その中でティアニー教授は「アメリカで僕が患者さんを診察するときは、少なくとも30分くらい時間をかけて話を聞くことができるけど、ここは日本だからね。日本の保険制度のもとでは、外来診察に3分から5分くらいしか時間をかけることができないのを知っていると、---」とおっしゃっています。
日本では医師一人あたりの患者数が多すぎるために外来診察に時間をかけることができないのだと勝手に思っていましたので保険制度の違いが原因というのが意外でした。そこで質問です:
なぜ日本の保険制度のもとでは外来診察に時間がかけられないのでしょうか?
医療に詳しい方の回答をお待ちしています。「よく知らないけど何となくこう思うわぁ」という回答をちょっとしてみたくなる気持ちは分かりますが、ここではどうか辛抱してください。
アメリカでは医療がプライベートで診療費もかさむために、
緊急以外では、プライベートの医師同士にサービスの良さなどの
商売のような競争が見られます。また、アメリカは車社会であり、
立地の良さよりもサービスや設備の良さでも病院を選びます。
しかし、日本では国のやている国民健康保険があり、
価格やサービスでの競争はアメリカほどなく、
また公共の交通機関が発達しているために、
立地の良さによっても患者が獲得できます。
そのため、より多くの患者を観た方が病院側には
有利な経営になるために、可能な限りの範囲で
いかに多くの患者を見るかを重視しているのだと思います。
英国でも、国保があるために、国保の病院では日本と似た状況ですが、
プライベートの病院も選べるのでそちらに行くと、
サービスが非常にきめ細かいアメリカ的な医療だったりします。
一つ目は、アメリカの保険制度では、みんなが保険に入っているわけではなく、また入っている人でも加入している保険によって使える治療が違う(安い保険では、難しい手術や高価な薬は保険適用外になる)ということです。
だから、人口の割に医者にかかる人が少ないのだと思います。
(統計資料などはありません。ごめんなさい)
二つ目は、日本の保険制度では診察の報酬がすごく安い(主観的に、ですが。この具体的な数字は調べればお見せできます)ということです。
医者が利益を出すためには、沢山薬を出したり沢山検査をしたりしなければなりません。
で、悪徳医者でなければ一人当たりに出せる薬の量、できる検査の量は限られていますから、限られた時間である程度利益を上げようと思えば、短時間に沢山患者さんを見ることになるのだと思います。
医師一人あたりの(病院に行く)患者数に日米間で差があるかもしれず、それは保険制度の違いに起因するということですね。なるほどあり得そうですね。
それから診療報酬の違いですか。日本はそんなにたくさんの患者を診なければやっていけないほど報酬が低いんですか。実際どれくらいなのかしら? 丁寧に診てたら経営できないというのであれば、良心のあるお医者様ほど悩みが深そうですね。
実際に病院経営にたずさわっている方のご意見も聞いてみたいですね。
初診・診察料が2730円
医学管理等が100円(家ではこういう処置をしてくださいね、という紙を貰っただけでした)
投薬3590円
処置970円(看護婦さんにちょっと塗り薬を塗って貰っただけです)
でした。
この値段は診察時間が長くても短くても変わらなかったと思います。
4月から、5分未満の診察では診察料が520円安くなる、と聞きましたが、その程度です。
これが高いか低いかは何とも言えません…
建物や高価な医療機器、複数人のスタッフを抱えているので、それなりに経費が掛かると思いますが、
人気がある開業医さんは年収数千万と聞いたこともあります。
私も開業医さんや、病院経営に携わっている方のご意見を聞いてみたいです。
具体的な情報ありがとうございます。
おっしゃるように、医者というと高収入というイメージがあります(実際そうなんでしょう)。一方で、診療費が低すぎて経営が大変、だから診察時間を短くせざるを得ないということでしたら、ちょっとギャップがありますよね。実態はどうなんでしょう。
実体験に基づく情報ありがとうございます。アメリカの方が、診察時間が平均的に長いというのも怪しいわけですか。
なにかそういった統計データみたいなのはあるのでしょかね?なんだか色々知りたくなってきました。
質問と関係ないですけどブログも面白そうですね。
もちろん元のコストは安くなりますが、
国保では、明瞭会計にする必要があるため、
サービスの差による患者一人頭での
大幅な値上げや値引きはできないので、
医者一人辺りが患者数を多く見て、
診察料をその頭数でより多く国の保険から
請求する方が容易だからなのだと思います。
価格を下げて患者数を増やすという選択肢(診察時間は短い)と、
医療サービスの質を上げて患者一人あたりから得られる
報酬を増やすという選択肢(診察時間は長い)の違いは
まさに、英国で国保のNHSの無料病院と
有料のプライベート医院の差であり、
日本でも保険適用外の医院(漢方など)では、
価格が高い分、患者一人一人にかける時間は長い筈です。
またローカルな感じの個人開業医などでは、
親身でご近所話の時間もある先生もおられます。
アメリカの新医療保険制度は英国国保のNHSを
手本に考えているようですので、
米国でも将来、このような差別化が起きるかもしれません。
日本に関しては、国保とはいえ、何割負担の有料であり、
国保とプライベートの両性質を兼ね備えており、
サービス自体は先進国の中では良い方だと思います。
米国は国保もなく、診察料も高いので、
医師免許も取りやすいこともあり、逆にいえば、
暇で時間をかけた診察のできる医院も多いという
ことなのかもしれませんが、実際に米国で、
旅行留学保険でプライベート医療を受けた経験上、
普段住んでいる英国の国保またはプライベート医院と、
日本の健康保険の効く普通の病院と、
米国のプライベート医院の中では、
日本の病院はそんなに悪くない方だと感じました。
米国の高級住宅地の開業医は、高いので
確かにあまり混んではいませんでした。
しかし、そこでも、簡単な病気だと診察時間は
当然短いし、色々検査や説明が必要な場合は当然
診察時間は必要に応じて長引きます。
がらがらの米国の病院で、サービスの
カウンセリングに毎回必ず30分も時間を
かけてもらうより、こちらも忙しいので、
効率の良い日本の病院でなるべく早く
診察を済ませたいのが本音なのですが…(^^;)
(メンタル系のカウンセリングなら、
一定の時間はかけた方が良いのでしょうけど…)
英国国保では、病状についての印刷物を
「読んでおいて、質問があったら来て」と
手渡されます。これは、国保で無料で、
人気があって混んでいるために、医師が
患者に費やせる時間が限られている為、
より重病の患者さんのために
時間配分をしているのだと思います。
日本の国保は一部負担なだけに、
ここまでの扱いはされないし、
米国では全部負担だから、
こんなことは考えられないけれど、
実際に高額な米国の医療は社会問題に
なっていますので、一長一短だと思います。
安価な保険の多くは、だいたいかかりつけ医をあらかじめ決めておき、まずそこにかかってから必要であれば専門医を紹介してもらうという形になります(HMO)。もっと良い保険になると、好きな医者に自由に予約を取って診てもらうことができます。
かかりつけ医も専門医も原則完全予約制なので、医者が診る患者数は絞られます。患者としても予約時間に行けばほとんど待たされずにすみます。そのかわり、望む先生にかかりつけになってもらえなかったりということがあります。診察時間ですが、私がかかっているかかりつけ医だと10分くらいですね。専門医は確かに30分くらいかけて丁寧に診てくれる医者もいます。
なお、緊急事態の場合は病院のエマージェンシーに行ってくれ、と言われます。エマージェンシーは予約無しで診てもらえますが、名前とは裏腹に何時間も待たされることになります。
丁寧なコメントありがとうございます。やはりNazeNani様のご意見では、日本の制度では、患者一人あたりから得られる報酬が相対的に限られるために、病院経営という観点から患者数を増やす方向に向かいやすいというご意見ですね。これは主に病院経営上の問題により、患者数を増やさざるを得ないために、必然的に診察時間が短くなるという理解で宜しいのでしょうかね。
わたしとしては、NazeNani様も最後に触れられているように(ls_10_5 様もコメントされてました)、アメリカは皆保険ではないので無闇に医者に行かないために、医師あたりの患者数が少なくなるという可能性も引き続き気になります。
病院経営的に病院側の方で患者数を増やしたいために診察時間を短くするという要因が大きいのか、患者が多すぎてすべてをさばく(いやな言葉でごめんなさい)にはひとりあたりの診察時間を短くせざるをえないという要因が大きいのか、どうなんでしょうかね。
システムとしての保険制度の破綻を招かない範囲で、質の高い医療が受けられるような仕組みというのを考えていかないといけないのでしょうけど、限られた財源の中で、何を要求すると何をあきらめなくてはならないか(逆に何を我慢すれば何が得られるのか)というあたりの整理が必要な気がしますね。
厚生労働省などが、素人でも理解可能な保険制度の解説や国際比較などの情報を誰でもアクセスできるような場所に用意してくれるといいと思いました(もちろんあるところにはあるのでしょうけど)。イギリスの制度の存在なども知らなかったので、今回色々教えていただいて参考になりました。
アメリカの事情について貴重な情報ありがとうございます。日本の保険制度に慣れていると、アメリカなどのプライベート医療というものの実態がなかなか実感として理解しにくい部分があります。アメリカは若年人口が日本に比べて圧倒的に多く、日本よりも皆保険制度をうまく機能させやすい気もするのですが、なかなか導入が難しいようですね。このあたりも少し勉強してみたくなりました。
わたしが質問文で「専門家以外お断り」的な一文を入れてしまったために、回答欄でのエントリーを難しくさせてしまったみたいでちょっと反省しております。それぞれコメント欄では申し訳ないような貴重な情報でしたので、メジャーリーガを鳴尾浜でプレーさせてしまっているようで恐縮しております。できれば、ポイントの支払いをしたいので、お手数ですが回答欄の方に登録だけでもしていただけないでしょうか。新しい情報はもちろん求めませんので。
コメント読みましたよ。本当に大変なんですね。ただ、アメリカで大家してらっしゃることの凄さにまず仰天し、しかも、そのo-yaさんが恐れるような妹さんがいらっしゃるということに衝撃を受け、どんだけ突進力のある家族なんすかー、ということに気を取られて呆然とし、在米日本人の悲哀にちゃんと感情移入できなかったのも事実です。大家様ブログでコメントなさってた方ごめんなさい。脱線コメントですみません。
>診察時間を短くするという要因が大きいのか、
>患者が多すぎてすべてをさばく(いやな言葉でごめんなさい)には
>ひとりあたりの診察時間を短くせざるをえないという要因が大きいのか、
>どうなんでしょうかね。
高齢化社会で国保が一部負担の日本に関して言えば、おっしゃる通り、人口の多いエリアの大きな病院などでは「患者が多すぎてすべてをさばく(いやな言葉でごめんなさい)にはひとりあたりの診察時間を短くせざるをえないという要因が大きい」のもあると思います。医療技術の効率化が計られており、医者あたり、一日に看れるであろうぎりぎりの数まで患者を入れている状態だと思います。
またまたありがとうございます。「医療技術の効率化」で質を落とさずに診察時間を短縮できるとすれば最高ですね。そうなると絶対的な診察時間の長短で善し悪しを判断するという考えがそもそも問題ありなのかもしれません。ls_10_5さんが回答の中で紹介してくださった記事(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080324-OYT8T004...)にも、「長ければいいわけじゃない。必要なやりとりを、手を抜かずに早く終えるのも熟練した技術だ」とおっしゃっているお医者様がいらっしゃいましたしね。
また「医療技術の効率化」が高額な医療機器に依存しているとすると、それが収益を圧迫する要因になってしまうので、病院側が規模に不釣り合いの設備を導入して自分で自分の首を絞めて、結果的に診療の質を落としていないかなどのチェックも必要かもしれません。
http://d.hatena.ne.jp/matasaburo/20090206/1233907577