炉心全部をMOXとした場合、潜在癌死の数は161~386%、急性死の数は60~480%高くなる。炉心に占めるMOXの割合と、放出されるアクチニドの割合により、原子力発電所の半径110キロメートル以内の地域で、何千、何万という数の潜在的癌死が余分に齎されることになる。(註:この距離は、計算上の便宜の為に選ばれたものであり、この地域の外でも影響が生じることは言うまでもない)。
これらの計算は、放出割合(炉内にある総量のうち事故の際に放出される割合)が、低濃縮ウラン燃料の場合と、MOXの場合とで同じだとの想定の下に行われたものであり、事故から生じる影響の差は、炉内にある総量の差からのみ来るものである。しかし、実際はそうではないかも知れない。セシウムのような揮発性の核種の放出の割合は、40ギガワット日/トン以上の燃焼度に照射されたMOX燃料の場合、同様或いはそれ以上の燃焼度の低濃縮ウラン燃料の場合と比べ、相当大きくなることを示す証拠がある。