Webで良く使うようなアイコンを自作しようと思っています。ただ、ピクセルの小さいアイコンで『保存する』ボタン用アイコンを作ると、どうしても他のアイコンに似てくると思うのです(フロッピーとか)。場合によっては「真似した」レベルになることも十分にあります。
さらにいうと今までいろんなアイコンをみているので、意識的にしろ無意識的にしろ似てくると思うのです。
この場合、著作権・ライセンス的にはどうなるのでしょうか?
また、既存のお互いに似ている(例えば商用の)アイコンはどのようにこれをクリアしているのでしょうか?
プログラムのソースコードと違い、あまりdiff的なものが取れないのでどうなんだろうと思っての質問です。
ある程度根拠のある情報とともに回答してもらえるとうれしいです。
少なくとも日本の場合では、という前提ですが、アイコンの知的財産権は原則として保護されていない、と考えて良いと思います。
まず著作権ですが、
著作権侵害が成立するには、著作物が利用されていることが必要である。著作物ではないものが利用されていても、著作権侵害は成立しない。 著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」である(2条1項1号)
著作権侵害 - Wikipedia
からして、アイコンを含む画面デザインが「著作物」であるかは議論の別れる所です。
北岡弘章の「知っておきたいIT法律入門」 - 画面デザインの保護(1)著作権だけで保護できる範囲は広くない:ITpro にもあるように、
仮に原告ソフトの表示画面を著作物と解することができるとしても、その複製ないし翻案として著作権侵害を認め得る他者の表示画面は、いわゆるデッドコピーないしそれに準ずるようなものに限られるというべきである
という判例も出ています。
「似ている」だけでは、著作権侵害とは言えない
という事です。
著作権以外の保護の方法として、上記の「知っておきたいIT法律入門」では、特許権と意匠権を挙げています。
ご質問のような良くあるアイコンの場合、特許はありえないでしょうから、意匠権を考えてみます。
Wikipedia の 意匠権 には、
アイコンは、画面上のデザインであるため、物品ではないとされ、保護の対象にあたらない
意匠権 - Wikipedia
とあります。
「知っておきたいIT法律入門」で意匠権を論じているのが、北岡弘章の「知っておきたいIT法律入門」 - 画面デザインの保護(3) ですが、タイトルにも「意匠権による保護ではパソコン用ソフトは対象外」とありますし、注1にも
テレビゲームの映像そのもの、アイコンそのものといった、形のないものは、「物品」でないことから、意匠権による保護の対象外です
と書かれています。
この現状は、欧米に比べると遅れているわけで、今年3月の 「ウェブデザインに意匠権」でデザイナやクリエイターが稼げる日本に(佐々木康彦 / ITmedia オルタナティブ・ブログ) - BLOGOS(ブロゴス) にもあるように、特許庁も保護する方向ではあるようです。
特許庁としてはウェブページやアイコンにも意匠権を認め、欧米など主要国の制度に近づけ海外進出を支援する方向で検討開始
(原文では「主要国に制度に」となっていますが、誤字と判断して修正しました)
しかし、問題点も指摘されているので、簡単には実現しないでしょう。
既存の商用アイコンがどう回避しているかについては、例えば、「複写機・複合機の操作画面アイコンガイドライン」
http://hyojunka.jbmia.or.jp/hyojun2/upload-v3.2/archive/TR-17.pdf
のように、業界内部である程度のガイドラインを策定する努力もされているようですが、あまり細かく規定すると他社との差別化ができないという問題が発生するわけで、これも簡単な問題ではないようです。
かの Apple でさえ、iPhone5 の時計アプリのデザインがスイス国有鉄道の時計をマネしているとして訴訟されたりしているくらいですから。
Swiss rail company accuses iPhone 5 of copying their iconic clock design | Mail Online
以上、お役に立てることを祈りつつ。
自分の想定以上に素晴らしくわかりやすい回答ありがとうございます!
2012/10/16 21:30:02