私について
ー昨年大学卒業、社会学とは無関係の学部(卒論なし)成績は中の上
ー英語は問題なし(専門書もある程度読みこなせる)
ー大学で社会学の授業をいくつかとったが専攻ではないので基礎知識に穴がある
ー現在は就職しているが、来年の春から学校に戻りたい
ー将来はアメリカでPh.Dをとりたい
何年かかっても必ず価値ある研究成果を出し、世の中の役に立ちたいと考えています。
独学で社会学の基礎を勉強し、トップの院を受けて入学したいのですが、事情に詳しい方から見て、これは現実的な選択肢でしょうか。学士入学などでもう一度大学に通い、学部レベルの授業を受けるべきか迷っています。院で分野替えをした方や、社会学の大学院に詳しい方など、回答をお願いします。
>独学で社会学の基礎を勉強し、トップの院を受けて入学したいのですが
>来年の春から学校に戻りたい
現在の勉強はどの程度進んでいますか?
トップではなく、レベルを多少落とせば、院にも十分いけるというところまで進んでいれば、このまま勉強を続けて、院に挑戦するのが良いと思います。
かなり不安な状況なら、院への挑戦とともに、滑り止めという位置づけで、学士入学などでもう一度大学に通い、学部レベルの勉強を2年ほど行って、確実にトップの院を受けて入学するという手でいくのが良いかと思います。
ある程度独学の方法に間違いはないという自信があれば、1年浪人して、来年再度院を受けるという方法もありますが、独学だけの場合は、方向性を間違えることもあるので注意が必要です。
僕は社会学じゃないので正解を言えませんが、まずは何が研究したいのか、ですね。
何を研究するのに社会学という分野を選択したのか、社会学という分野で何がしたいのか、それをするのに社会学じゃないといけないのか。
人文学、社会学は複合領域化してますし、これまで社会学で研究されてきた問題も違う領域で研究されたり既存のディシプリンでは対応できなくなってますので。
その分野(社会学)でと言うよりかは、他の方も仰られている通り、もっと細かい単位(センセなど)で探してみては。
その道(特定の研究)の第一人者や、若手でもとても優秀な研究者はいくらでもいるので。
志望校は院試のために質問するのは歓迎していないということですが、そもそも院試をパスした後でやりたいことができなかったら意味が無いので、自分の研究したいことができるのかどうかを確認する程度のことはやっておいた方が良いです。
まずは修士2年の研究計画を立てておくこと、卒論を書いていないのならなおのことだと思いますが、それを踏まえた上で先生と話(質問)をします。
いくら優秀な学生で研究計画がしっかりしていても、指導教官が指導しきれなかったら意味がありません。
いくら優秀な人材でも指導できないという理由で試験をはねられるということは普通にあります。
これも志望先の先生に「こういう研究がやりたいのですが、先生のところではできますか?」と聞くことであるわかります。
実際僕も院試を受ける時に師事したい先生と話していて、「うちは○○が専門だけどなぁ、とりあえず受けてみて」と少し違うだけで軽く敬遠された経験があります。
実際に受験をパスして入学できたけど、いざ指導の場面になった時に「僕、その分野わからないから」と言われることもあるようです。
そしてかならずしも「有名な先生=いい先生」とは限りません。
有名だし院生も多数抱えてるけど、面倒見が悪い人とか、この業界には普通にいます。
自分のやりたいこと、先生の専門、研究科(専攻)の授業(自分の研究に役立つ研究環境か)がどれだけ充実しているか、あとは先生との相性、研究室の雰囲気など、明確にしておけることは明確に、知っておくべきことは知っておいた方がいいことはきりがないほどあります。
その辺りは情報収集の方法が難しいですし、入ってみないとわからないこともあるのですが、集められる情報は集めるべきですね。
順番がごちゃごちゃしてますが、院試についてはまずはこんなもんですかね。
研究者になりたいということですが、文系の研究者がどのようにキャリアを形成するのか。
もちろん日本で博士号をとるか、海外でPh.Dをとるかと言うのは絶対条件です。
日本の大学院が簡単に博士号を出すようになってからは、修士了あるいは博士課程満期退学などではもう採用されないと思っておいた方が良いです。
そして分野によって異なるのは事実ですが、文系の大学院生が2年で修論を書いた後、3年で博士号を取れるということは難しいと思っておいてください。
大学院に入ればわかりますが、30にして学位を取れていない人なんて当たり前のようにいます。
仮に日本で博士論文を書くとなると、査読付き学術雑誌に掲載された論文数本をもとに執筆することになるので、まず投稿論文が1年に1本かけるのかどうか、書いたところで使い物になるのかどうか。
気がついたら30歳を過ぎています。
学位をとれたとしてもその後の職がありませんし、1件の公募に対して100人の応募なんて普通です。
特定の大学で専任になれず、非常勤講師を多数抱えて収入を得る「非常勤専門職」と呼ばれる人がいるという話も聞きます。
専任になれないと学校からの研究費を獲得する機会が減るなど、お給料以外の面でも金銭面で苦労をすることになります。
正直、こういうことはあまり言いたくありませんが、学位とは「紙切れ」です。
書いた論文と、学位記、この二つはこの業界以外では役に立たないと思っておいた方が良いです。
次にアメリカに留学する場合です。
修士を日本でとったあとで渡米するということを考えると、何らかの奨学金(フルブライトやロータリーなど)にアプライすることになります。
奨学金を得ることは授業料だけを得られるわけではないのですが、その辺りは調べればわかります。
奨学金に出願する時期ですが、この場合でしたら最短で修士の2年目ですね。
ただ、修士論文を書きながら、奨学金の願書を書く、それだけではなくアメリカの修学先候補の大学院への受験書類(願書(これはネットでいけるのかも)やライティングサンプルなどなど。。。)を用意しないといけない。
修士2年目で出願するのであれば、この二つを同時進行でやらなければなりません。
あと、大学院に入ればわかるのですが博士課程に上がる時にみなさん日本学術振興会の特別研究員に応募すると思います。
日本の博士課程に残る、日本で研究者の道をと少しでも考える場合、キャリアを作るため、収入を得るためにこれに応募します。
なので、修士2年目に留学準備をするのなら、3つのことをやらなければならなくなる可能性があります。
(国内外問わず)博士課程での研究計画の見通しが既に立っていないといけないので、留学する人で修士2年で出して通った人も知ってますが、修士論文を書いていない段階で研究計画を明確にできるかどうかは難しいかもしれません。
そしてこれだけのことを同時にやろうと思うと、本当に体力がいります。
比喩ではなく、文字通り「寝る時間も無い」状態になります。
博士1年目で留学準備をしていた人を知っていますが、土日も無く1日20時間くらい活動してました。
留学するのに留学先を選ばないといけないのですが、世界的不況であることの影響もあり、人文学、社会学の学部は統廃合されている学校が増えているというのが実際のところです。
日本同様、人文学や社会学のような分野には予算がまわらないんですね。
だから見事留学が決定して入学も果たせても、在学しているうちに所属の学部が無くなると言う問題もネタではなくあるようです。
UC系の公立の大学でも厳しいようですが、ハーバードなどのアイビーリーグの大学など、有名で資金力のある大学なら「恐らく」大丈夫、だろう・・・と言う話です。
Ph.Dをとるための留学ですが、最初2年は基礎力のクラス、その後博士論文を書くための試験をパスして初めて博士論文執筆に取りかかれます。
僕はあっちの事情に詳しくはないのですが、最短でも5年はかかるそうです。
あっちでの話に関してはハワイ大学の先生である吉原真理先生の『アメリカの大学院で成功する方法』(中公新書)を参照してもらえば詳しくわかります。
準備から何から、詳しく書かれています。
吉原先生と同じブラウン大学出身の先生の話を聞いたことがありますが、この「博士論文執筆のための試験」は鬼のようらしいです。
学位を取ってからのプロセスは、日本での取得後と同様です。
アメリカで教授になりたいのであればまた別の話ですが。
思いつくことを思いつくままに書いたために長文になり順番もごちゃごちゃしてしまいすみません。
キャリア等の話についてはかなりネガティブなことを書きましたが、これが人文学や社会学で研究者になることの現実です。
現在社会人をされていらっしゃるようですが、それをやめてまで研究者になりたいと思えるか。
これだけ厳しい環境だとわかってもやっていけるのか、よく考えた方が良いです。
そうは言いますが、学問がやりたい人にはとても魅力的で楽し世界ではあります。
試験からキャリア形成まで厳しく難しいことばかりですが、頑張ってください。
丁寧な回答ありがとうございました。
大変参考になります。学問の世界は厳しと言うのは誰からも言われることですので、それほど厳しい世界だと肝に銘じて精進していきたいと思います。
コネクションがないと情報収集は本当に難しいです。説明会などにも積極的に参加し、良い指導教授に巡り会いたいです。私の興味のある分野から探して、これはと思う研究者の経歴や業績をみるのですが、海外で学位をとったり高く評価されている方はなかなか見つかりません。指導いただくだけでなく、研究者としてのロールモデルになる方のもとで研究したいと考えています。そのためには、やはりどうにかしてお会いするべきですね。
具体的なアドバイスや、参考図書をすすめて下さり、ありがとうございます。敦煌さんは研究者の方でしょうか。頑張って下さい。
回答ありがとうございます。
現在知識の全体的な基礎を固めるためギデンズを読み進めています。
勉強の仕方は大丈夫だとは自分では思っていますが、周りに比較対象がいないため、院進学までにどの程度の知識を要求されるのか分からないので不安です。
おっしゃる通り、学士入学も視野にいれて今年の受験を検討します。
本心としてはやはり直接大学院に行き、研究をしたいのですが。