まず民法第146条には
「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」
とあり、これ自体が強行規定のように私は解していますが、wikibooksの解説筆頭にあるように当該条文は債務者保護のためだけの条文であり、債権者の保護は対象としていないのでしょうか?
民法第146条
時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC146%E6%...
商法第522条
商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%95%86%E6%B3%95%E7%AC%AC522%E6%...
まず重要な注意をしておくと、商法522条は削除され、民法と同じ扱いになりました。
ま、商法は「存在意義が」だんだん分かりにくくなってきているわけですが。
それで、ポイントを債権と解釈していいのかという問題はあります。
https://www.fsa.go.jp/common/noact/ippankaitou/mae/01a.pdf
しかも現在は民法520条の2以降もあるので、更に新たな解釈もされる可能性はあります。しかし、債権と解釈するなら、有効期限を民法の時効よりも長く定めたとしても民法の時効が完成すれば援用できますが、短くするのは構わないということになります。
それで、民法146条は債務者保護にはなっています。債権者保護としてはどうなのかというと、直接の保護は受けないものの、反対解釈として時効完成後に放棄するのは構わないと解されています。時効が完成しているのに債務者のところに債権者の弁護士がやって来て請求すると、弁護士を公正な第三者の法律家だと勘違いしている人は払わなければならないと勘違いすることになるという問題がありますが、時効は援用しなければ認められないのでこの弁護士の行為が違法なわけではありません。しかし、家の中を整理していたら古い預金通帳が出てきたような場合に、銀行が時効を援用すると銀行は「信用を失ってしまう」ので、普通は銀行はわざと時効の利益を放棄するものです。このように債務者の「信用を守る」という点では事後的にやるしかありませんが、債務者側の信用を守る行為が債権者保護には繫がります。
>債権者保護としてはどうなのかというと、反対解釈として時効完成後に放棄するのは構わないと解されています。
どうして債権者が自らの債権を放棄することについて「保護」として語られるのか意味不明です。
すみません、債権者保護と債務者の信用がごっちゃになっていたので、上の最終段落を直しました。