ヤマタイカというマンガを読んだことがありますか?
日本神話で一番偉い神様は、天照大神で、日の神ですよね。
でも、イザナギ・イザナミの神話の頃はあきらかに「火」の女神を崇拝していただろうっていうんです。
イザナミ女神はヒノカグツチという火の神を産み落として火傷で死にました。
それは、激しい噴火で自分自身を破壊する火山活動を象徴してるっていうんです。
古代日本では、活火山を女神として崇拝していたのではないかと考えられます。
そこへ、太陽を崇拝する民俗が(おそらく大陸から)現れて、
土着の日本人を従わせていくわけですが、
その際「日」は天にある巨大な「火」であるから同じものであり、「日」のほうが偉い、
とかなんとか言って仲間に入れちゃうわけですね。
死んだイザナミ女神を、イザナギ神が黄泉の国に探しに行き、
1 で id:pahoo さんが紹介している黄泉平坂の話があり、
命からがら逃げ帰ったイザナミが穢れをおとすために禊ぎをすると、天照大神が生まれてきます。
土着の火の女神が穢れとして廃されて、もっと美しい日の女神がとって変わる瞬間です。
そのことを裏付けるように、
アイヌの神話では、アペフチと呼ばれる火の女神を最も大事な神とします。
アペが火で、フチは老婆という意味です。
よく、富士山の語源は「フンチ・ヌプリというアイヌ語で火の山という意味」と説明しますが、
正確には「老婆の山」だと思います。もちろんこの老婆はアペ・フ(ン)チのことです。
アペフチはあらゆる火の中にいるとされていますが、
おそらくは火山の女神なのだと思います。
沖縄でも、竈のまわりにいるという「火ぬ神」を大事にすると聞きました。
ヤマタイカというマンガの中ではこれも女神としていたような気がします。
日本全土にいた火の女神を崇拝する人たちが、
日の神を崇拝する人たちと同化したり、追い払われたりして、
本州では日の神を崇拝するようになり、
古代の名残が北海道と沖縄に残っている、というわけです。
そういえば、天皇家の先祖であるニニギノミコトは
山の神であるオオヤマツミの娘であるコノハナサクヤビメと結婚しているのですよね。
火山を崇拝する原住民の長と、婚姻関係で結びついたということだと思います。
ってな話が「ヤマタイカ」のテーマになっていますので、
もし未読でしたら古本屋さんで探して読んでみてください。おもしろいですよ。