しかし、毛皮をもたないクロマニョン人にとっては、ヨーロッパは寒すぎたのではないでしょうか。それがネアンデルタール人駆逐に2万年もかかったことと、ヨーロッパに天然林がない理由ではないでしょうか。
質問は、ヨーロッパ史をエネルギー論的に捉えている歴史の本はないでしょうか。つまり、寒くて、雨が冬に多いヨーロッパは、エネルギー不足から経済が沈滞していた。結局、十字軍や大航海時代の植民地獲得のように、外部から資源や富を収奪してくるしかなかった、、、。という視点で歴史を論じている欧州史があれば教えてください。
ご関心事に近いアプローチをとっている研究書の一つとして、
R.G.ウィルキンソンの『経済発展の生態学』があてはまると思います。
経済発展の生態学―貧困と進歩にかんする新解釈 (社会科学の冒険 (3))
彼の説を要約するとこうなるようです。
経済の発展は人口増加と資源枯渇の挟み撃ちから生じる、生態学の不均衡
からの社会が逃れる唯一の道である
たしかに彼の生態発展モデルは近代ヨーロッパの海外進出、とくにイギリスの産業革命以降のあたりはよく適合します。
人口圧だけであれば中国は対外進出してもよかったはずですが、歴史的に侵略戦争はあまりしていないです。なにかヨーロッパ特異の事情があるはずでしょうね。
ギリシア-ローマ古代文明から中世期にかけての動力の歴史はこの本があります。
純然たる技術史なので政治軍事や対外進出までは含まれませんが、中世ヨーロッパが畜力で技術革新があったことなどが触れられています。
三巻目しか読んでないですが、このシリーズも参考になるかもしれません。
田中紀夫 エネルギー環境史 全三巻 ERC出版
ご質問のキモは「ヨーロッパ史をエネルギー論的に捉えている歴史の本」にあると考えて、広く資源・環境という物理的側面から歴史を捉え直すアプローチの本を。
大著で分冊が多いので1巻目のみで
メジャーどころですが一応
ヒトはなぜヒトを食べたか―生態人類学から見た文化の起源 (ハヤカワ文庫―ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
個人的にいちばん好きな、読みやすくスリリングなアプローチ
ありがとうございます。ブローデル、ジャレド・ダイアモンド、マーヴィン・ハリスとくるわけですね。有名な著者ですが、まだ読んだことがないものばかりです。
ありがとうございました。どの本も知りませんでした。興味深いです。
2011/12/22 17:19:11