不安になりましたので、質問しました。
まず①②ですが、公職選挙法に「日本国民」という明文の規定があります。
(選挙権)
第九条 日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
2 日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
3 日本国民たる年齢満十八年以上の者でその属する市町村を包括する都道府県の区域内の一の市町村の区域内に引き続き三箇月以上住所を有していたことがあり、かつ、その後も引き続き当該都道府県の区域内に住所を有するものは、前項に規定する住所に関する要件にかかわらず、当該都道府県の議会の議員及び長の選挙権を有する。
4 前二項の市町村には、その区域の全部又は一部が廃置分合により当該市町村の区域の全部又は一部となつた市町村であつて、当該廃置分合により消滅した市町村(この項の規定により当該消滅した市町村に含むものとされた市町村を含む。)を含むものとする。
5 第二項及び第三項の三箇月の期間は、市町村の廃置分合又は境界変更のため中断されることがない。
(被選挙権)
第十条 日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。
一 衆議院議員については年齢満二十五年以上の者
二 参議院議員については年齢満三十年以上の者
三 都道府県の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの
四 都道府県知事については年齢満三十年以上の者
五 市町村の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの
六 市町村長については年齢満二十五年以上の者
2 前項各号の年齢は、選挙の期日により算定する。
それから、選挙権がない人に被選挙権がないのは当たり前と思うかもしれませんが、いわゆる落下傘候補(自分の選挙区以外から立候補)の場合は、被選挙権はあっても「そこの」選挙権はありません。
③については、二重国籍であっても日本の国籍が残っている以上は、選挙権や被選挙権は認められます。そこは国籍法の規定に従うのであって、例えば
(国籍の喪失)
第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
というのがあります。
しかし、例えば私は日本国籍はあります。私に外国国籍があるという思い当たりはありません。しかし「絶対にない」ということはできません。なぜならば、もしA国では「A民族の血が少しでも流れていればA国民。国籍離脱もできない」とあって、私の先祖を日本鎖国前まで遡れば、実はA民族の血も少しは流れているとすれば、私がA国民であることのA国の公文書上の証拠はなくてもA国民だということになります。そうだとすれば、私は日本とA国の二重国籍ということになりますが、もちろん日本の選挙権も被選挙権もあります。自己の意思でA国籍を取得したわけではないので、日本国籍を失う理由にもなりません。しかし、何らかの理由で私にA国籍があることが判明すればこちらが適用されます。
(国籍の選択)
第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が十八歳に達する以前であるときは二十歳に達するまでに、その時が十八歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。
それで、私が日本国籍を選べば日本の選挙権・被選挙権は残ります。A国籍を選択すれば失います。それで前者の場合は、
第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。
3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。
5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。
となりますが、A国籍の離脱はできないので、これは仕方がないことです。しかし私がA国で、A国民でなければなれない公務員になれば、【法務大臣】が私の日本国籍を失わせることはできます。そうなれば日本の選挙権・被選挙権は失われます。
3はたぶん「蓮舫の台湾国籍」問題だと思いますが、あれは
「本人は台湾の役所に連絡して国籍離脱の確認はしたのだが、そもそも日本の行政は台湾政府や台湾国籍の存在を公式に認めていないので、日本政府は台湾政府発行の国籍に関する書類を受理することができなかった」
というものですね。
政府閣僚になる可能性があったので二重国籍の場合「他国の利益との相反」が問題になっていましたが、これについては実は明文規定はないという話があります。
ありがとうございます。
「そもそも日本の行政は台湾政府や台湾国籍の存在を公式に認めていないので、日本政府は台湾政府発行の国籍に関する書類を受理することができなかった」というのは、知りませんでした。
これらは、法の抜け穴みたいに感じます。立法上で治癒すべき内容かなと思いました。
対処はしないと思いますが。
日本が国と認めている主体と認めていない主体があった場合の
対応の方法が できていないかもしれないというのは、よろしくないですね。
また、本人が、日本が国と認めている主体か、証明書等を取り寄せできない
可能性もあります。
本人自身が、当該「国(政府)」を認めず、「反政府」な立場をとる場合などです。
国政でも転居直後の場合は旧選挙区です。遠方だと戻るのが大変ですが、その場合は不在者投票という方法があります。地方選挙だとどちらもできない期間が生じてしまいます。
なぜ直後に移らないかというと、制度悪用防止です。特に新興宗教の教祖が立候補したような場合に、信者がそこに転居して投票するのを防ぐためです。
それから転居の実態がないのに住民票だけ移すのは、選挙と関係なくても不正ですが、実際に問題になるのは通常は選挙で悪用する場合です。
有難うございます。
国政でも、直後に移らない。制度悪用防止のため。
⇒これは、おっしゃるとおりですね。選挙のタイミングで、
有権者が追っかけるように移動しまくるようではまずいです。
第2項と第3項の違いも、
「・・・一の市町村の区域内に引続き三箇月以上住所を有して『いたことがあり』、
「『その後も引き続き当該都道府県の区域内に住所を有する』ものは・・・」
という微妙な違いも味わい深いと思いました。