「DRMの開発コストはふくらんでいく一方」(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0801/28/news012_3.html)という話がありますが、
(1)なぜ、開発コストがふくらんでいく一方なのか
(2)開発コストが劇的に縮小する可能性とかはないのか。
(3)DRMはそんなに、コスト的に見合わない制度なのか
(4)そもそも、みんながある程度まで満足してくれるようなDRMの方式とかって、どういう形ならありうるのか
といったことが疑問です。とりわけ、(1)~(3)は技術的なことが絡んでくるところもあるので、お詳しい方に教えていただければと思います。
よろしくお願い致します。
まず、デジタルコンテンツの特徴は、基本的にファイルをコピーすれば、少なくとも「データ」としてはコピーできてしまいます。データをコピーしても、中身が暗号化されていれば、そのコンテンツを再生できないだろう、というのが DRM の基本になります。
しかし、「暗号化する」ということは、どこかで暗号化の「鍵」を渡さないといけません。「鍵」とその鍵を使って復号化する方法が分かっていれば、そのコンテンツを再生することができます。
で、これらを分からないように一生懸命隠すのですが、必ずといって良いほどバレます、
DVD のコンテンツ保護機構も破られました。
Content Scramble System - Wikipedia
Windows Media の DRM も、何度も破られています。
Windows VistaのDRM、早くもクラックされる - Engadget Japanese
iTunes の FairPlay も破られています。
「DeCSS」の作者が, DRMを解除した楽曲をiTunes Music Storeで購入できるツールを開発 - デジタル家電 - Tech-On!
破られるたびに改修する、といういたちごっこになり、そのコストがかかります。
原理的に、暗号化されたデータの復号化してコンテンツを再生できる、ということは、何らかの形で、その再生機器(パソコンでも、地デジ対応テレビでも)の中に、復号化するプログラムと、復号化に必要な鍵が入っていることになります。テレビような家電機器であれば、そのプログラムの解析をするのは難しくなるかもしれませんが、パソコンであれば、再生プログラムを一生懸命解析して、隠された鍵データがどこにあるのかを突き止める、というのは不可能な事ではありません。
暗号化の「鍵」と「プログラム」がユーザの手元にある、というのが DRM が本質的に抱えている問題です。一般に、暗号化の安全性を保つためには「鍵」を如何に秘密にするかが重要です。暗号化のプログラム(アルゴリズム)を秘密にすることはあまり重要ではありません。逆に、「鍵」さえ盗まれなければ、暗号化されたファイルを復号化することは、ほぼ不可能になります。
ところが、DRM ではこの「鍵」をユーザに渡してしまいます。じゃないと、そもそもコンテンツを再生できないからです。ユーザに隠しているだけで、その鍵は必ずその PC 上にあります。これが、通常の暗号化と DRM での暗号化の大きな違いで、DRM がいたちごっこを回避できない原因になります。