URLはダミーです。
主著:『人間の学としての倫理学』『古寺巡礼』『風土―人間学的考察』
和辻は、学問の最高水準を踏まえ、時代の課題に答えながら様々な精神史研究(=日本精神史、いわゆる和辻倫理学)を行ないました。彼の美意識は、日本の古代の伝統を踏まえ、ヨーロッパをも展望するものであったようです。例えば、法隆寺の回廊について、「魂の森の中にいるような」という表現などがあげられます。
【風土】
「文化において歴史性と風土性とは楯の両面である」
和辻は、「人間に個性があるように、国民性(国民的性格)があるだろうか?」と疑問をもち、追求しました。「人間の存在は、歴史的・風土的なる特殊構造をもっている。この特殊性は風土の有限性による風土の有限性による風土的類型によって顕著に示される。もとよりこの風土は歴史的風土であるゆえに、風土の類型は同時に歴史の類型である」と考え、風土により次のように人間類型を分類しました。「モンスーン型」、「砂漠型」、「牧場型」です。
「モンスーン型」:
(地域)南アジア・東アジア一帯
(自然環境)暑熱と湿気との結合
(宗教)受容的・忍従的な生きかたを説くヒンドゥー教や仏教
(人間類型)自然の恵みにより受容的になる。自然の暴威は忍従的にさせる。
「砂漠型」:
(地域)アラビア・アフリカ・モンゴル
(自然環境)感想
(宗教)戦闘的なユダヤ教・キリスト教・イスラム教
(人間類型)砂漠的人間は水を求めて対抗的・戦闘的になる。
「牧場型」:
(地域)ヨーロッパ
(自然環境)湿潤と乾燥
(宗教)ユダヤ教が潤いをもった愛の宗教キリスト教に発展
(人間類型)自然が人間に対して従順。合理的精神と自然科学が発展した。
和辻は、このように「風土」の分類を行い、日本の国民的性格について次のように述べています。「我々の国民も、その特殊な存在の仕方においてまさにモンスーン的である。すなわち受容的・忍従的である。(中略)しめやかな激情、戦闘的な恬淡である。これが日本の国民的性格にほかならない。」
以上、和辻の【風土】についての思想を簡単ですが、まとめたものです。参考になればいいのですが・・・
和辻哲郎は、高校の倫理の教科書にも出ていたと思うので、手に入るならそちらや関連資料集などをあたってみてもいいと思います。