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油を作る藻「オーランチオキトリウム」についてTBSの番組「夢の扉(※1)」
で紹介していました。
●藻から石油を!エネルギー革命で日本を産油国に!?
─藻のスペシャリスト 筑波大学大学院 渡邉信教授(※2)─
藻類は地上植物に比べてバイオ燃料生産効率が高いそうで、面積1ヘクタール
当たりのバイオ燃料の年間生産量はトウモロコシの0.2トンに比較して、オー
ランチオキトリウムは最大で1200トン以上と試算されているそうです。
この話題は山路達也の「エコ技術者に訊く(※3)」でも紹介されています。
そこで、質問ですが、この「オーランチオキトリウム」について公開されている
学術論文(英文も可)を紹介してください。
(※1)TBSの夢の扉
http://www.tbs.co.jp/yumetobi-plus/
数日後に以下のバックナンバーになる予想
http://www.tbs.co.jp/yumetobi-plus/backnumber/20110529.html
(※2)環境・生物多様性研究室
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~makoto/
(※3)オーランチオキトリウムが、日本を産油国にする
http://wiredvision.jp/blog/yamaji/201102/201102251301.html
本題とは直接の関係がない話題から入らさせて下さい。
筑波バイオテック研究所 代表取締役の前川孝昭氏は、筑波大学大学院生命環境科学研究科の名誉教授で、社長たちの人生劇場 によれば、日本で最初にバイオマスを作った人です。
http://www.maekawabio.org/press.pdf
にもあるように、筑波バイオテック研究所では、微細藻類からの藻油でバイオ航空燃料を作る研究を行っています。
この筑波バイオテック研究所のサイトに、前川教授による「オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)について」という解説文書がありました。
本文はほんの1ページほどの文章ですが、日本語で読める学術的な解説という意味で貴重だと思われます。
同文書の参考文献にある Omega-3 Polyunsaturated fatty acid production by microalgae Aurantiochytrium mangrovei Sk-02 as the effect of carbon sources and growth environments. や Commercial Production of DHA using Heterotrophic Microalgae は、研究発表スライドを PDF 化したもののようですが、一見の価値はあるでしょう。
残念ながら、同文書2ページ目以降の参考文献リストは、Google の学術文献検索サービス Google Scholar で検索した結果を羅列しているだけなので、あまり参考になりません。
以下、小生の目で興味深いと思われた文献をいくつか。
なお、全文 PDF のものは(全文)、全文は有料なので抄録ページへのリンクとしたものは(抄録)としました。
Wikipedia 日本語版の オーランチオキトリウム で「オーランチオキトリウム属は、2007年に本多らによってシゾキトリウム属(Schizochytrium)から分離・再編されてできた属である。」と記述されている文献です。
培地の条件を変えて、スクアレンの産生量を高めようという研究のようです。
香港のマングローブ林から採取されたオーランチオキトリウムに関する研究のようです。
色素を持たないオーランチオキトリウムの方が、脂肪酸産生量が高く、成長速度も早い、との事。
これも培地の条件と産生量との研究ですが、日本の宮崎大学のチームのようです。
食品工場の排水など、コストが低く藻の栄養価が高いものを利用しよう、という方向性が興味深いと思いました。
以上、ご参考になれば幸いです。
1.Effects of Cold Shock Treatment on Total Lipid Content and Fatty Acid Composition of Aurantiochytrium limacinum strain mh0186.
Taoka Y, Nagano N, Okita Y, Izumida H, Sugimoto S, Hayashi M.
J Oleo Sci. 2011;60(5):217-20.
2.Increase of Eicosapentaenoic Acid in Thraustochytrids through Thraustochytrid Ubiquitin Promoter-Driven Expression of a Fatty Acid {Delta}5 Desaturase Gene.
Kobayashi T, Sakaguchi K, Matsuda T, Abe E, Hama Y, Hayashi M, Honda D, Okita Y, Sugimoto S, Okino N, Ito M.
Appl Environ Microbiol. 2011 Jun;77(11):3870-6. Epub 2011 Apr 8.
3.Production of Lipids Containing High Levels of Docosahexaenoic Acid by a Newly Isolated Microalga, Aurantiochytrium sp. KRS101.
Hong WK, Rairakhwada D, Seo PS, Park SY, Hur BK, Kim CH, Seo JW.
Appl Biochem Biotechnol. 2011 Mar 22. [Epub ahead of print]
4.The distribution of extracellular cellulase activity in marine eukaryotes, thraustochytrids.
Nagano N, Matsui S, Kuramura T, Taoka Y, Honda D, Hayashi M.
Mar Biotechnol (NY). 2011 Apr;13(2):133-6. Epub 2010 May 5.
5.Optimization of nitrogen source for enhanced production of squalene from thraustochytrid Aurantiochytrium sp.
Chen G, Fan KW, Lu FP, Li Q, Aki T, Chen F, Jiang Y.
N Biotechnol. 2010 Sep 30;27(4):382-9. Epub 2010 Apr 20.
6.Improvement of a two-stage fermentation process for docosahexaenoic acid production by Aurantiochytrium limacinum SR21 applying statistical experimental designs and data analysis.
Rosa SM, Soria MA, Vélez CG, Galvagno MA.
Bioresour Technol. 2010 Apr;101(7):2367-74. Epub 2009 Dec 16.
7.Optimization of culture conditions for growth and docosahexaenoic acid production by a marine thraustochytrid, Aurantiochytrium limacinum mh0186.
Nagano N, Taoka Y, Honda D, Hayashi M.
J Oleo Sci. 2009;58(12):623-8.
8.Isolation and characterization of Taiwanese heterotrophic microalgae: screening of strains for docosahexaenoic acid (DHA) production.
Yang HL, Lu CK, Chen SF, Chen YM, Chen YM.
Mar Biotechnol (NY). 2010 Apr;12(2):173-85. Epub 2009 Jul 16.
9.Differentiation in fatty acid profiles of pigmented and nonpigmented Aurantiochytrium isolated from Hong Kong mangroves.
Fan KW, Jiang Y, Ho LT, Chen F.
J Agric Food Chem. 2009 Jul 22;57(14):6334-41.
10.Screening and characterization of squalene-producing thraustochytrids from Hong Kong mangroves.
Li Q, Chen GQ, Fan KW, Lu FP, Aki T, Jiang Y.
J Agric Food Chem. 2009 May 27;57(10):4267-72. Epub 2009 Apr 17.
11.Extracellular enzymes produced by marine eukaryotes, thraustochytrids.
Taoka Y, Nagano N, Okita Y, Izumida H, Sugimoto S, Hayashi M.
Biosci Biotechnol Biochem. 2009 Jan;73(1):180-2. Epub 2009 Jan 7.
12.Influences of culture temperature on the growth, lipid content and fatty acid composition of Aurantiochytrium sp. Strain mh0186.
Taoka Y, Nagano N, Okita Y, Izumida H, Sugimoto S, Hayashi M.
Mar Biotechnol (NY). 2009 May-Jun;11(3):368-74. Epub 2008 Oct 21.
13.Accumulation of docosahexaenoic acid-rich lipid in thraustochytrid Aurantiochytrium sp. strain T66: effects of N and P starvation and O2 limitation.
Jakobsen AN, Aasen IM, Josefsen KD, Strøm AR.
Appl Microbiol Biotechnol. 2008 Aug;80(2):297-306. Epub 2008 Jun 17.
suppadvさんは
2011/05/28 00:43:10
に回答をいただいていますが、
それ以前の
2011/05/27 21:37:21
に私からコメント欄で
『単に論文タイトルの一覧(例:※)ではなく、論文そのものを閲覧できるコンテンツを
紹介してください。』
とお願いをしていました。
恐らく、suppadvさんは回答前にはそのコメントに気付かれなかったのでしょう。
本題とは直接の関係がない話題から入らさせて下さい。
筑波バイオテック研究所 代表取締役の前川孝昭氏は、筑波大学大学院生命環境科学研究科の名誉教授で、社長たちの人生劇場 によれば、日本で最初にバイオマスを作った人です。
http://www.maekawabio.org/press.pdf
にもあるように、筑波バイオテック研究所では、微細藻類からの藻油でバイオ航空燃料を作る研究を行っています。
この筑波バイオテック研究所のサイトに、前川教授による「オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)について」という解説文書がありました。
本文はほんの1ページほどの文章ですが、日本語で読める学術的な解説という意味で貴重だと思われます。
同文書の参考文献にある Omega-3 Polyunsaturated fatty acid production by microalgae Aurantiochytrium mangrovei Sk-02 as the effect of carbon sources and growth environments. や Commercial Production of DHA using Heterotrophic Microalgae は、研究発表スライドを PDF 化したもののようですが、一見の価値はあるでしょう。
残念ながら、同文書2ページ目以降の参考文献リストは、Google の学術文献検索サービス Google Scholar で検索した結果を羅列しているだけなので、あまり参考になりません。
以下、小生の目で興味深いと思われた文献をいくつか。
なお、全文 PDF のものは(全文)、全文は有料なので抄録ページへのリンクとしたものは(抄録)としました。
Wikipedia 日本語版の オーランチオキトリウム で「オーランチオキトリウム属は、2007年に本多らによってシゾキトリウム属(Schizochytrium)から分離・再編されてできた属である。」と記述されている文献です。
培地の条件を変えて、スクアレンの産生量を高めようという研究のようです。
香港のマングローブ林から採取されたオーランチオキトリウムに関する研究のようです。
色素を持たないオーランチオキトリウムの方が、脂肪酸産生量が高く、成長速度も早い、との事。
これも培地の条件と産生量との研究ですが、日本の宮崎大学のチームのようです。
食品工場の排水など、コストが低く藻の栄養価が高いものを利用しよう、という方向性が興味深いと思いました。
以上、ご参考になれば幸いです。
多くの関連情報を教えていただき、ありがとうございます。
回答文の構成がしっかりしていてとてもわかり易いです。
文献への単なるポインターだけではなく、それぞれをご自分の言葉で
簡潔に解説してくださっているので、理解しやすいです。
それぞれの文献をこれからじっくり読んでみたいと思っています。
多くの関連情報を教えていただき、ありがとうございます。
回答文の構成がしっかりしていてとてもわかり易いです。
文献への単なるポインターだけではなく、それぞれをご自分の言葉で
簡潔に解説してくださっているので、理解しやすいです。
それぞれの文献をこれからじっくり読んでみたいと思っています。