ウェルネットが親子逆転の株式交換で一高を完全子会社化する予定です。一高株主にはウェルネットの新株35819株が交付されます。しかし、一高は黒字のエネルギー事業とウェルネット35950株を持っているので、一高の株主から見れば「ウェルネットが一高のエネルギー事業をタダで手に入れるため、129株のプレミアムを支払う」不利な交換条件となっています。
株式交換の目的はウェルネットの資本的独立なので、ウェルネット株の現物配当でも同目的は達成されます。この際、税金の額よりも(犠牲となる)エネルギー事業の価値が大きいということになれば、株式交換の経済的合理性が認められなくなると思います。
そこで質問なのですが、持ち株数に応じた比例的な子会社株式の現物配当はどのように課税が行われますか?また、仮に子会社株式を現物配当された場合、特定口座を開いていても確定申告は必要ですか?
上場会社では子会社株式の現物配当の前例がないので難しい質問かもしれませんが、みなさんのご意見をお聞かせ下さい。
子会社株式の現物配当に関し税法上の特別な定めはなく、通常の配当と同様に取り扱われます。したがって、個人株主であれば配当所得として、法人株主であれば一定額の益金不算入の後課税所得となります。
個人株主の場合、確定申告が必要となるかどうかですが、配当の合計が100万円を超える場合には確定申告が必要となりますが、それ以外の場合には源泉徴収だけで確定申告の必要はありません。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1331.htm
源泉徴収をするための資金はどうするのかというポイントについては、こうしなければならないというルールはありませんが、すべての株主から源泉税分の現金を集めるのは実務的に不可能でしょうから、源泉税分の現金配当を同時に行うということになるでしょう。つまり、90万円の現物配当を行うのであれば、10万円の金銭の配当を同時に行い、配当の総額を100万円とするわけです。
それにしても、面白い質問ですね。仮想的な取引についてここまで考えを進められるのには何か特別な理由があるのか興味がわきます。差し支えなければ、教えていただけませんか?
適格合併・適格現物出資であれば帳簿価格が引き継がれて、課税はとりあえず繰り延べられるはずです。
http://matsumoto-ca.blog.so-net.ne.jp/2008-01-28
http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_2963.html
http://www.nouzeikyokai.or.jp/yomimono/news/img/0511/2.pdf
http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/tax/200502_1/01.html
その場合、株主には課税されません。(所得税法25条1項1号カッコ書き)
非適格で元より儲かったと看做されれば、みなし配当として課税されます。(所得税法25条1項1号本文)
しかし、配当所得扱いなので結局のところいずれにせよ原則として確定申告は不要のはずです。
(配当等とみなす金額)
第二十五条 法人(法人税法第二条第六号 (定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の同条第十六号 に規定する資本金等の額又は同条第十七号の二 に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配とみなす。
一 当該法人の合併(法人課税信託に係る信託の併合を含むものとし、法人税法第二条第十二号の八 に規定する適格合併を除く。)
二 当該法人の分割型分割(法人税法第二条第十二号の十二 に規定する適格分割型分割を除く。)
三 当該法人の資本の払戻し(株式に係る剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち、分割型分割によるもの以外のものをいう。)又は当該法人の解散による残余財産の分配
四 当該法人の自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項 (定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第五十七条の四第三項第一号 から第三号 まで(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に掲げる株式又は出資の同項 に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)
五 当該法人の出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、当該法人の出資の払戻し、当該法人からの社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は当該法人の株式若しくは出資を当該法人が取得することなく消滅させること。
六 当該法人の組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした当該法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。)
2 前項に規定する株式又は出資に対応する部分の金額の計算の方法その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
ご意見ありがとうございます。
一高が持つウェルネット株を一高株主に分配しても、ウェルネットの株主が異動するだけです。適格合併・適格現物出資のどちらにも当たりません。あとは、課税されるかどうかは「もとより儲かったかどうか?」次第のようですが、何を基準に儲かったと判断されるのでしょうか?
配当は支払時に源泉徴収されると思いますが、税金を取り立てるために、現物配当された株の一部は勝手に売られてしまうのでしょうか?証券口座に税金分の資金を準備しておかなければいけませんか?
>仮に子会社株式を現物配当された場合
現物配当なので、取得原価が増えるだけで、この時点では確定申告はいりません。
ご意見ありがとうございます。
申し訳ありませんが、何の取得原価が増えるのでしょうか?
ちなみに、一高の貸借対照表上は子会社株式の簿価が5億程度だったと思います。その時価は約20億です。
子会社株式の現物配当に関し税法上の特別な定めはなく、通常の配当と同様に取り扱われます。したがって、個人株主であれば配当所得として、法人株主であれば一定額の益金不算入の後課税所得となります。
個人株主の場合、確定申告が必要となるかどうかですが、配当の合計が100万円を超える場合には確定申告が必要となりますが、それ以外の場合には源泉徴収だけで確定申告の必要はありません。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1331.htm
源泉徴収をするための資金はどうするのかというポイントについては、こうしなければならないというルールはありませんが、すべての株主から源泉税分の現金を集めるのは実務的に不可能でしょうから、源泉税分の現金配当を同時に行うということになるでしょう。つまり、90万円の現物配当を行うのであれば、10万円の金銭の配当を同時に行い、配当の総額を100万円とするわけです。
それにしても、面白い質問ですね。仮想的な取引についてここまで考えを進められるのには何か特別な理由があるのか興味がわきます。差し支えなければ、教えていただけませんか?
ご意見ありがとうございます。大変参考になりました。
当方、一高のエネルギー事業の安定性に惹かれて、長いこと一高の株主をやっています。はっきり言って含み損ではありますが、安定的な配当収入が入ってくるのは魅力です。ところが株式交換だとこの配当はなくなってしまいます。
現物配当なら、ウェルネットが資本的に一高から独立できるし、ウェルネット成長の恩恵にも直接あやかれ、さらに配当金の楽しみもなくなりません。支払う税金よりも犠牲となるエネルギー事業の価値が大きければ、現物配当は株式交換よりも経済性のあるスキームだと判断できると思います。
一高のリリースだと、現物配当は眼中になかったようで、株式交換の代替案として検討はされてません。もし現物配当が可能で、そちらのほうが経済的にメリットがあるなら、そうすべきだと思います。
株主提案権を持っていないので代替案を会社に提案することは出来ませんが、採決では自信をもって株式交換に反対票を投じることができそうです。
株式交換の場合はみなし配当ではなく、譲渡所得の問題になったと思います。
すみません。
この場合も、適格株式交換はもちろん、非適格株式交換でも、株式以外が交付されなければ課税は繰り延べられる制度になっています。
(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)
第五十七条の四 居住者が、各年において、その有する株式(以下この項において「旧株」という。)につき、その旧株を発行した法人の行つた株式交換(当該法人の株主に法人税法第二条第十二号の六の四 (定義)に規定する株式交換完全親法人(以下この項において「株式交換完全親法人」という。)の株式(出資を含む。以下この項において同じ。)又は株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式若しくは出資(当該株式交換完全親法人が有する自己の株式を除く。)の全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式のいずれか一方の株式以外の資産(当該株主に対する剰余金の配当として交付された金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。)により当該株式交換完全親法人に対し当該旧株の譲渡をし、かつ、当該株式の交付を受けた場合には、第二十七条(事業所得)、第三十三条(譲渡所得)又は第三十五条(雑所得)の規定の適用については、当該旧株の譲渡がなかつたものとみなす。
2 居住者が、各年において、その有する株式(以下この項において「旧株」という。)につき、その旧株を発行した法人の行つた株式移転(当該法人の株主に法人税法第二条第十二号の七 に規定する株式移転完全親法人(以下この項において「株式移転完全親法人」という。)の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。)により当該株式移転完全親法人に対し当該旧株の譲渡をし、かつ、当該株式移転完全親法人の株式の交付を受けた場合には、第二十七条、第三十三条又は第三十五条の規定の適用については、当該旧株の譲渡がなかつたものとみなす。
3 居住者が、各年において、その有する次の各号に掲げる有価証券を当該各号に定める事由により譲渡をし、かつ、当該事由により当該各号に規定する取得をする法人の株式(出資を含む。以下この項において同じ。)又は新株予約権の交付を受けた場合(当該交付を受けた株式又は新株予約権の価額が当該譲渡をした有価証券の価額とおおむね同額となつていないと認められる場合を除く。)には、第二十七条、第三十三条又は第三十五条の規定の適用については、当該有価証券の譲渡がなかつたものとみなす。
一 取得請求権付株式(法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主等が当該法人に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合の当該株式をいう。) 当該取得請求権付株式に係る請求権の行使によりその取得の対価として当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該請求権の行使
二 取得条項付株式(法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件として当該株式の取得をすることができる旨の定めを設けている場合の当該株式をいう。) 当該取得条項付株式に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合(その取得の対象となつた種類の株式のすべてが取得をされる場合には、その取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式及び新株予約権のみが交付される場合を含む。)の当該取得事由の発生
三 全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(以下この号において「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。) 当該全部取得条項付種類株式に係る取得決議によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式(当該株式と併せて交付される当該取得をする法人の新株予約権を含む。)以外の資産(当該取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されない場合の当該取得決議
四 新株予約権付社債についての社債 当該新株予約権付社債に付された新株予約権の行使によりその取得の対価として当該取得をする法人の株式が交付される場合の当該新株予約権の行使
五 取得条項付新株予約権(新株予約権について、これを発行した法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件としてこれを取得することができる旨の定めがある場合の当該新株予約権をいい、当該新株予約権を引き受ける者に特に有利な条件又は金額で交付された当該新株予約権その他の政令で定めるものを除く。) 当該取得条項付新株予約権に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる新株予約権者に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該取得事由の発生
六 取得条項付新株予約権(新株予約権について、これを発行した法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件としてこれを取得することができる旨の定めがある場合の当該新株予約権をいう。)が付された新株予約権付社債 当該取得条項付新株予約権に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる新株予約権者に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該取得事由の発生
4 前三項の規定の適用がある場合における居住者が取得した有価証券の取得価額の計算その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO033.html
それで、その要件も満たさないときは、時価と簿価の差額に対して課税されることになるはずですが、源泉徴収の場合、証券会社が納税義務を負うので、とりあえず源泉徴収額は証券会社が払い、あとは証券会社と顧客の間だけの問題となります。
その場合の処理は約款に定めてあると思います。
株式交換に関する規定だったかどうかは定かではないですが、何らかの理由で顧客が源泉徴収税額相当を期限までに払わないとき(口座に資金があればそこから支払うようになるんじゃないかと思います)は、証券会社が勝手に株式を売ってそれにあてますよというような規定を見たような気がします。
ご意見ありがとうございます。
現物配当を受けた場合も、源泉徴収の処理は多分一緒ですね。あとで証券会社の約款を読んで見ます。参考になりました。
ご意見ありがとうございます。大変参考になりました。
当方、一高のエネルギー事業の安定性に惹かれて、長いこと一高の株主をやっています。はっきり言って含み損ではありますが、安定的な配当収入が入ってくるのは魅力です。ところが株式交換だとこの配当はなくなってしまいます。
現物配当なら、ウェルネットが資本的に一高から独立できるし、ウェルネット成長の恩恵にも直接あやかれ、さらに配当金の楽しみもなくなりません。支払う税金よりも犠牲となるエネルギー事業の価値が大きければ、現物配当は株式交換よりも経済性のあるスキームだと判断できると思います。
一高のリリースだと、現物配当は眼中になかったようで、株式交換の代替案として検討はされてません。もし現物配当が可能で、そちらのほうが経済的にメリットがあるなら、そうすべきだと思います。
株主提案権を持っていないので代替案を会社に提案することは出来ませんが、採決では自信をもって株式交換に反対票を投じることができそうです。