まぐろ雑学
http://www.marusumi.com/home/zatu.htm
身ではもっともポピュラーなマグロ(鮪)も、庶民の口に入るのは、ほとんど冷凍物である。
冷凍物でもおいしく食べられるのは、「急速冷凍」するからである。
水揚げしたマグロはその場でワタをとり、マイナス50度以下の船内冷凍庫で冷凍する。
こうすると解凍しても色が変わらず、遠洋でとったマグロを三ヶ月、あるいは半年後に市場に出してもまったく問題がない。昭和三十年代までは、マイナス20~30度で冷凍していたので、解凍すると身が黒ずんでどうにもならなかったという。
ところで、大型の魚はふつう、捕れたてはおいしくないのはなぜなのか。魚のうまみは、アミノ酸とイノシン酸から出る。
魚は死ぬと死後硬直と言って、いったん固くなるが、これは細胞中に存在しているアデノシン三リン酸(ATP)が分解していくときに、筋肉中にリンが生成され、そのときのエネルギーによって、固いタンパク質となるからである。しばらくすると熟成して筋肉はやわらかくなる。死後硬直から熟成をへて、アミノ酸やペプチドなどのうまみ成分が生成されるのだ。さらに分解が進むと、ATPはアデニル酸をへてイノシン酸に変化する。死後しばらくするとイノシン酸の量も増えるのでおいしくなるのである。冷凍マグロの場合は、解凍しているときに熟成が進み、うまみ成分のイノシン酸が増える。こんなわけで冷凍物もうまく食べられるのだ。