分配されます。ただし発行株にもいろいろあるので、それによってまた分配の優先順位が出てきたりします。
また資産も決算期という過去のある時点のものであり現在の価格ではないので、ここまであらゆる価格下落が続いている場合、再度決算で算定したら大きな評価減が出てしまう、というのもありえます。パイオニアでいえば、たとえば在庫商品が市場価格の下落に伴い評価減しなければならないことが挙げられます。