THEME:「これがわが家の味、幸せ料理と思い出」
“ディア・ライフ”=『親愛なる日々』。イエは暮らしと人生の舞台。「LIFE」という言葉に、生活と人生の2つの意味をこめて、イエと家族のストーリーを語り合いませんか? 心のページに刻まれた思い出も、現在のイエでの愛しいワンシーンも。毎回のテーマに沿って素敵なエピソードを、豊かな暮らしを創っていく〈イエはてな〉のマインドで投稿ください!
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※質問は11月15日(月)正午で終了させていただきます。
すごく美味しそうです。
ひと冬の間、体の中からホカホカと温めてくれるのですね。
芯から温まるってこういうことなんだろうなという気がします。
いろいろとアレンジできるところがまたいいですね。
ちょっと麺をいれてみたり、またスープでご飯を炊き込むなんていうのも、
美味しそうだなぁと思います。
リブ・ラブ・サプリの第一回目で書いた冬恒例のタマネギスープ。これは子供の頃からのわが家の冬の風物詩でした。
寒さが冷たさに変わってくる頃になると、母がブイヨンを仕込みはじめます。大きなお鍋からコトコト立ち上る湯気が、部屋にまで暖かさと、喉に優しいしっとり感を漂わせてきます。出来上がったブイヨンはまずコンソメに仕立てられて食卓に。すると父は、もうこんな季節になったかと、翌日、どっさりのタマネギを買い込んで帰ってくるのでした。
「剥くぞ」
「いぇ~い!!」
父と私でタマネギの皮剥きです。スープは大鍋で作られますから、一度に30個は剥きます。剥いたタマネギの一部はみじん切りにされ、バターを引いたフライパンでキツネ色になるまで炒められます。残りは櫛切り。これらが大鍋のブイヨンに投入されたら、あとはひたすら煮込みます。
初日はまだ味が若いので、大鍋から一部を取って、季節の野菜やウインナなどと共に煮込まれたポトフ風のスープになって食卓に上ります。翌日になるとすっかり味が落ち着いて、タマネギスープだけで絶品の味わい。不思議ですよね。煮込んでいくだけで、びっくりするくらい味が変わっていくんですよ。これがタマネギスープの素敵なところ。おー寒い寒いと学校から帰ってくると、ほかほかの湯気が立ち上るスープカップが私を迎えてくれました。
こんなスープが、わが家では一冬ずっと続きます。減った分だけ新たに仕込んだスープを注ぎ足して、冬の間じゅう食べ続けられていくのです。煮込むほどに色と味わいを深めていくスープが冬の深まりと連動して、寒さが増すごとに食卓の温かさも増していきます。これはとても素敵なことでした。
このスープはそれだけでも家族の笑顔を温めてくれましたが、さらに様々な料理に変身して、冬の食卓を彩ってくれました。まずはタマネギスープのパイ包み。カップの上に膨らんだパイをザクッと割ると、立ち上る湯気。これだけでも食卓に喚声が上がります。スープの中にはベーコンと共に人参やセロリなど香りの良い野菜も一緒に煮込まれていて、トロリとろけたチーズも入っています。子供は人参やセロリなどが苦手なものですが、こんなスープで出されたら、全てが大好物に変わってしまいます。ソーセージもロールキャベツも、このスープで煮込まれていきました。
シチューもカレーもベースはこれ。クリームシチューまで褐色のタマネギスープをベースに作られますから、わが家のシチューは淡いブラウン色をしていました。でもコクのある絶品のシチューに仕上がるんですよ。
父は、スープの一部を取って人参やゴボウを煮込み、味噌を溶かして豚汁もどき。どこかが間違っている感じもしないではありませんが、これもまたうまいのです。
こんなふうに、一冬わが家を温め続けてくれたタマネギスープ。今は私が作っています。もちろんブイヨンから手作りがわが家のやり方ですから、私もそこから。丁寧に、丁寧に、わが家の冬の味を仕込みます。今は一人暮らしですが、これさえあれば、家路をたどる足取りも軽やかです。