最近、小児科医院で少女漫画誌のマーガレットなどを読み、その多くの掲載作品において、肉体関係があることを少なくとも示唆されていることに驚愕いたしております。
そこで質問させていただきます。
1)少女漫画における肉体関係の肯定・あるいは前提化はいつごろからの流れなのか
2)想定読者年齢層がどれくらいの漫画雑誌にこの流れが見られるのか
3)ターニングポイントとなった作品・作家が特定できるのか
4)レディコミ、少年漫画などの影響と考えてよいのか?
1)昔から「少女コミック」ではありましたよ。北川みゆきさんやすぎ恵美子さんが台頭してきたあたりなので、80年代半ば~後半くらいかな。現在40歳の方なら昔に読んだことある方結構いらっしゃるかと。と思ったら質問者さん男性なのですね、どおりで。
2)「少女コミック」なんかだと、小学生から高校生、と前出のウィキペディアには書いてありますが、これ以外の大抵の雑誌でも、実際は小学生とは言っても低学年はあまり視野に入れていないと思います。わりと低年齢を想定した「りぼん」などではさすがにないと思うし。
3)ターニングポイントとなった作品・作家が特定できるのか……は少し難しいです。プロの評論家(?)によっても少しずれるかも。私は前述のとおり、ターニングポイントは既に80年代には来ていて、作家としては、故すぎ恵美子さんあたりだと思っていますが。
2000年前後に『げっちゅー』がネット界隈で有名になってAAもできましたが(笑)、80年代だと『♂(あだむ)と♀(いぶ)の方程式』などは有名でしたね。
まあでも「マーガレット」あたりではその頃は確実にそういうのはなかったですから、また別のターニングポイントがあったのでしょう。法的な縛りとは裏腹に、性体験の低年齢化は進んでいるし、今や「小学五年生」「小学六年生」といった雑誌で「はじめてのメイク」などの特集組まれる時代ですし(最近は化粧している小学生ほんとに多いんですよね。これは90年代後半頃からかな)。ニーズに合わせているんだと思います。
4)私は「レディコミ、少年漫画などの影響」とは考えません。時代の要求に応えているのだと思います。部数売れなきゃ困るので、大人の都合でえげつなくなっているのかもしれない。
肉体関係があっただろう、のようなことが想定できる状況がみとめられるというのは、少女マンガの世界ではかなり昔(ベルばら時代くらいにはすでにもうありました。ベルばらにもそのような記載がありますし)
からあったことです。
ただし、実際やっている、というようなのがはっきりエロシーンとして描かれるようになる流れのをつくったのは、快感フレーズという漫画(新城まゆ作)が走りです。
この漫画の大ヒットにより、それまで高校生、中学生の漫画市場が伸び悩んでいた救世主的な作りとして、過激なエロを入れるというのがそれ以降はやりました。
はっきりしたエロシーンに関しては、そこがターニングポイントであることは確かであります。
むしろ少年漫画では、高校以下の雑誌に関して、同年代少女雑誌ほどのエロシーンはありませんので、これらの影響ではありません。
また、過激なエロシーンに関しては、少年の場合、犯罪に結びつく可能性があるためにかなり規制がかかっていますが、少女誌の場合は、それらの危険がないとのことで、年齢層がひくいものでも、規制がすくないようです。
回答ありがとうございます。
少女マンガの場合、恋愛が眼目ですので、当然ながら性も取り扱うというのはわかるのですが、僕がむかーし読んでいた少女マンガは、キスで「上がり」となる禁欲的なものが多かったと記憶しているので、少々びっくりしたわけです。
なるほど「快感フレーズ」という作品のヒットが大きかったのですね。
「少年の場合、犯罪に結びつく可能性があるためにかなり規制がかかっていますが、少女誌の場合は、それらの危険がないとのことで、年齢層がひくいものでも、規制がすくないようです」というのもとても興味深く思いました。
少女漫画論の代表的な文献と言えば、藤本由香里『私の居場所はどこにあるの? 少女マンガが映す心のかたち』です。この朝日文庫版によると
1)少女漫画における肉体関係の肯定・あるいは前提化はいつごろからの流れなのか
藤本由香里は65頁に、一条ゆかりの「たしか「ラブ・ゲーム」という作品だったと思うが、少女マンガにはじめて全裸のセックス・シーンが登場した時の驚きは忘れられない」と書いています。「ラブ・ゲーム」が少女漫画の性の場面に一石を投じたようです。
本格的なのは、池田理代子『ベルサイユのばら』です。「少女マンガはじまって以来初めての本格的なベッドシーン」(66頁)
2)想定読者年齢層がどれくらいの漫画雑誌にこの流れが見られるのか
『ベルサイユのばら』は、「全国の女子中・高生を震撼させた」(66頁)とあります。
3)ターニングポイントとなった作品・作家が特定できるのか
一条ゆかり「ラブ・ゲーム」
池田理代子『ベルサイユのばら』
4)レディコミ、少年漫画などの影響と考えてよいのか?
『ベルサイユのばら』には、「生涯かけてわたしひとりか!わたしだけを一生涯愛しぬくとちかうか?」という「究極の愛の誓い」があります。「この「生涯でただ一人の相手」というモチーフは、一九七〇年代の少女マンガにはかなり強固」(69頁)とあります。
このことから考えても、少女漫画家たちがその読者たちのことを考えて、手探りで性の描写を検討してきたと言えると思います。
「少女マンガは、もっともその時代の女性の価値観を敏感に映しだしてきた分野」(24頁)などのことを、藤本由香里は本書で何度も言っています。女性たちの現実と重ねあわせるように(決して虚構ではなく)積み上げられてきたものというのは、少女漫画論の複数の文献で指摘されてきています。
藤本由香里『私の居場所はどこにあるの? 少女マンガが映す心のかたち』は、少女漫画論の代表的な文献ですが、少女漫画に「自然」に描かれてきた男性の高身長描写の批判的指摘が一切ないので、以下で指摘しました。最後に参考文献一覧を載せているので、そこにある少女漫画論の文献を読めば、少女漫画の時代の流れや、少女漫画と現実の女性たちとの密接な結び付きも分かると思います。
1976年から今も(!?)続いているという少女漫画
「王家の紋章」でも、お目目きらきらで星をちりばめている一方、
ベッドシーンや、妊娠・流産というのまで出てきていたようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%8B%E5%AE%B6%E3%81%AE%E7%B4%8...
「少年の場合、犯罪に結びつく可能性があるためにかなり規制がかかっていますが、少女誌の場合は、それらの危険がないとのことで、年齢層がひくいものでも、規制がすくないようです」
と記載しましたが、この件で補足です。
こちらは国がなんか法律的なもので規制しているわけではなかったと思います。(確か)
業界の自主規制的なものだった・・・とは思いますが、以上のような理由から少年少女で規制を変えるというルール自体は存在しています。
また、上記の理由から、少女マンガ雑誌といっていいのかわからないですが、エロメインのレディコミ?のような少女雑誌でも、18禁ではないにもかかわらず、露骨な性描写があるものもあります。これに関しては結構話題になってました。18禁じゃないの!?みたいな感じで、どこだったか忘れましたが、ググったりすればでてくるかも。
http://www.new-akiba.com/archives/2008/05/post_15589.html
↑とおもって自分で調べたら出てきました。
解答ありがとうございます。
僕が読んでいたのは「りぼん」「別冊マーガレット」「花とゆめ」あたりでした。少女コミックは観測範囲外でした。
80年代から性描写があったのですねー。
で、考えてみれば「花とゆめ」には「紅い牙 ブルーソネット」なんかもあったなあ、と。
「パタリロ」の♂同士の性描写シーンは、女の子にしてみれば完全にファンタジーと考えてよいかもしれません。
時代としてはレディースコミック勃興から全盛期に、少女マンガでも性描写がはじまったというのは興味深くもあります。