●俳句の場合
一般に引用(合法的である)は、原作の最低限の部分といわれているが、俳句などにおいては「全文引用も可」とされている。もちろん、複数の俳句をそのままもってくるのは、範囲を超える。
これについては、加戸守行著「全訂著作権法逐条講義」に
引用される著作物の分量の問題ですけれども、事柄の性質上、美術作品とか、写真とか、あるいは俳句のような短い文芸作品の場合ですと、その一部分の引用ということは考えられませんので、これらは全部の引用が可能となりましょう。
とあるそうだが、上記文章は、実は、(俳句ではない)別の著作権の事案に対する裁判所の判断のなかで、参考文献として肯定的にとりあげられている。
これは、【事件名】『新ゴーマニズム宣言』の肖像権侵害事件(2)
http://www.translan.com/jucc/precedent-2003-07-31.html
である。なお、俳句が著作性をもった創作物であることは自明とされている。
●標語の場合
標語のように、広く伝えることを目的とするものについては、創作性をもった著作物といえるかどうかという判断が必要となる。これについては、
【事件名】交通安全標語の類似事件(2)
http://www.translan.com/jucc/precedent-2001-10-30b.html
において、標語1の権利を類似の標語2が侵害したかどうかが争われている。ここでは、標語1はA+B、標語2はA+Cからなっているが、Aは伝えるという目的にそった創作性のない部分、Bは創作性のある部分とし、標語2は、創作性のあるBを用いていないので、「非侵害」と判断している。
なお、質問者のあげる他の種類の短文については、判例を探し出していない。
上記裁判は、標語2がテレビで流れたため、標語1の側が損したとして1千万円を求めたのですが、敗訴した、というものです。
そもそも社会福祉目的の標語に損もなんもないだろー、とか思うぼくは素直すぎるのですかねー。
倫理の話は置いておくとして、
http://www.translan.com/jucc/precedent-2001-10-30b.htmlの判例は
標語1「ボク安心 ママの膝(ひざ)より チャイルドシート」と
標語2「ママの胸より チャイルドシート」を対比すると
-「ママの・・・よりチャイルドシート」が共通
-3句構成・2句構成、「ボク安心」に対応する語句が存在しない、膝と胸、が相違
…なんてどうでもいいことで訴えを起こしてるんだろうこれ。とか言っちゃいけないですね。補足ありがとうございました。
標語の判例は、全文引用なら著作権侵害になります。これは変形してあるから被侵害とされた事案です。ごく短い文であるため、著作権が発生してもその保護範囲が狭いために僅かでも変化していれば可、というものです。
それははっきりとした形での明言はされていない気がしますけど。