このとき、グレートバリアリーフ全体で具体的に何個の卵が産卵されるのか分かるページを教えて下さい。
宜しくお願いします。
"by the zillion"=「無数に」などという記述は散見されますが(下記サイトなど)
http://www.bugbog.com/beaches/australia_beaches/australia_beache...
科学的に見積もった総数の記述はあまりないようです。
無理矢理概算してみるとたとえば以下のようになります。
まずWikipedia等によると、11月〜12月に一斉産卵を行うのはouter reefsつまり環礁の外側のサンゴ群で内側は10月の満月の夜に産卵を行うとあります。ここではinner reefsとouter reefsの正確な面積比率がわからないのでとりあえず「全体で」考えます。全体の面積は344,400平方キロメートルです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Great_Barrier_Reef
さらに造礁サンゴのコロニーの単位面積あたりの産卵数が下記文献表1に記載されています(PDF)。
http://www.gsj.jp/Pub/News/pdf/1993/05/93_05_06.pdf
これによると平均して一年に一平方センチあたり389個のようです。Wikipediaによると造礁サンゴの有性生殖は「一年のある時期に同調して」行われるとありますから、とりあえず一斉産卵の時がその機会とします。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A0%E7%A4%81%E3%82%B5%E3%83%B...
ここでグレート・バリア・リーフの面積をサンゴコロニーの面積と同じとみなすと、単位面積あたりの個数に全体の面積をかけると産卵数はだいたい9×10^18個、すなわちおよそ900京個になります。
グレート・バリア・リーフの面積=サンゴ礁の面積という仮定が妥当か否かはわかりません。
そもそもサンゴの表面は凹凸があるため、おそらく正確な表面積は計測不可能だと思われます。
科学的に意味のある推測をするには何らかの専門的な研究が必要でしょう。したがって、研究者に妥当性のある概算が可能か否か、そうした文献が存在するか否かを問い合わせるのが早道だと思います。
(個人的見解ですが、逆に記載のあるページがあったとしても科学的な根拠が明記されていない場合は鵜呑みにしないほうがよいのではと思います。)
計算の単純ミスがありました。
解説した概算によると総数は900京ではなく130京程度になります。
ソースとしてWikipediaはお嫌いだそうですが、回答中で利用したデータのオーダーと生態の情報は目を通したすべてのページでほぼ共通していましたので問題ないかと思います。
例によって英語で検索してみましたが、millionsとかzillionsとかa large amountといった記述以上のものは、探し出せませんでした。
以下、調べたところまでメモっておきます。あまり深くは調べられないのですが、ほかにお調べになる方がいらしたら、参考情報としてお役立ていただければと思います。
ブリタニカ百科事典(英文):
http://www.britannica.com/reef/printable/The_Reef_Brief_c.html
グレイト・バリア・リーフにおけるサンゴの産卵についてのかなり詳しい説明文なのですが、数的なことは、After the full moon in November the entire coral community on the reef releases sperm and eggs into the water in a mass spawning event. と書かれている程度です。(具体的な数値なし。)
ダイヴィングのツアー業者の説明ページ:
http://www.divethereef.com/coralSpawning.asp
"There are so many in the water that there is no way that all can be eaten." とあるだけで、具体的な数値なしです。
オーストラリアABC(日本のNHKみたいなもの)の説明のページ:
http://www.abc.net.au/science/scribblygum/october2002/default.htm
一般向けのテレビ番組(科学ドキュメンタリー)の概要のページです。数値的なこととしては、millions of tiny cells とか、サンゴが産んだ卵の帯(slick)が metres wide and kilometres long (幅数メートル、長さ数キロメートル)にもなって衛星からも確認できるとかいったことが書かれています。「とにかく大規模なのだ」ということはわかるのですが……。ただ、このページの末尾にあげられている「参考文献」(Mass Spawning in Tropical Reef Corals, in Science, 1984, vol 223 pp:1186-1189)には、具体的な数値が書かれているのかもしれません。(1984年の『サイエンス』誌掲載のものです。データとしてはちょっと古いかも。)
学術論文:
Biogeochemical responses following coral mass spawning on the Great Barrier Reef: pelagic–benthic coupling
http://www.springerlink.com/content/k675082x535h6537/
an annual mass spawning event on the Australian Great Barrier Reef についての論文で、Abstract(概要)以外は有料なので中身は見ていないのですが、ひょっとしたらこの論文に数値的なことが書かれているかもしれません。
それから、上のABCのページの下部にある「参考サイト」から、
Great Barrier Reef Marine Park Authority http://www.gbrmpa.gov.au/
(オーストラリア政府のグレイト・バリア・リーフ海洋公園のサイト)
に行って、サイト内を coral spawning で検索してみたのですが、漁業との関連の話が多く、どこを見たら「サンゴの卵の数」がわかるのか、ちょっと見当がつかず……です。ただ、このサイトからたどっていけば、何か具体的なことがわかるかもしれません――例えば2005年の学会(http://www.impacongress.org/)のページなど。
この研究は、水中の酸素濃度の変化などを指標に一斉産卵後の一定期間に海中に放たれるPOM(懸濁態有機物)の生態系への影響を評価しようとするもので、やはり卵の具体的個数という話題はでてきません。指標になるのは一貫して濃度のようです。
全体の個数を把握するよりは単位水域あたりの物質の組成の変動などを研究する方が学術的には意味があるのだろうと思いますが、水中の何らかの物質の濃度を計測することは概算への指標になるかもしれません。
あと論文中にはこの現象に関しては定量的な研究が少なく未知の部分が多い、という指摘もありました。