私は質屋です。
質屋を開業したいとのことですが、かなり厳しいと思います…。
一般の方は「ブランド品の査定さえ出来ればいいんでしょ」と思ってらっしゃいますが、
質屋が鑑定、査定するものは、それだけではありません。
取り引きとして一番多いのは、宝石・貴金属です。
また、ブランドバッグだけではなく、時計も見なければいけません。
これらは、質屋で働きながら学ぶ以外、学び方はありえないと思います。
「働きながら学べば早い」ではなく「働いて学ばなければ絶対に無理」です。
質屋だからこそ言える事ですが…。
ちなみに、私や私の兄弟は、生まれた家が質屋であったため、
父や質屋仲間から鑑定方法を学ぶ事が可能でした。
質屋は、そのように、子孫に鑑定方法を伝えていくというやり方の店がほとんどです。
中には丁稚を雇い、暖簾分けしていく質屋もいますが、
その場合も、大体が親戚のつてだったりする事が多いようです。
そういう意味では、開かれていない世界と言えるかもしれません。
しかし、これには理由があります。
鑑定方法を、質屋以外の全く無関係の人間に知られてしまうと、
それが、偽物を作る側に伝わってしまい、
結果的に偽物が進化してしまう恐れがあるんです。
鑑定に必要な箇所(相違点)を、クリアしていけば、質屋をも騙せるような偽物が作れたりもするわけです。
そうならないために、質屋は、鑑定方法を一切外には漏らさないんです。
ですので、「開業したいから」といっても、簡単に教えてくれる所はありません。
やはり、アルバイトなどで雇ってもらい、信用を積み重ねていくしかないでしょう。
何年かかるかわかりませんが…。(^^;;;
それから、質屋営業法というのをご存知でしょうか?
質屋を営業するにあたり、必要な法律が書かれているものです。
それを見ると、おそらく「質屋なんてもうどうでもいいや」と思いますよ。
いろんな意味で、新規で開業するのは恐ろしく大変なんです。
なにしろ、質屋には、銀行がお金を貸してくれませんしね。(^^;;;
(銀行と同じ金融業であるからという理由で)
貸し付けるお金、建物を建てるお金、蔵を建てるお金、全て自腹になります。
お金をたくさん持っている大富豪なら別ですが、
個人で開業するのは、かなりキツイと思います。
「楽に儲かる商売」と思ったら大間違いですので、気をつけてください。