他国の著者のねらいを明確にするため、意図的に回りくどい翻訳がされている書籍
高度な専門書籍や古い書籍、登場人物の多すぎる小説など・・・
皆さんは、このような本を読まなければならない時、どのように克服していますか?
その書籍のタイトル(or分野)と大変だったところを添えて、
それを克服する手法を教えてください。また、そのような本を読破する方法でも結構です。
論説文の場合
小説みたいにネタバレを気にしなくてよく、著者の「言いたいこと」がわかればいい場合は、以下のような方法がありますね。
1. 目次と見出しを熟読する。
中には目次を読めば大体言いたいことがわかるくらい詳しい本もあります。また、優秀な編集者が編集した本の場合、見出しを追っていくだけでも内容がきちんとまとめられていることもあります。この目次と見出しをしっかり把握した上で読むと、著者の言いたいことを理解しやすくなります。ただし、目次や見出しが少ない場合、あるいは「……について」くらいの内容しか載っていない場合には使えないワザですね。
2. 結論・まとめ・解説部分を先に読んでしまう。
とにかく著者が何を言いたいのかという結論部分を先に読みます。そうすると、なんでそう結論づけられるの?というような部分もあると思います。そこで最初に戻るわけです。そうなれば、問題意識をもって読めるので、もう一度結論を読むときには深まっていると思います。また、本に付けられた他者の解説やあとがきなどを先に読んでしまうのも手ですね(ただし、他者の読解であることはわすれずに)。
3. とりあえず数回通読してしまう。
よくわからないところがあっても、ほったらかしにして一回通読します。そして、もう一度読みます。さらにもう一度。わかりにくいところで止まるより、先に進んで全体像を把握した方がわかりやすくなります。また、後の部分で理解できる場合もあります。
小説の場合
小学校のときに『指輪物語』にはまった経験があります。これは大変でした。
1. 人物関係を把握する。
複雑な長編小説で挫折する最大の難関は、人物関係が混乱することです。「これ、だれだっけ?」
ハヤカワなどの場合は、カバー見返しに主な登場人物が簡潔に一覧されていることがあります。この程度でよいので簡単にメモしておくのもよいかもしれません。
エルリック……流浪の皇子
エレコーゼ、コルム、ホークムーン……永遠の戦士
イイルクーン……エルリックの従兄
サイモリル……エルリックの許嫁
アリオッホ……〈混沌の神〉
相関図とか作り始めると、それが楽しければそれもまたよしなのですが、たいていは面倒になりがちなので、できるだけ簡潔に一言、思い出しやすいポイントをメモしておくとよいと思われます。銀英伝なら「帝国」と「同盟」と「その他」というように、陣営ごとに分けるだけでも理解しやすくなりますね。
2. 場所を意識する。
舞台となっている場所、地名を、単に読み流すのではなく、地図で確認すると、印象に残りやすくなり、ストーリーが把握しやすくなります。
いずれの場合も、原著がある場合はそちらに当たるのが一番ですが、原著を理解する前に翻訳書で概要を頭にたたき込んでおくとさらに読みやすいですね。
推理小説の場合はちょっと読み方が違うと思いますが、これはあまり詳しくないので、専門の方にお任せします。
原文で読める物は、なるべく原文でも読む様にしています。
辞書を使ったり、訳との比較をすると新しい発見もあり、
語学の勉強にもなるし、知識も深まり良いかと思います。
特に古い英語の出て来る、シェイクスピアなどは、
(現代)英語で読んでも劇的に脚色された
難解な言い回し、凝った言い回しの部分があり、
なぜ英国人でも英語の教科書に使っているか
理解が深まる部分があり、興味深いです。
日本人が古語や古事記を読む様な感覚ですが、
訳されてしまえば、同じ現代言葉になっていて、
ちょっと面白味が欠けるような感じです。
また、SFも原文で読んだ方が、ネーミングなどの
言葉ひねり具合が面白かったりします。
英語は基本的に日本語よりはシンプルな言語なので、
原文で読んだ方が楽な場合がありますが、
特に苦労したのは文法に変化の多い
(また、あまり得意ではない、片言の)ラテン系言語です。
しかし、フランス語などは、訳にできない様な
言い回しの様な部分でも、日本語の様な繊細で微妙な
ニュアンスの違いがでてくる場合があります。
例えば、哲学的な、サルトルの「嘔吐」ですが、
日本語の名訳でさえ、なぜその詩的な単語をあえて
そこで使う必要があったのか、などは原書で見て、
比較をしたことがあり、感銘を受けたことがあります。
回答ありがとうございます。
著者と翻訳者の意図に、どのような違いがあるか(ないか)見ていくのも楽しそうです!
しかし、基本的には原書を読まなくてもある程度理解して貰えるように編集して頂いていると思うので
そのような本を、どのようにしたら上手に読めるのかも知りたいです。
とにかく早く読み切りたい、というのであれば別ですが、読むスピードにこだわらないのであれば、読んでは戻り、を繰り返すのは有効ではないかと思います。
一段落でも一ページでも(よほど複雑な作りの文章でない限り、1文ではちょっと短すぎる気がします)良いですが、まず分からないところがあっても、とにかくざっと目を通し、その後あまり理解できていなければ、注を読んだり辞書を引いたりしながら読み直すという読み方です。
「英語の本は辞書を引かずに読め」などと言うようですが、これはたぶん、あまり細切れにしすぎると、部分は分かっても全体が把握できないからなのでしょう。
ですので、まず全体を把握することから始めて、それから部分の理解に戻る方が良いように思います。
たとえば、哲学寄りの本などは、普段自分が避けて通っている関係で、用語や概念の把握からして大変だったりします。
こういう本を読むときには、私はいつもこの読み方をします。
趣味で読んでいるだけなので、どうしても分からないところは平気で飛ばしますし、ちゃんと理解できているかどうかは自分では何とも言えないのですが、ただ最初から流して読むだけよりは理解できている気がします。
それから、古典文学なども同じ読み方をしますね。
ある程度勢いというか、テンポを保って読めるので、ぶちぶちに切って読むより読み進めやすいです(感覚的に、かも知れませんが)
私はこういう感じなのですが、お役に立てれば幸いです。
そうそう、友人に、登場人物の多い小説は、相関図を書きながら読む、という人がいましたよ。
参考までに。
回答ありがとうございます。
読み返す方法は、私も良くあります。日本語なのに3度読み返してやっと理解できたり・・・。
相関図にしてメモしている方もいるのですね。参考にしてみます!
丸善の読者 ~ 本を書く人、訳す人、そのまた本を睨む人 ~
── 新聞記者が唐突に「私はアダムです、奥さん。そしてエルバに逢
うまでは可能者(エイブル)でした」と言う場面がある。訳者はこれに
注をつけ、「エルバ Elba 即ち able 可能という字を Eva エバにから
んで発音したもの。不可能なことなしの意か」「可能者、アベル即ち
アダムの子にかける」としているが、何度読み直してもわからない。
そのときふと思い出したのは、中字三年のときつけていたO社の学生
日記の豆知識欄に英語の廻文というトピックがあり、Able was I ere I
saw Elba(予はエルバ島を見るまでは不可能ということを知らなかった)
というのがあったことである。早速洋書店で「ユリシーズ」の原本にあ
たってみると、間違いない。私はわくわくする思いで伊藤整氏に手紙を
書いた。(略)
数日後、感謝の手紙をもらったが、そのことはどうでもよい。いらい
私は翻訳で意味がとりにくい個所は、原文が難解なのではなく、訳者が
十分意味を汲みとっていないか、誤訳の疑いがあるということなので、
必ず原書を参照すべしという教訓を得た。(略)私は洋書店に延ベ二ヶ
月間通って、大半に目を通し終えた。そのあいだ、本が売れないこどを
祈り、しまいには棚の奥の方に隠したりしたのが、今では懐しい思い出
である。……(輪廻と転生『ユリシーズ』現代世界文学全集 10-11)
── 紀田 順一郎《世界の書物 19890320 朝日文庫》P431
── ジョイス/伊藤 整&永松 定・改訳《ユリシーズ 1955‥‥ 新潮社》
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/B000JB4J0M
紀田 順一郎 評論 19350416 神奈川 /籍=佐藤 俊(たかし)
伊藤 整 作家 19050116 北海道 19691115 64 /19570313 チャタレー事件
永松 定 翻訳 19040408 熊本 19850207 80 /熊本女子大学名誉教授。
Joyce, James A. A. 18820202 Ireland Zurich 19410113 58 /Augustine Aloysius
── 今までの小説は永遠を前提としていたが、今の小説は、「時間を
背景にした時間の物語」だといった。(平井 正穂)
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19211030
ジョイス紀元0年 ~ 脱キリスト教時代 ~
回答ありがとうございます。
翻訳者の経歴や論文などを元に購入を行っているので、
誤訳によらない本や日本語化できない本であることを熟知した上で出版されている本の購読法などもあれば教えて頂けるとありがたいです。
論説文の場合
小説みたいにネタバレを気にしなくてよく、著者の「言いたいこと」がわかればいい場合は、以下のような方法がありますね。
1. 目次と見出しを熟読する。
中には目次を読めば大体言いたいことがわかるくらい詳しい本もあります。また、優秀な編集者が編集した本の場合、見出しを追っていくだけでも内容がきちんとまとめられていることもあります。この目次と見出しをしっかり把握した上で読むと、著者の言いたいことを理解しやすくなります。ただし、目次や見出しが少ない場合、あるいは「……について」くらいの内容しか載っていない場合には使えないワザですね。
2. 結論・まとめ・解説部分を先に読んでしまう。
とにかく著者が何を言いたいのかという結論部分を先に読みます。そうすると、なんでそう結論づけられるの?というような部分もあると思います。そこで最初に戻るわけです。そうなれば、問題意識をもって読めるので、もう一度結論を読むときには深まっていると思います。また、本に付けられた他者の解説やあとがきなどを先に読んでしまうのも手ですね(ただし、他者の読解であることはわすれずに)。
3. とりあえず数回通読してしまう。
よくわからないところがあっても、ほったらかしにして一回通読します。そして、もう一度読みます。さらにもう一度。わかりにくいところで止まるより、先に進んで全体像を把握した方がわかりやすくなります。また、後の部分で理解できる場合もあります。
小説の場合
小学校のときに『指輪物語』にはまった経験があります。これは大変でした。
1. 人物関係を把握する。
複雑な長編小説で挫折する最大の難関は、人物関係が混乱することです。「これ、だれだっけ?」
ハヤカワなどの場合は、カバー見返しに主な登場人物が簡潔に一覧されていることがあります。この程度でよいので簡単にメモしておくのもよいかもしれません。
エルリック……流浪の皇子
エレコーゼ、コルム、ホークムーン……永遠の戦士
イイルクーン……エルリックの従兄
サイモリル……エルリックの許嫁
アリオッホ……〈混沌の神〉
相関図とか作り始めると、それが楽しければそれもまたよしなのですが、たいていは面倒になりがちなので、できるだけ簡潔に一言、思い出しやすいポイントをメモしておくとよいと思われます。銀英伝なら「帝国」と「同盟」と「その他」というように、陣営ごとに分けるだけでも理解しやすくなりますね。
2. 場所を意識する。
舞台となっている場所、地名を、単に読み流すのではなく、地図で確認すると、印象に残りやすくなり、ストーリーが把握しやすくなります。
いずれの場合も、原著がある場合はそちらに当たるのが一番ですが、原著を理解する前に翻訳書で概要を頭にたたき込んでおくとさらに読みやすいですね。
推理小説の場合はちょっと読み方が違うと思いますが、これはあまり詳しくないので、専門の方にお任せします。
回答ありがとうございます。
分かり易くまとめてもらって嬉しいです。
参考にさせていただきます!
回答ありがとうございます。
分かり易くまとめてもらって嬉しいです。
参考にさせていただきます!