「1984」は、ハヤカワ書房からでているので、読む機会はおありになられるかと、思いますけど、私の年老いた父は「25時」のほうが、全体主義・監視社会への批判が強いと申します。当時は衝撃的だったと申しているのです。どうか宜しくお願いします。
どちらが「先進的」かというと、私は「1984年」に軍配を上げます。
「二十五時」は、映画で見ました。ナチスによって無実の罪を着せられ強制収容所送りになった青年の物語ですね。
作品が書かれたのは、ナチスが滅んだ後の1949年。1967年に映画化されました。当時の左翼には大きな影響を与えたようです。
私が映画を見たのは、それから20年近くも後の話。マルクスかぶれしていた最後発の学生でした。
「1984年」は、Apple MacintoshのTV CMで使われたという話を知って読みました。こちらは近未来社会の話。これも映画化されたようですが未見。
作中に登場する「ビッグ・ブラザー」という存在は、その後、さまざまな小説/アニメの元ネタになりましたね。
映画と小説の違いはあるものの、この2作品は、ちょうど同じ頃に見て/読んでいます。
プログラミングをはじめた時期で、当時の私は、ビッグ・ブラザーは巨大コンピュータ・システムであろうと考えていました。
その意味では、「1984年」の方に先進性があると感じます。
そして現在――町中に溢れかえる携帯デジカメとWebカメラ、ボットネットによるリアルタイム分散処理、2ちゃんねるやYouTubeによる都市伝説の流通、コンプライアンスによる見えない牢獄――私はすでに、「1984年」や「二十五時」を超えた時代を生きているのだな、と感じます。