そして、霊長類は早成・離巣の特徴をもつのに、ヒトだけが二次的に巣に留まるようになった、それも極めて長い期間。ここに人類の最大の特徴があるというのです。
他の巣に留まる哺乳類としては、ネズミ、猫、ライオン、犬など、肉食獣や小型肉食獣が多い。
ヒトは、(1) たまたま巣に留まるようになった(洞窟などの環境に遭遇して)と考えることもできるし、(2) 肉食性が強まって、巣を求めるようになったとも考えられます。
1と2のどちらの考えがもっともらしいでしょうか。1でもなく、2でもないという考え方はありますでしょうか。
http://lib.t.u-shizuoka-ken.ac.jp/lib/1satu-sabashi.htm
産まれてすぐに、親や祖父母から、かわいがられることが、人間にとっていかに大切であるかということですよね。
核家族の時代、ヒトは不幸になりました。
南アフリカの自然思想家でユージン・マレースは、シラアリやサソリの出産においても、陣痛があることを観察し、陣痛は生まれた子どもをしっかり面倒をみるようにメスに刷り込むためのものであると結論します。
「お産が大変」なのではなく、「子育てが大変」であることを肝に銘ずるために、陣痛、産みの苦しみがあるというのです。
また、閉経後のメスが生きながらえるのも、孫の世話をするためだという説もあります。
それくらいヒトという生物は、独特の産まれ方をし、独特の手間ひまかけた育て方を求められているらしいのです。
人間は、脳が発達していて、頭が大きいですけど、二本足で歩くためには、腰幅が狭い方が良いですから、脳が未熟な状態で、頭の骨が完全に繋がってない状態で産まれます。
それでもお産は大変です。
脳が未熟なので、産まれた直後は動けないので、安全な巣が必要です。
父性:移住=草食→狩猟 …… (0) メスと食糧を求めて放浪した。
中性:転住=雑食→寄生 …… (1) たまたま巣に留まるようになった。
母性:定住=肉食→農耕 …… (2) 肉食性が強まって、巣を求めた。
ヒトが巣に留まるのは、他の哺乳類とはかけ離れた大脳新皮質の進化による、社会性の獲得が要因ではないでしょうか。
ヒトの大脳新皮質、特に前頭葉連合野の進化は、他の哺乳類に比べてとても発達しています。これが、ヒトの行動を他の動物とは異なった様式にさせているのだと思うのです。
動物の胎児数には、育児の容易さと相関する筈なのですが、霊長類の胎児数は殆どの場合1です。これは霊長類の育児の難しさを象徴しているようにも思えます。
大脳の進化と育児の難易さが、社会性の獲得と相互に強く結びついて、ヒトの今日の生活様式が出来上がったのではないでしょうか。
また、ヒトの歯や消化管を見る限りでは、ヒトは肉食性が強いとは思えません。生肉なんて食べられませんし。
ここで言う『巣立ち』とは、移動が可能か否かを指す様で、我々が一般的に持つ『巣立ち』=親に頼らず独力で生活可能になる状況とは意味合いが違うようですね。この場合は自立的に母親のおっぱいを飲みにいけるか否か、という事のようです。この辺を良く整理しておかないと難しそうです。で、人間は運動能力がほとんどない状態で生まれてくる事から他の霊長類が『離巣性』であるのに対し、『就巣性』である、と論じているようです。
んで、ポルトマンは哺乳類の赤ちゃんが自分の力で母親の母乳を吸いにいける状況になった時点こそが本来出産されるべき時点と考え、人間の赤ちゃんはそれを行うに1年ほどの期間がある事から、本来であれば人間は600日ほど母体内にあるべきであると結論付け、これより『早産』であるとしたようですね。(原典を読んでないのでなんとも不安ですが)
んで、この場合の巣というのも、そういう意味の『巣』ではなく、親の介助が必要か否かをさす言葉であり、育児期間がどうか、と言う意味でもなさそうです。
ですから、この場合、巣を持つか否かという議論は無意味であるように思われます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%86%E3%83%8...
wikipediaを見ると、ネオテニーになると脳や体の発達が遅くなるみたいですね。
ヒトがチンパンジーのネオテニーだとすると就巣性になったのはそのことと関係してるかもしれません。
でも、直立二足歩行していたのは、直立猿人や北京原人、ネアンデルタール人なんかもそうです。アウストラロピテクス・アフリカヌスも。
彼らは巣を持っていなかった、というか、彼らは脳が巨大化していなかった。
と、考えると、直立二足歩行で「早産」というのはちょっと違うと思います。
ポルトマンの説を「生理的早産」ととらえる人が多いですが、ヒトの妊娠期間はきわめて長いのであり、早産とは呼べないと思います。
霊長類は、早成で、大人のミニチュアのような形状で生まれてきます。ヒトの場合には、あたまでっかちで、胎児は脳を極大化すべく、その分手足の発達を抑制して生まれてくるようです。
2足歩行を始めて、胎児を子宮にとどめておくことが難しくなり、早産ぎみになってきて、胎児の状態で生まれるようになってしまった。
このため、巣を持たざるを得なかった。
ところで、霊長類は早成・離巣なんですか?
チンパンジーなんかは巣を持って、結構長い間育児をしているのかと思っていました。
肉食性になることと、赤ちゃんが無力な時期を過ごすことの間に因果関係はあるでしょうか。
効率がよさそうな気もしますが、
成長に時間をかけられるのは、肉食獣のほうなのですよね。
・もし草食獣で未熟児であった場合、
肉食獣から逃げ切れないことも多いのではないかと。
・肉食獣で物凄く早熟であると、
親兄弟を捕食しかねない...?
# 人間の場合、
「道具を使う動物である」
(正しくは「道具を作り出す道具を使える動物である」ですが)
ということがあります。
そこで、道具だの食物だの、
同人誌やらフィギュアやらブランドもののバッグやら(?)
集めて保存しておく収集癖が強かったため、
定住性が生じたのではないかと。
よく「イヌが骨を埋める」ようなもので...。
ネタでない質問なのにネタっぽくなってしまいました。
>1962年、45歳の彼は<
高木 正孝 登山/心理学 1913‥‥ 東京 Tahiti 1962‥‥ 49 /失踪(満48~故50)
http://www.dotbook.jp/dotbook/details.php?id=VOYG99992
Portmann, Adolf 動物学 18970527 Suisse 19820628 85 /
http://en.wikipedia.org/wiki/Adolf_Portmann
>
>ところで、霊長類は早成・離巣なんですか?
>チンパンジーなんかは巣を持って、結構長い間育児をしているのかと思っていました。
霊長類は晩生→早成→晩生(2次的就巣性)と進化したという仮説があるようです
>霊長類の歯牙年齢と骨格年齢
>濱田 穣 京都大学霊長類研究所
>ヒトの特徴的な発育パターンの進化をさぐることを主目的として,
>霊長類の様々な種の発育パターンが比較・研究され,系統発生学的
>検討が古くから行われている(例,ポルトマンの2次的就巣性仮説など。)
http://biking.taiiku.tsukuba.ac.jp/auxology/kenkyukai/AUX3hamada.html
まず
>晩成鳥であるツバメは、どうして高く、遠くまで飛べるのでしょうか。
>他の鳥に比べて、何か特別に発達した器官あるいは筋肉があるのでしょうか。
http://q.hatena.ne.jp/1236736141
の回答にもあるように,
樹上性の鳥類のように『子にとってエサを得にくい環境』では晩成性が進化するようです
>海鳥は自分で水面下の獲物を急降下して捕ることができるほど,
>飛ぶ力がつくまで島で育てられる必要がある.どんなにたくさん
>の魚が周囲の海にいても,その時までそれは利用できないのだ.
>森林環境においても,木の上のヒナは飛ぶことができるか,少な
>くとも枝から枝へ跳びうつることができるようになるまで,エサ
>を獲得することはできない.木になっている果実の多くは彼らに
>は利用できないのだ.
(『rーk選択説への批判』伊藤嘉昭)
「エサの採り方を教えながら,子を引き連れて歩く」のと
「巣の中で待ってる子にエサを与える」のとでは,
後者の方が子一人あたりの親の負担を大きくなり,
実際,後者の方がクラッチサイズ(1巣卵数)が小さくなる傾向があります
前者が可能な条件であれば,
親はたくさんの子を産むことができ,子は早成になるになるでしょう
これに対して,哺乳類は初期の子のエサは親に完全に依存していて
『子にとってのエサを得やすさ』という要因から,ある程度は解放されます
ここで親が出産できる子の大きさが制限となる
晩成性(=『生理的早産』)が出現するわけです
初期の小型哺乳類は昆虫を主食とする夜行性で巣を持っていたと考えられています
妊娠期間が短いため,子は小さく無力な状態(晩成性)で生まれてきました
この特徴はネズミキツネザルなどの小型の原猿類にも見られます
(以下,原猿類の生態については『マダガスカルの動物』(裳華房))
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4785350407/250-2921473-7561033
これに対して,現存する霊長類の多くは身体も大きく,昼行性で,
子は生まれてすぐに親に掴まることができる
相対的に早成な状態で生まれてきます
おそらく,原猿類の祖先はネズミキツネザルのような晩成性で
そこから身体の大型化とともに早成性の原猿類が進化していったのでしょう
子が早成になることによって,
母親は授乳のためにいちいち巣に帰る必要がなくなり,
行動範囲が拡がりました
赤ん坊を連れて歩けるようになったため,
昼行性や植物質のエサの利用といった新たなニッチに進出できるようになったわけです
(この早成性の獲得(妊娠期間の延長)によって,
霊長類は単独性から様々な社会構造へと発展していったのでしょう)
ところが,エサの種類が多様になってくると,
今度はエサを獲得するための技術習得に学習期間が必要になる種が出てきます
つまり,離乳後の『子にとってのエサを得やすさ』がまた大きな問題になるわけです
例えば,アイアイの妊娠期間は約170日で.
他の中形~大形の原猿類
(ヴェローシファカ154~160日,ヒガシアヴァヒ約155日,
ワオキツネザル約135日,ハイイロジェントルキツネザル約140日)
と比べて決して短い方ではありませんが,
子供の発達は(原猿類としては)かなりゆっくりで,晩成です
生後三ヶ月は巣の近くから離れず,母親が穴をあけた乾果などをねだり,
約十八週目になってやっと自分で朽ち木の中の幼虫を探す努力を始めます
飼育下では生後1年たっても相当量の食物をおねだりで獲得し,
ときには母親の乳首を吸うこともあります
これはアイアイが固い種子や立ち木や倒木内に隠れている幼虫などの
『構造的に防御された』食物を主食にしており,
特に,木の中の幼虫を探すタッピング技術の習得のためには
長い学習期間が必要なのでしょう
霊長類が利用するエサとしては,「昆虫」「果実」「葉」などがありますが,
中務真人によれば,各々:
「昆虫」は栄養価は高いが,多く集めることが困難で,体サイズの大型化が難しい
「果実」は糖を多く含むが蛋白質が少なく,分散分布で季節性もあり,資源量が不斉一
「葉」は蛋白質が多く,多量に均一に分布し,果実ほど季節性もないが,
繊維や二次生産物(有毒なものも多い)を含み,消化には特殊化が必要,
などの特性があります
例えば,資源量が豊富な葉食者は体サイズを大きくできますが,
「長い消化管」などの特殊化が必要だということです
http://anthro.zool.kyoto-u.ac.jp/member/nakatsukasa/syllabus/4.pdf
ヒト上科(ヒト,類人猿)とオナガザル上科で比較すると,
オナガザル上科の方が葉食に特化した形質(剪断機能を持つ大臼歯等)を持っており,
食性に関する限り,ヒト上科の方が「原始的」と言えます
http://anthro.zool.kyoto-u.ac.jp/member/nakatsukasa/syllabus/6.pdf
また,ヒト上科内で小腸と大腸の容積比をみると,
ヒトは他の類人猿(テナガザル,チンパンジー,オランウータン,ゴリラ)に比べて,
小腸が大きく大腸が小さいという特徴があり,これは脱植物食の傾向を表しています
http://anthro.zool.kyoto-u.ac.jp/member/nakatsukasa/syllabus/8.pdf
獣肉食に特殊化していなかった初期人類は
肉食獣の食べ残しを利用する屍肉食だったのかもしれませんが……
http://anthro.zool.kyoto-u.ac.jp/member/nakatsukasa/syllabus/7.pdf
とにかく,ヒトは成長期が長い(晩成性で性成熟までの期間も長い)
『遅い生活史』を持っているというのは事実のようです
その理由として,
中務真人は
「ヒトは成体の捕食圧が低いので,繁殖時期を早めるメリットが小さいため
遅い生活史を持つ」と考えています
私は(原猿類の中でアイアイが晩成性になっているのと同様に)
伊藤嘉昭の『子にとってのエサを得にくさ』という考えから,
「ヒトは(エサの種類が多様なため)エサを獲得するための技術習得に学習期間が必要になるため,
類人猿よりも晩成性になっている」と考えています