父がプロ野球公式戦のチケットをもらってきました。1塁側内野席です。当時小学生だった私は、生の野球観戦など初めての経験でした。当時は母はあまり体が丈夫ではなかったので、父と私の二人だけの観戦となりました。一人仲間はずれになってしまうのが心苦しかったのですが、楽しんでいらっしゃいの言葉をもらって、意気揚々と球場に向かいました。
球場に入るとまず父がメガホンを買ってくれました。野球はただ見ているだけじゃつまらないんだ、見ているうちに必ず叩く物がほしくなるから、まぁ持っておけと。席に座ってプレイボールを待っていると、ビールやお弁当を売りに来る人が頻繁に客席を回り始めました。父がおーいと手を上げてお弁当屋さんを呼びました。まだ食べるなよ、食べるのは3回の向こうの攻撃を迎えてからだ、まだ勝負の行方はわからない、でも白熱してくる、そういうタイミングで食べるのが一番うまいんだ。父は子供のように目を輝かせていました。
あ、ビールの売り子さんが来ました。父がまた手を上げて呼びました。これは試合開始前から飲んでいいんだ、あとでまた買うから。そういいながら、うまそうに一気に飲み干しました。とてもうれしそうな顔でした。
試合開始です。初回は両チームとも三者凡退。二回も同じです。おいおい、そろそろ盛り上がってくれないと弁当を食べるタイミングが見つからないぞと言いながら、周囲のお客さんと一緒に打者の応援歌を歌いはじめました。お父さん、歌知ってるんだと言うと、おや、知らなかったかい、お父さんはこのチームのファンなんだぞと言われて少し驚きました。当時、イエで野球中継などを見ていることはほとんど無かったからです。少し考えて分かりました。子供や母が見たがる番組に、チャンネルを譲ってくれていたんですね。
あ、打ちました!一塁セーフ!!初のランナーです。ほら、メガホン叩け叩け。そうか、野球は拍手の代わりにメガホンを叩くのか。次からは、応援歌のリズムにも合わせてメガホンを叩きました。かっとばせー、かっとばせーの声援にも熱が入りました。続く打者は凡フライ。ランナー動けません。続いては、カキーン、打ちました、ランナー走ります。二塁セーフ。ワーーーー。でも一塁はアウト。これでツーアウトです。続く打者は何本もファールを打って粘りました。応援歌に熱が入ります。段々おぼえてきたので、私も一緒に歌いました。しかし結局ピッチャーフライに打ち取られて残塁のまま〇点が続きます。
さぁ、弁当を食うなら今だ!敵側の攻撃を見ながら、親子で弁当を広げました。敵側も粘ります。長い攻撃になりました。いいよいいよ、こっちは弁当タイムなんだから、ゆっくり食わせてくれよと、父はちょっと意地悪なことを言っていました。カキーン、打ちました、大きい大きい。これは入るか?入りました、ホームラン。一点先制されてしまいました。弁当を食べながらも、手に汗握る展開になってきました。
ピッチャーの応援はしないの?と聞くと、今は向こうのチームの攻撃だから、応援も三塁側の番なんだとのこと。ツーアウト、カウントツースリー。あと一球。ストライク!ふー、ピンチ脱出です。もうこの頃には、すっかりこの試合のホームチームのファンになっていました。
だんだん応援に熱が入ってきて、父は手にしたメガホンを振り回しています。球場は野球を見に来るだけの場所じゃない、心の解放区なんだと、子供心にそんなことを思いました。
結局試合は相手チームの勝ち。くっそー、残念だったな、いい試合だったのに。悔しがる父に、次はテレビでも応援しようと言いました。お母さん、チャンネル譲ってくれるかな?どうかなぁ、僕も頼んでみるよ。野球が結ぶ父子の絆。くすぐったいような、うれしいような。イエに着くまで、球場の興奮は続いていました。
父がプロ野球公式戦のチケットをもらってきました。1塁側内野席です。当時小学生だった私は、生の野球観戦など初めての経験でした。当時は母はあまり体が丈夫ではなかったので、父と私の二人だけの観戦となりました。一人仲間はずれになってしまうのが心苦しかったのですが、楽しんでいらっしゃいの言葉をもらって、意気揚々と球場に向かいました。
球場に入るとまず父がメガホンを買ってくれました。野球はただ見ているだけじゃつまらないんだ、見ているうちに必ず叩く物がほしくなるから、まぁ持っておけと。席に座ってプレイボールを待っていると、ビールやお弁当を売りに来る人が頻繁に客席を回り始めました。父がおーいと手を上げてお弁当屋さんを呼びました。まだ食べるなよ、食べるのは3回の向こうの攻撃を迎えてからだ、まだ勝負の行方はわからない、でも白熱してくる、そういうタイミングで食べるのが一番うまいんだ。父は子供のように目を輝かせていました。
あ、ビールの売り子さんが来ました。父がまた手を上げて呼びました。これは試合開始前から飲んでいいんだ、あとでまた買うから。そういいながら、うまそうに一気に飲み干しました。とてもうれしそうな顔でした。
試合開始です。初回は両チームとも三者凡退。二回も同じです。おいおい、そろそろ盛り上がってくれないと弁当を食べるタイミングが見つからないぞと言いながら、周囲のお客さんと一緒に打者の応援歌を歌いはじめました。お父さん、歌知ってるんだと言うと、おや、知らなかったかい、お父さんはこのチームのファンなんだぞと言われて少し驚きました。当時、イエで野球中継などを見ていることはほとんど無かったからです。少し考えて分かりました。子供や母が見たがる番組に、チャンネルを譲ってくれていたんですね。
あ、打ちました!一塁セーフ!!初のランナーです。ほら、メガホン叩け叩け。そうか、野球は拍手の代わりにメガホンを叩くのか。次からは、応援歌のリズムにも合わせてメガホンを叩きました。かっとばせー、かっとばせーの声援にも熱が入りました。続く打者は凡フライ。ランナー動けません。続いては、カキーン、打ちました、ランナー走ります。二塁セーフ。ワーーーー。でも一塁はアウト。これでツーアウトです。続く打者は何本もファールを打って粘りました。応援歌に熱が入ります。段々おぼえてきたので、私も一緒に歌いました。しかし結局ピッチャーフライに打ち取られて残塁のまま〇点が続きます。
さぁ、弁当を食うなら今だ!敵側の攻撃を見ながら、親子で弁当を広げました。敵側も粘ります。長い攻撃になりました。いいよいいよ、こっちは弁当タイムなんだから、ゆっくり食わせてくれよと、父はちょっと意地悪なことを言っていました。カキーン、打ちました、大きい大きい。これは入るか?入りました、ホームラン。一点先制されてしまいました。弁当を食べながらも、手に汗握る展開になってきました。
ピッチャーの応援はしないの?と聞くと、今は向こうのチームの攻撃だから、応援も三塁側の番なんだとのこと。ツーアウト、カウントツースリー。あと一球。ストライク!ふー、ピンチ脱出です。もうこの頃には、すっかりこの試合のホームチームのファンになっていました。
だんだん応援に熱が入ってきて、父は手にしたメガホンを振り回しています。球場は野球を見に来るだけの場所じゃない、心の解放区なんだと、子供心にそんなことを思いました。
結局試合は相手チームの勝ち。くっそー、残念だったな、いい試合だったのに。悔しがる父に、次はテレビでも応援しようと言いました。お母さん、チャンネル譲ってくれるかな?どうかなぁ、僕も頼んでみるよ。野球が結ぶ父子の絆。くすぐったいような、うれしいような。イエに着くまで、球場の興奮は続いていました。