こちらの解決編をalpinixに代わって執筆して下さい。
特段の制約はありませんが、一応フラグを埋めたつもりなのでうまく拾っていただけた方に高配点orいるかとさせていただきます。
※最後の「なぜ?」に答えがついていたらOKとします。多少強引でも構いません。
11月7日(日)夜に締め切り、一斉オープンします。
Re: 老人とラブレター
「ごちそうさま」
箸を置いたわしは、妻の顔をまじまじと見つめた。
“以前と変わらぬ妻"。
「なあ、茉莉子」
「なんです?」
「わしらが出逢ってから、もう40年も経つんだな」
「そうですね。あの日もこんな寒い日でした。それでもあなたったら、コートもお召しにならずに早足で」
「おまけに眼鏡も忘れたもんだから、気付いたらお前が目の前にいた。あれも一つの運命だったのかなあ」
「いやですよ、やぶから棒に。お茶碗、かたしますね」
書斎に戻ったわしは、寒さを感じて暖炉に火を入れ、もう一度内鍵をかけた。
椅子に腰掛け、おそるおそる封筒を手に取る。
間違いない。
“開封されないまま”の封書には、うっすらと消印が押されている。
思い人に配達された筈の封書が、開封もされずに私の手元に残っているとすれば、思い人に受け取りを拒否されて私に戻された、としか考えられない。
「悪魔の力を借りても、過去を変える事はできないか」
わしはひとりごちながら、封書を暖炉の炎にくべた。
タンブラーから注いだブランデーが、いつにも増してのどを焼いた。
「これで良かったのかねぇ」
しわがれているともカン高いとも言える声で、ダンタリオンは言った。
「もちろんよ」
茉莉子は食器を洗いながら、振り向きもせずに答えた。
「あの封筒がある限り、あの人は過去にとらわれてしまうわ。この40年間、ずっとそうだった」
「確かに、俺が読んだあいつの心の中では、美化された"思い人"の記憶は結構なものだったな」
「もし手紙を出していて、彼女と付き合っていたとしても、あの人が幸せになれた筈がないのよ。美貌を鼻にかけたファム・ファタール。親同士が知り合いでなければ、友達付き合いもしていなかったくらいの悪女だったんだから」
「ま、俺としては、あいつに消印の幻覚を見せるだけであんたの魂が手に入る、という楽な仕事だったがね。サービスでもう一つくらい願いをかなえてやろうか?」
ダンタリオンの唇の端がつりあがった。笑みのつもりなのかもしれない。
「とりあえずは遠慮しておくわ。どんな罠があるかわからないし」
「おいおい。これでも魔界では『大公爵』なんだぜ、俺は。世が世なら華族のあんたには悪いようにはしないさ」
「悪魔のセリフとは思えないわね」
ダンタリオンは再び唇をつりあげると、煙と化して消えた。
硫黄の匂いに眉をひそめて、茉莉子は換気扇を「強」にした。
居間のソファーに腰を下ろした茉莉子は、CD を長い時間かけて選んだ。
「これも40年前か」
彼女は目をつぶって、曲に聞き入った。
ポールのボーカルが流れる。
"When I find myself in times of trouble, mother Mary comes to me ..."
茉莉子は低くささやいた。
「そう、あるがままに」
(了)
-----------------------------------------------
参考文献:ダンタリオン
[後記]
拾えるかぎりの伏線は拾ったつもりですが、逆に面白味には欠けるかもです。
とは言え、いまさら芸風は変えられませんし。
(3行で終わる解決編も考えましたが、自主規制)
メインテーマはダンタリオン萌えです。
人称が統一されていない点(前半:一人称、後半:三人称)はスルーしてください。
「ふと机を見ると、例の便箋が相変わらずそのまま置かれている。」
からすると、封筒は開封されているようにも思えますが、
「封書は“開封されないまま”わしの書斎に存在」と矛盾するので、
「例の便箋」は「例の封筒」と脳内変換しました。
お楽しみいただければ幸いです。
…そうか…断られたのか……
わしは不意にそう思った。いや、正確には、そんな記憶が、一瞬頭をよぎったのだが……
今となっては、それを確かめることは出来ない。ただこれからも、今までとかわらぬ生活が続くだけだ。後悔が消えたわけでもない。
だが、一つわかった。いつまでも後悔していても、仕方ない。大切なのはこれからだ。だから、いまを精一杯生きようと思う。
終
rihanさん、回答ありがとうございます。
なるほど、前向きで、好感の持てる解決編ですね。
できれば僕はダンタリオン以外の超自然的な要素を排除した解決編を期待していたので、十分満足です。
いやー自分の考えていた展開の意地悪さがよく分かります。
わしは、夕飯の後後、書斎をもう一度調べた、そしてその時思い出した、確かにポストに入れたのだ。
しかし、まぜ今まで封を、開けなかったんだろうか・・・
目を閉じて思い出した
それは、その日の5日後にさかのぼる、返事は来ていた、母がわしを呼んでいた、手紙がとどいたらしい
その手紙を、読まずに書斎にしまったのだ、とうじわしは、例の「モテ期」とやらに到達していて、毎日手紙が届いていたから、
当然全て読むのは、面倒だ捨てるのも悪い、だから手紙は、全て開けずに書斎の本棚に入れておいたのだ。
あれから行く年が過ぎて、戦争中も燃えずに残った本棚、それは昔あら家にあり、なかなか捨てられない、手紙も捨てられない。
そして今日、あの夢か幻かそれとも、本当に・・・
「ダンタリオン、お前はそれを、伝えるために来たのか・・・」
「そうだよ、俺は、そのために来た、願いを叶えてやったんだ感謝しろよ」
「あぁ、ダンタリオン、ありがとよ」
「お礼を言うのは、俺の方さ、ごちそうさま」
ダンタリオンは、ふしぎな笑みを浮かべていた
こうして、わしは封を開けた、書かれていた言葉は、「わかりました、これからもよろしくお願いします」とのことだった
わしの恋は、ちゃんとかなったのだ、わしは満足していた。
そして、疲れてそのまま寝た、布団も掛けずに、安心して・・・
書斎で妻がなぜか泣いていた、孫や息子たちも泣いている、体が起き上がらない、なぜだ?
KK-1437さん回答ありがとうございます。
十分に僕の期待したレベルの回答です。
ただ僕の書き方が良くなかったのか、最後の場面に出てきた封書は返信ではなく、投函されたはずの自分のラブレターなのです。
でもこれはこれで、綺麗に纏まっているのでいいですね。
最後は僕の"引き"を踏襲していただいたようでありがとうございます。
Re: 老人とラブレター
「ごちそうさま」
箸を置いたわしは、妻の顔をまじまじと見つめた。
“以前と変わらぬ妻"。
「なあ、茉莉子」
「なんです?」
「わしらが出逢ってから、もう40年も経つんだな」
「そうですね。あの日もこんな寒い日でした。それでもあなたったら、コートもお召しにならずに早足で」
「おまけに眼鏡も忘れたもんだから、気付いたらお前が目の前にいた。あれも一つの運命だったのかなあ」
「いやですよ、やぶから棒に。お茶碗、かたしますね」
書斎に戻ったわしは、寒さを感じて暖炉に火を入れ、もう一度内鍵をかけた。
椅子に腰掛け、おそるおそる封筒を手に取る。
間違いない。
“開封されないまま”の封書には、うっすらと消印が押されている。
思い人に配達された筈の封書が、開封もされずに私の手元に残っているとすれば、思い人に受け取りを拒否されて私に戻された、としか考えられない。
「悪魔の力を借りても、過去を変える事はできないか」
わしはひとりごちながら、封書を暖炉の炎にくべた。
タンブラーから注いだブランデーが、いつにも増してのどを焼いた。
「これで良かったのかねぇ」
しわがれているともカン高いとも言える声で、ダンタリオンは言った。
「もちろんよ」
茉莉子は食器を洗いながら、振り向きもせずに答えた。
「あの封筒がある限り、あの人は過去にとらわれてしまうわ。この40年間、ずっとそうだった」
「確かに、俺が読んだあいつの心の中では、美化された"思い人"の記憶は結構なものだったな」
「もし手紙を出していて、彼女と付き合っていたとしても、あの人が幸せになれた筈がないのよ。美貌を鼻にかけたファム・ファタール。親同士が知り合いでなければ、友達付き合いもしていなかったくらいの悪女だったんだから」
「ま、俺としては、あいつに消印の幻覚を見せるだけであんたの魂が手に入る、という楽な仕事だったがね。サービスでもう一つくらい願いをかなえてやろうか?」
ダンタリオンの唇の端がつりあがった。笑みのつもりなのかもしれない。
「とりあえずは遠慮しておくわ。どんな罠があるかわからないし」
「おいおい。これでも魔界では『大公爵』なんだぜ、俺は。世が世なら華族のあんたには悪いようにはしないさ」
「悪魔のセリフとは思えないわね」
ダンタリオンは再び唇をつりあげると、煙と化して消えた。
硫黄の匂いに眉をひそめて、茉莉子は換気扇を「強」にした。
居間のソファーに腰を下ろした茉莉子は、CD を長い時間かけて選んだ。
「これも40年前か」
彼女は目をつぶって、曲に聞き入った。
ポールのボーカルが流れる。
"When I find myself in times of trouble, mother Mary comes to me ..."
茉莉子は低くささやいた。
「そう、あるがままに」
(了)
-----------------------------------------------
参考文献:ダンタリオン
[後記]
拾えるかぎりの伏線は拾ったつもりですが、逆に面白味には欠けるかもです。
とは言え、いまさら芸風は変えられませんし。
(3行で終わる解決編も考えましたが、自主規制)
メインテーマはダンタリオン萌えです。
人称が統一されていない点(前半:一人称、後半:三人称)はスルーしてください。
「ふと机を見ると、例の便箋が相変わらずそのまま置かれている。」
からすると、封筒は開封されているようにも思えますが、
「封書は“開封されないまま”わしの書斎に存在」と矛盾するので、
「例の便箋」は「例の封筒」と脳内変換しました。
お楽しみいただければ幸いです。
meeflaさんありがとうございます。
ダンタリオン調べていただいたんですね。
それよりも僕が仕掛けた複線の”変わらぬ妻だった”を拾っていただいたようでありがとうございます。
解決編、自作するつもりはなかったので用意してなかったをいいことに質問にしたのですが、仕掛けはご推察のとおり”黒幕=変わらぬ妻”です。
とりあえず(後の設問の準備があるので)締めますが、いるか候補とさせていただきます。
「例の便箋」は「例の封筒」と脳内変換しました。
失礼しました。その通りの解釈でOKです。封緘がとかれないままに消印が押された郵便物が何故、自分の手元に戻ってくることになっていたのか? なぜ色々な”偶然”が重なって今の妻と結婚したことになっているのか? 二つが指し示す、当時の状況はなんなのか、から導くようにしているのですが我ながら随分と回りくどい伏線で非常に分かりにくいですね。
meeflaさんありがとうございます。
ダンタリオン調べていただいたんですね。
それよりも僕が仕掛けた複線の”変わらぬ妻だった”を拾っていただいたようでありがとうございます。
解決編、自作するつもりはなかったので用意してなかったをいいことに質問にしたのですが、仕掛けはご推察のとおり”黒幕=変わらぬ妻”です。
とりあえず(後の設問の準備があるので)締めますが、いるか候補とさせていただきます。
失礼しました。その通りの解釈でOKです。封緘がとかれないままに消印が押された郵便物が何故、自分の手元に戻ってくることになっていたのか? なぜ色々な”偶然”が重なって今の妻と結婚したことになっているのか? 二つが指し示す、当時の状況はなんなのか、から導くようにしているのですが我ながら随分と回りくどい伏線で非常に分かりにくいですね。