「シスは常に師と弟子の2人で行動し(ダース・シディアスとダース・モール、ダース・シディアスとダース・ベイダーのように)、ジェダイも一人の師が一人の弟子を取る(クワイガン・ジンとオビワン・ケノビ、オビワン・ケノビとアナキン・スカイウォーカーのように)という形になっていますが、このような伝統も、キリスト教・グノーシス派の影響を受けたとされるカタリ派などにも見られる習慣です。これも大元では太古の伝統につながっているのでしょう。シスやジェダイの衣装が修道士を思い起こさせるのも、その辺に関係しているのではないかと思います。」
「魂の大いなる導き手として私が心から敬愛する
二十世紀最高のオカルティスト、ルドルフ・シュタイナーは
高次の世界を行こうとする霊的探求者がしばしば陥る最大の危険を、
霊性の探求と獲得に伴う自己中心性の極度の増幅を制御できず、
世界との繋がりを失って、破滅的な霊的形成を身に付けてしまうこと、
と述べました。SW(スター・ウォーズ)で映像化されたことで有名な
ダーク・サイド(暗黒面)の自己に落ちるという現象ですね。」
「ヘレニク・グノーシス主義の教師たちは、伝統的な「秩序宇宙・秩序の善なる神」を否定し、この世界は「悪の宇宙」であり、この世界を創造した者も「悪の神・不完全なる神」であると見做し、多くの派では、この悪の宇宙の創造者を、プラトーンの『ティマイオス』に描かれている、下級の世界造形者である「デーミウルゴス=造物主」と同一視しました。プラトーンのこの著作においては、当然、デーミウルゴスの上位に、高次の「真の神」が前提されているのですが、グノーシス主義の教えにおいても、「この闇の宇宙」の上位に「真にして隠された・知られざる光の超世界」があり、また、デーミウルゴスの遙か上位に、「真にして隠された、または忘却された、至高神」が存在すると主張します(この「隠された、知られざる真の至高神」は、認識や理解を超えた存在であり、名を付けることもできないとされますが、幾つかのグノーシス主義のシステムでは、この「知られざる至高神」を、「ビュトス(深淵)」とか「プロパテール(原父・先在の父)」と呼びます)。」
アナキンは一般的な現代のキリスト教における「キリスト」としてではなく、原始キリスト教の一派、グノーシス派で描かれる、「うそつきの教師」「邪悪な司祭」、あるいは「義の教師」としてのイエス像が投影されていると感じます。
このグノーシス派の思想では、「隠された、知られざる真の至高神」は、認識や理解を超えた存在であり、下級の世界造形者である「デーミウルゴス=造物主」の遙か上位に存在するとされます。
つまり、「下級の世界」である我々の現実世界、肉体を伴う世界では、「真の善」は保持されえない、という考え方があり、これがアナキンの転落に反映されているのではないでしょうか。
グノーシス派とイエス・キリストの関係について、ページ数は多いですが、わかりやすく書かれた書籍です。
とはいえ、これもまた不完全な「下級の世界」の被創造物である人間の、類推の結果でしかありませんが。