1.自己破産・個人再生の手続きの際に、弁護士、裁判所、債権者等が調査や確認のために勤務先等に連絡を入れ、自己破産・個人再生をしようとしている事が知られてしまうといったことはないのでしょうか?
2.また、将来的に転職等をした際に社会保険等の手続き時に過去に自己破産・個人再生を行ったという事が勤務先に知られてしまう可能性はあるのでしょうか?
3.担当してもらっている弁護士に、任意整理しようとすると1債権者につき手数料が52,500円、5社で262,500円を一括で払ってほしいと言われたようですが相場としてどうなのでしょうか?(高くないのか、分割支払を要求できないのか)
4.質問者としては官報に載らないよう任意整理で考えてほしいのですが知人は借金生活(親の借金が原因です)にすっかり疲れ自己破産あるいは個人再生の方向でいきたいようです。説得する方法はないでしょうか。あるいは質問者が心配しすぎなのか、皆様の考え・体験をお聞かせ願いたいです。
Q1.自己破産・個人再生の手続きの際に、弁護士、裁判所、債権者等が調査や確認のために勤務先等に連絡を入れ、自己破産・個人再生をしようとしている事が知られてしまうといったことはないのでしょうか?
裁判所や弁護士が確認の為に勤務先に連絡を入れる事はあると思いますが、訴訟事案について第三者に漏らす事はないと思います。
弁護士や裁判所の職員には守秘義務がありますので、原告(弁護士からすると依頼者)の不利益になる様な事はしないはずです。
ただし、債権者は私人ですので取り立ての為に勤務先に電話するという事は良くある事です。
そちらから自己破産・民事再生の申し立てをしている事が分かる可能性は否定できません。
ただし貸金業法第21条(取立て行為の規制)に過度に勤務先に電話する事は禁止されているので、しつこく勤務先に問い合わせをする事はないと思います。(貸金業法第21条3)
自己破産・民事再生の申し立てが裁判所に受理されますと、その時点で債務者への直接連絡は禁止されています。(貸金業法第21条10)
貸金業法(取立て行為の規制)
第21条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
1.正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
2.債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
3.正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
4.債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
5.はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
6.債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
7.債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。
8.債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。
9.債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
10.債務者等に対し、前各号(第6号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。
Q2.また、将来的に転職等をした際に社会保険等の手続き時に過去に自己破産・個人再生を行ったという事が勤務先に知られてしまう可能性はあるのでしょうか?
自己破産・民事再生が認められると、その旨が官報に掲載されます。(詳しくは実際に官報をお読みになると分かります。 官報は大きな図書館には必ず常備しています。)
官報自体はだれでも購読できるのですが、実際に購読するのは一部の人に限られます。
裁判所の訴訟記録は第三者には公開されません。
以上の事から勤務先を含め第三者に自己破産・民事再生の事が漏れる可能性は極めて低いと思います。
(官報には必ず掲載されますので、100%秘匿できる保障はありません。)
Q3.担当してもらっている弁護士に、任意整理しようとすると1債権者につき手数料が52,500円、5社で262,500円を一括で払ってほしいと言われたようですが相場としてどうなのでしょうか?(高くないのか、分割支払を要求できないのか)
弁護士への報酬(手数料)は各々の裁量で決められていて、決められた価格がないのが現状です。 一概に高いから良くて、安いと悪い訳ではありません。 あくまでも弁護士の考えひとつです。
あまりにも報酬額が高いと思われるのであれば、他の弁護士さんにも相談してみるのも一考です。 (ネットで見る限り、債権者1件につき3万~5万円程度の様です。)
弁護士への報酬以外にも、訴訟を起こすために支払う手数料(収入印紙で納めます。)、予納郵券(あらかじめ決められた郵便切手を裁判所に預けます。 訴訟終了後に精算し、余れば返還されます。 足りない場合は不足額を納めます。)が必要になります。
もしも、訴訟を起こすだけの費用がないのであれば、法テラス(日本司法支援センター)の「費用立て替え制度」というものがありますので、一度ご相談してみてください。
ただし、弁護士によっては「費用立て替え制度」が使えない場合がありますので、その点はご確認下さい。
Q4.質問者としては官報に載らないよう任意整理で考えてほしいのですが知人は借金生活(親の借金が原因です)にすっかり疲れ自己破産あるいは個人再生の方向でいきたいようです。説得する方法はないでしょうか。あるいは質問者が心配しすぎなのか、皆様の考え・体験をお聞かせ願いたいです。
民事再生・自己破産が認められますと官報には必ず掲載されます。 しかし、官報を購読している人はごくわずか(金融機関や法律職の人、行政職の人など)なので、通常は官報から情報が漏れる可能性は低い(0とは云えない)でしょう。
裁判所から破産宣告がされると官報の掲載される上に、本籍地の市町村役場に破産宣告の通知が行きます。 市町村役場はその旨を破産者名簿に掲載します。
破産者名簿というのは、市町村役場が発行する身分証明書(禁治産、準禁治産の宣告・成年被後見人の登記・破産の通知の有無が記載されています。)の内容を記載する為に必要なものです。(民事再生の場合は関係ありません。)
身分証明書というのは、破産者がなれない業種や取得できない国家資格、成年後見人になる為の証明書です。
破産の免責がされると破産者名簿から抹消されますし、身分証明書から破産者の通知があった事も抹消されます。
自己破産のデメリットや自己破産・民事再生については下記のHPに詳しい記述がありますのでご一読下さい。
http://sim.fc2web.com/rooba/seiri/
上記のHPをご覧になると分かりますが、自己破産をしても借金が一定期間できない、再度借金が払えなくなっても免責が下りない、特定の資格が取れない・職業に就けないなどというデメリットがありますが、一般生活に支障がでるものではありません。
それどころか、自己破産が認められて免責されると、負債が免除されますので今後の生活が楽になるはずです。
民事再生にしても、支払う負債額が少なくて済む事や、支払い期間の繰り延べができるので、こちらも今の生活よりはずいぶん楽になるはずです。
個人でも金融業者と交渉して、民事再生の様に和解交渉ができると思いますが、多分金融業者が優位になる様な条件になると思います。
(元本・金利の減額幅が少なかったり、今後の支払いが滞る場合には強制執行ができる様に公正証書を作成するなど)
債務者が有利になる様にするのであれば、弁護士や裁判所を通すべきだと思います。
実際問題、弁護士に債務に関することを受任してもらうだけで、個人への取り立ては確実にストップしますから、精神的にも楽になるはずです。
(個人での交渉では、金融業者の取り立ての電話や直接交渉で精神的な疲労は大きいと思います。)
質問4でお察しと思いますが、質問者は、なるべく「自己破産・個人再生」の実際的なデメリットを知りたい、もしくは逆に安心材料を提示してほしい、という矛盾した気持ちでいます。
「実際的な」とは、『7年経てばカードは作れるとは聞くけれど実際には作れないことも多いらしい』『官報以外で第三者に破産の事実が知れ渡ることはないというが実際は・・・』といった、ケースバイケースで、実際にあった、ありえるデメリットをなるべく多く知っておきたいというような意味合いです。身内・近所・勤め先・同僚・友人・・といった卑近な知人バレ、就職の不利益については特に知りたいです。
※就けなくなる職業がある、官報以外に信用情報やブラックリストに載るといった一般的なことはわかっているつもりです。
ご回答をなにとぞよろしくお願いいたします。
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回答では自己破産について書きましたが、知人の方が居住用の土地家屋をお持ちであり、なおかつその土地家屋を手放す事を考えていないのであれば、民事再生・特定調停をお勧め致します。
自己破産では、債務者が持っている資産については原則として売却しなければなりません。(一部例外があります。 日常最低限に必要な現預金・家財道具などは除きます。)
民事再生・特定調停・自己破産の手続き、メリット・デメリットについては以下のサイトに詳しく書いてありますので、ご一読下さい。
http://homepage3.nifty.com/yonemochi/seirisyurui.html
米持司法書士・行政書士事務所・債務整理の方法と種類