母が体調を崩して伏せっていたころ、父が作ってくれた料理です。材料はその時々で変わりますが、基本は高菜漬けのみじん切り。熱した中華鍋に高菜を入れて豪快に炒め、ご飯を入れてさらに炒めつつ、高菜の漬け汁と醤油を鍋肌から回しかけて、さらに炒めて出来上がり。チャーハンというと卵が付き物ですが、高菜以外の具が入らない時には卵も入らないのが父の流儀で、この場合はあくまで高菜の風味だけで仕上げます。
ここに冷蔵庫の中身の具合に合わせて、豚肉、小エビ、ナルトの細切りなどが加わります。この時は卵も入る普通のチャーハン風。高菜とじゃこの組み合わせもおいしいです。この時はお皿に盛った後、切りごまが振り掛けられます。「すまんなぁ、こんな物しか作れないけど、まぁ食ってくれ」という言葉とともに出てきますが、私は毎日これでもいいと思うくらい、父の高菜チャーハンが好きでした。しかも、同じ高菜チャーハンでも合わせる具によって違った味わいになるので、食べていて飽きません。
イエにいても寝ていることが多かった母は、チャーハンのような油を使った料理は苦手でしたが、高菜の漬け物は大好きで、これがあるとご飯が進むと言っていました。ですから、スーパーで買ってくる出来合いの漬け物ですが、そのころのわが家には欠かせない一品でした。
当時は食事作りなどほとんどしない私でしたが、チャーハンくらいなら見よう見まねで作れますから、自分のため、あるいは父のために、これは時々作りました。豚肉を入れる時はまず最初に肉を炒め、よく香りを出してから高菜を入れるのがコツです。肉から出た脂が多すぎる時は、適宜取り除いてから高菜を入れます。そんな工夫も、自分なりにしていました。
高菜はアブラナ科ですから、同じ仲間のダイコンやカブの葉でもいけるかと塩漬けを作り、それでやってみたこともありました。ダイコンやカブの葉は少々固いですが、細かく刻んでよく炒めると、これもなかなかおいしいチャーハンになりました。漬けてしばらくすると乳酸発酵が始まるようで、炒めるといい味が出るんです。そうそう。カラシ菜でもやりました。この方がずっと高菜に近い種類だからと漬けてみたら、これがうまいうまい。なお、ダイコンやカブの葉にしてもカラシ菜にしても、新鮮なパリパリの状態で漬けるより、しばらく天日干ししてから漬けた方がおいしく漬け上がるようでした。
やがて母の元気が戻ってきて、私も高菜のチャーハン食べてみようかなと言われた時はうれしかったですね。よっしゃと腕まくりで私が作ろうかとも思いましたが、ここはやっぱり父にお任せすることにしました。出来上がったのは、切りごまの香りも香ばしい高菜とじゃこのチャーハンです。おいしいわぁと食べる母を見て、父のうれしそうだったこと。これは忘れられない思い出です。
それから母は少しずつ健康を取り戻して、キッチンは再び母の場所になりました。でも今も高菜チャーハン作りは父か私の役目です。男が作るキャンプ料理みたいなチャーハンも、なかなか捨てた物ではありません。
母が体調を崩して伏せっていたころ、父が作ってくれた料理です。材料はその時々で変わりますが、基本は高菜漬けのみじん切り。熱した中華鍋に高菜を入れて豪快に炒め、ご飯を入れてさらに炒めつつ、高菜の漬け汁と醤油を鍋肌から回しかけて、さらに炒めて出来上がり。チャーハンというと卵が付き物ですが、高菜以外の具が入らない時には卵も入らないのが父の流儀で、この場合はあくまで高菜の風味だけで仕上げます。
ここに冷蔵庫の中身の具合に合わせて、豚肉、小エビ、ナルトの細切りなどが加わります。この時は卵も入る普通のチャーハン風。高菜とじゃこの組み合わせもおいしいです。この時はお皿に盛った後、切りごまが振り掛けられます。「すまんなぁ、こんな物しか作れないけど、まぁ食ってくれ」という言葉とともに出てきますが、私は毎日これでもいいと思うくらい、父の高菜チャーハンが好きでした。しかも、同じ高菜チャーハンでも合わせる具によって違った味わいになるので、食べていて飽きません。
イエにいても寝ていることが多かった母は、チャーハンのような油を使った料理は苦手でしたが、高菜の漬け物は大好きで、これがあるとご飯が進むと言っていました。ですから、スーパーで買ってくる出来合いの漬け物ですが、そのころのわが家には欠かせない一品でした。
当時は食事作りなどほとんどしない私でしたが、チャーハンくらいなら見よう見まねで作れますから、自分のため、あるいは父のために、これは時々作りました。豚肉を入れる時はまず最初に肉を炒め、よく香りを出してから高菜を入れるのがコツです。肉から出た脂が多すぎる時は、適宜取り除いてから高菜を入れます。そんな工夫も、自分なりにしていました。
高菜はアブラナ科ですから、同じ仲間のダイコンやカブの葉でもいけるかと塩漬けを作り、それでやってみたこともありました。ダイコンやカブの葉は少々固いですが、細かく刻んでよく炒めると、これもなかなかおいしいチャーハンになりました。漬けてしばらくすると乳酸発酵が始まるようで、炒めるといい味が出るんです。そうそう。カラシ菜でもやりました。この方がずっと高菜に近い種類だからと漬けてみたら、これがうまいうまい。なお、ダイコンやカブの葉にしてもカラシ菜にしても、新鮮なパリパリの状態で漬けるより、しばらく天日干ししてから漬けた方がおいしく漬け上がるようでした。
やがて母の元気が戻ってきて、私も高菜のチャーハン食べてみようかなと言われた時はうれしかったですね。よっしゃと腕まくりで私が作ろうかとも思いましたが、ここはやっぱり父にお任せすることにしました。出来上がったのは、切りごまの香りも香ばしい高菜とじゃこのチャーハンです。おいしいわぁと食べる母を見て、父のうれしそうだったこと。これは忘れられない思い出です。
それから母は少しずつ健康を取り戻して、キッチンは再び母の場所になりました。でも今も高菜チャーハン作りは父か私の役目です。男が作るキャンプ料理みたいなチャーハンも、なかなか捨てた物ではありません。