わたしは、小学校二年の時、買ってもらったばかりの黄色い傘を、歩道橋の上に忘れて帰宅して、母親にすごく怒られて、走って探しに行った記憶がはっきりあります。思えば、おばあちゃん子だったので、母は怖かったんです。無事傘はありました。午後から晴れて、ともだちとじゃんけんしながら帰ったら忘れてしまったようです。
それまではずっと友達だった人と付き合い始めて
初めての彼の誕生日に
心をこめてネクタイを選んで買いました
普段は寮に住んでいたのですが
週末だったので実家に帰りました
実家といっても引っ越したばかりで
私にとってはなじみのない土地で
毎駅毎駅、駅名を確かめていました
座席は満席で、仕事で疲れていた私は
買い物をした荷物を網棚に載せました
ふと気づくと下車駅で、私はあわてて降りました
ところがその駅は下車する駅の手前の駅で間違えて降りてしまったのです
げっそりしながら次の電車を待っているうちに
網棚に乗せた荷物のことを思い出しました
「しまった・・・」
あわてて駅員さんに相談すると
「ここではわからないので終着駅に行ってみてくれ」とのこと
終着駅はそこから1時間以上かかります
電車に乗っていくうちに
どんどんどんどん民家はまばらになり
田園風景から山の景色になり
知らない土地の心細さと自分のふがいなさで悲しくなりました
これまで何度か落し物をしても
戻ってくることが多かったのと
忘れ物が金目のものでもないので当然終着駅に行けば
出てくると思っていました
しかし・・・・
その荷物はもう2度と手に戻ってくることはありませんでした
終着駅から実家に戻ったときにはすでに真夜中でした
あのネクタイが
どこかの誰かを幸せにしてくれたのだったらいいな、と思っています。
中学一年生のころ、両親に買ってもらった大事な財布がありました。
友達と渋谷に買い物しにいき、帰りにプリクラを取っていて、そのままソコにおいて来てしまいました。
数時間後、忘れてきたことに気づいてももう、後は何も残っていませんでした。
大事な誕生日プレゼント。
見つかることはありませんでした。
今頃どこにいるのでしょう。
中身は抜かれても、財布は捨てたかな?
もう、燃やされてしまったのか、もしかしたら、どこかの隅で行き続けているのかな?