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質問1について
○共通点
どちら説でも債務者は遅滞責任を免れ(492条)、相手方の同時履行の抗弁権を奪い(533条)、約定利息の不発生、注意義務の軽減、危険の移転、増加費用の債権者負担(458条但書)などが認められのは共通している。
しかし、債務自体が消滅するわけではない。そこで、債務者保護のために債権者に何らかの責任を問えないだろうか。
○法的性質
法定責任説ーー法律によって認められた信義則上の特別な責任。債権者の受領義務は認めない。
債務不履行説ーー債務不履行の一種。債権者の受領義務を認める。
○要件
法定責任説ーー債権者の帰責事由(故意・過失)は不要
債務不履行説ーー債権者の帰責事由(故意・過失)が必要
○効果
法定責任説ーー受領しないことは債務不履行ではないので損害賠償や解除は認められない
債務不履行説ーー損害賠償請求や受領遅滞を理由とする解除ができる
以上のように、法定責任説では、債権者に受領義務が認められないため、受領遅滞を理由とする債務不履行責任の追求はできないことになる。
他方、債務不履行説では、債権者に受領義務を認めるため、債務者は債権者の受領遅滞を理由とした損害賠償請求や契約の解除ができることになる。
両説の違いが問題となるのは、債務者の債務が先履行の場合である。
この場合、法定責任説では債権者が受領しない場合でも、債権者側の債務の履行期がまだ来ていないため債務不履行責任を問えず、債務者の保護に欠けることになる。
他方、債務不履行説では、受領遅滞を理由に損害賠償請求や解除ができるため債務者に有利といえる。
質問2について
本来、債権者代位権は将来の強制執行に備えて責任財産を確保しておくためのものである。
すなわち、1責任財産の保全、2強制執行の準備手続き、という二つの機能があるといえる。
この代位権によって責任財産を確保した上で、法律の定める手続きによって強制執行を行ない、債権回収を実現するというのが本来の姿である。
しかし、債権者代位権は裁判外でも行使でき、また動産や金銭の場合には第三債務者から直接代位債権者に引き渡されるため、代位債権者はそれを債務者に引き渡す債務と自己の債務者に対する債権とを相殺することによって事実上優先弁済を受けたのとおなじ効果が生じることになる。
このように、債権者代位権は、手続きが繁雑な強制執行によらずに、簡易に債権回収を実現する機能をも果たしているといえる。