そこで、日本文学、国文学などなど名前はいろいろありますが、現代の作家の研究をすることを可としている科を想定してください。
調べたところ、「宮部みゆき」や「村上春樹」個人を研究するというのは可能だと知りました。
しかし、たとえば「中古から現代にいたるまで、ベストセラー書の中に共通点はあるか」だとか、
「文学で最も多くの人に影響を与えるにはどのような手法・書き方が有効か」みたいな、ものすっごいアバウトなことを包括的に研究する、というのは大学で行う研究としては荒唐無稽、成り立たないものなのでしょうか。
大学へ行き文学を研究したいという気持ちはあるのですが、読書そのものが好きなので特定の作家に絞り切ることができません。
もしあるのならば、そのような研究・調査をしているような学部・人などを教えてください。
また、他にこんな研究はどうだろうか、みたいなものもあれば教えてください。
※もちろん文学部で、いわゆる日本文学を研究するということにおいてです。
上記のご質問の内容だと漠然とし過ぎていて答えようがないと思っていたのですが、コメントを拝見するに
『(自分のような希望を持つ生徒の)推薦入試での有効な答え方』
について、のご質問と考えて良いでしょうか。
その前提で少し答えます。
私なら、あなたの場合
「興味があり趣味で読んでいるのは主に現代の文学などです。」
「○○さんや○○さんの本をたくさん読みました。」
「単に読んで面白いというだけでなく、表現の巧みさに感心させられたり」
「また、感想・受け取り方は人それぞれだと思うのに、ものすごく多くの人に受け入れられているのはなぜなのだろうと不思議に思ったりしています。」
…と素直に言うのが一番良いと思います。〈大学での研究内容〉を聞かれたら、そういうことについてなぜなのか、知りたいと思っています、という感じで。
また、逆に、まさにこの上記の質問をしてみるのも良いと思います。なんと言っても大学の先生たちが一番確実に責任ある答えができると思いますので、
「逆に質問してもよろしいでしょうか」
「ベストセラーとはどういうものなのか、ということは、研究になるのでしょうか?」
「どうして文学は人を動かす力を持つのか、あるいは本当に持つのか、に興味があるのですが、そういうことは研究の対象になるのでしょうか?」
…という感じで。面白いことを聞く受験生だと思って貰えるし、また研究への熱意を持っていると解釈されると思います。また、教授の人たちの頭の柔軟さが伺える、面白い答えが聞けると思いますよ。
個人的には、上記のような『ライフワークになりうる疑問』を今の段階で持っている学生は、大変有望だと思います。もちろん今の時点で「作家の○○さんが研究したい」と言う学生も悪くは無いのですが、そういう人もいずれは変わるし変わらないと困ります(近現代文学ジャンルで言えば、一人の作家しか研究しない研究者というのは研究の世界で食ってはいけませんし)から、広い興味を持っている方が良いのです。とある作家に興味が失せたからといって研究に飽きられても困りますし。
ですから、ご心配になっておられる「深く突っ込んだ質問」というのは、【研究ジャンル・テーマを具体的に絞り込め】ということでなく、たとえば「作家の○○さんがなんとなく好きー」程度の答えをする学生に対して「どこが好きなの?どんな風に好きなの?好きってどういうこと?それが曖昧なままで研究になると思う?」的ないささか意地悪に見える(教授達自身はむしろ親切で意地悪をしている積もりぐらいかもしれませんが)質問をされるということでしょう。そういう質問に対しては、あなたなら簡単に答えられるのではないでしょうか。
あなたのような「現代文学を幅広く読んでいて」「面白いテーマを持っていそうな学生」に対して、入学時点でテーマをもっと具体的に絞り込むことを要求するような低レベルの教授しかいない大学はむしろこちらからお断り、ぐらいに思っていて良いと思いますよ。
ただ、大学に入ってからの事で言うと、急に逆のことを言うように聞こえるかもしれませんが、専門は絞り込むべきです。それは、少なくとも近現代文学の研究分野においては、対象を絞り込んだ方が研究が深く広くなっていくことが期待出来るからです。浅く広くを意識すると、あなたの興味は文学研究なのか社会学研究なのか境界が曖昧になっていくでしょう(たとえば『ベストセラーの共通点』を皮相な物語分析で分析しても、それは単なるマーケティングのお話にしかならないということです)。文学研究と言われるものの本当に深い部分というのは、一人の作家のある時点における一つの作品、あるいは発言の背後を探っていく中に、実は当時の歴史・時代認識の広がりが見えてきたり、あるいはそこを越えて現代の思想全般に深く関わって大げさに言えば時代を変革するような手がかりが潜んでいたり……要するに「細部に全体が宿る」ような世界を研究することにあるのですし、そしてそういうことは、その作家を深く狭く掘り下げていくことによって初めて明らかになっていくことだったりするからです。
野球に喩えれば、あなたが一野球ファンだとして、「日本とアメリカの選手契約スタイルの違いが、それぞれのリーグの野球をどう面白くしているか」といったざっくりしたテーマを研究すると社会学になりますが、「イチローの、この打席のこのヒットがどうして生まれ、どうしてそれが人を感動させたか」という感じに「このヒット」を出発点としてそこから構築し、最終的に「野球がなぜ人を感動させるか」に迫っていくのが文学研究ということになります。文学研究においては、最終的に大きなテーマへの関わりを論じる必要は確かにある(最近多い)のですが、実際の現場ではそういう「この時代」「この作家」「この作品」そして「この一節」へ没入する能力がぜひとも必要になってくる――そうでなければ『文学』研究ではない――ということです。
以下は近畿大学の国文学研究ジャンルの修士論文一覧ですが、割に幅広く近現代ジャンルを扱っている一例として参考までに載せておきます。
>調べたところ、「宮部みゆき」や「村上春樹」個人を研究するというのは可能だと知りました。
個人が可能、ということではなく、個人だと調査が簡単で研究しやすいので、研究している人が多いということです。
大学で研究する場合、最終的には卒論にします。
しかしながら、卒論にする場合、短い場合は半年から、長い場合は2年程度で研究する材料について調べ、調査して、裏づけをとらなければなりません。
そうすると、
>「中古(中世??)から現代にいたるまで、ベストセラー書の中に共通点はあるか」だとか、「文学で最も多くの人に影響を与えるにはどのような手法・書き方が有効か」みたいな、
研究は可能だとは思いますが時間的に無理です。
専門で研究するのはできるし、だれか教授等が論文で発表しているような気もしますが、それくらいの時間を要すると思いますよ。
特におっしゃっている2つの題材はすでに研究家が研究してて、ハリウッドセオリーという本にまとめられていたと思います。
(世界中の神話などなどから共通項をさがしてまとめたら大ヒットにつながるセオリーがあったというかなり昔の研究)
ものすっごいアバウトなことを包括的に研究するとおっしゃっていますが、大学でアバウトなことは研究できません。2つの題材は時間がかかり広大ですが、アバウトではないと思います。
包括的な研究も可能ですが、あなたが一生懸命時間を惜しんで研究すれば可能でしょう。あとは院に行くとか。要するに時間の問題です。
卒論は普通の大学なら好きに選べるので、どんな研究も文学部で文学史や文学研究系をしたいならできるとおもいます。私の知ってる限りではとりあえず新潟大学の人文とかでも普通にできます(友達がやってたので。地域文化か行動科学のどっちでもいいかと)あと先生陣営も研究にはそん色ないかと。あ、現在から過去に至るまでのアニメ漫画に出てくるロボットアンドロイドなどなどについて研究するとかやってる人もいました。これも結構広いし包括的?
何か聞きたいことがあれば、ほかにも答えられると思いますので、具体的に何かあればどうぞ・・・とかえらそうですみません・・・。
読書そのものが好きということですが、とりあえずその中でも好きなジャンル(恋愛小説、ミステリ、エッセイ、女流作家、ケータイ小説etc)に絞ったらどうでしょうか?
同じ宮部みゆきの研究でも、「彼女の著作には文法的・文学的にこういう特徴がある」という研究だけでなく、「なぜ宮部みゆきが売れるのか(どこが読者に受けるのか)」というアプローチで研究することもできますよね。
ただ、そんなに具体的に聞かれる面接だとそのような研究は自分の大学ではできないと思われると弾かれる可能性もありますが・・・
受ける大学の先生の専門分野を調べて対策を練るのも手だと思います。
面接で聞かれたことを絶対に研究しなければいけないことはありません。卒論の執筆途中にテーマを変えて一から書き直す人だって大勢います。気楽にがんばってください。
どんな分野でどんなテーマを選んでも、必ずといっていいほど近いテーマの論文を書いた人がいます。むしろ文学部なら参考文献がないと卒論は書けないでしょうから、先達がいることは気にしなくていいですよ。
おお、高校生!若い、そしてステキな未来がまっていそうですね^^羨ましい。
推薦とのこと、実は先に述べた新潟大学の人文系の推薦対策で、生徒をもっていました。
ついでに自慢になりますが、無事倍率の高かった推薦枠にその子を押し込めたことがあります^^
対策したいということですが、推薦の内容、学校名と学部、あなたが考えている大まかなそれらの回答を教えてもらえれば、これこれこういった感じにしたらどうですか?というアドバイスはできます。
個人的な所感ですが、推薦の場合、先生はまだ大学に入っていない子にそんなにはっきりとこれこれこういった研究をしたいと決めて着てほしいとは思っていません。
だから、大まかに興味のある分野で、こういったことができればいい、程度のことを言えて、それにたいして知識が追いついているかを主に見ていると思います。
ただ、推薦の内容がわからないので、一概には言えないですが…。
もしききたいことがあれば、メール等下されば対応しますよ~。
ここで大学名とかかくのはちょっと…というのもあるかもですし。
どうもありがとうございます。
確かに、あまり具体的すぎるとはねられる可能性はありますね(汗
色々調べましたが、志望の大学に現代の作家や作品をテーマにしている教授(?)はどうもいないようです。
というか、どの大学にもほとんどいないです……(汗
せいぜい太宰治や夏目漱石どまりですね。
あまりはっきり明言せず、「日本文学が好きで、太宰治や夏目漱石も読みますが、主には現代の文学作品を読みます。言語学や哲学にも興味はあります」みたいなぼかした感じにした方が良いでしょうか……
大変失礼だとは思いましたが、お言葉に甘えさせていただきメールを送らせてもらいました。
お願いいたします。
もしどうしても現代の研究がしたいなら社会学部・学科の方がいいかもしれません。
面接をする先生方は、普段大学生と接していますので、最近の学生で太宰や漱石を趣味で読む人がそんなにいるわけがないと知っています。詳しくもないのに「太宰治が大好きです」なんて答えるとここぞとばかりにマニアックな質問が飛んでくる可能性があります(笑)
文系の先生は自分の研究の専門外のことに関しても、ある程度の知識を異常な記憶力で覚えていますから。
私は面接官ではありませんし受験対策の専門家でもありませんので、「絶対にこう言えば受かる」ということは言えませんが、先生たちは受験生のやる気やオリジナリティがあるかどうかを見ていると思います。
jo_30さんも答えていらっしゃるように、honzukiさんなりの引っ掛かりを感じた着眼点があるということを素直に話せばいいのではないでしょうか。それが十分「具体的に」ということになると思います。(何しろ私が卒論を書く際に一番苦労したのが、いかにオリジナリティのある問題提起をするか=新たな発見をできるかという点でした。)
ぼかしすぎるのは良くないと思いますが、入試の時点で卒論のテーマになるほど狭い研究テーマを考えておく必要はありません。
「いろいろな作家を読んでいるうちにベストセラーには何か共通点があるのでないかと思った」
「(opechumanさんの回答にある)『文章読本』を読んだり自分なりに考えるうちに、○○という点に興味/疑問を持った」
これで十分具体的だと思います。
なるほど、確かに作者に聞けば一発、てのはありますね(笑
時代背景を調べる手間、というか価値もあまりありませんし。
あ、やはりそうですか。
太宰は人間失格は面白かったですけど、実は他はいまいちぴんときませんでしたし……(笑
突っ込まれたらたぶんぼろぼろですね。
オリジナリティのある問題提起、ですか。
考えてみます!
どうもありがとうございました。m(_ _)m