DNAの塩基配列やたんぱく質のアミノ酸配列はX線で解析すると、3D構造にすることができるように聞きました。
そこで「味」も3D構造にしてコンピューターで視覚化することはできるのでしょうか?
人間は、鼻腔や舌にある、香りや味を感じる細胞で、香りや味を感じ
ている訳ですが、それらの細胞が持つ化学受容体の分子の、受容基と
呼ばれる部分に、形状的に対応する、味の分子が、ちょうど「はまる」
ことで、味、あるいは、香りを、検出しています。
鍵と鍵穴のようなもので、甘味を感じる「鍵穴」に、ぴったりはまる
「鍵」が入ったとき、甘いと感じることになります。
甘味が何%で、酸味が何%といった数値を、グラフ化するのではなく
甘味いと感じさせる、分子の形状を、コンピュータグラフィックス等
で眺めることは可能です。
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北大総合博物館 の「分子のかたち展出展 2008」の記事の一部、
http://www.ecosci.jp/sciart08/
甘味物質の秘密(Jmol版)
http://www.ecosci.jp/chem8/fit03j.html
に、ちょっと説明不足気味ですが、甘味の場合の説明があります。
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あるいは、下記の「有機化学美術館」の
http://www.org-chem.org/yuuki/yuuki.html
おいしい化合物 あたりにも、味の分子模型が載っています。
http://www.org-chem.org/yuuki/taste/taste.html
味に関しては、受容体の種類は、数種類しかないようですが、
香りに関しては、かなり多種の受容体があるようです。
「有機化学美術館・分館」には、雨の匂いの分子なんてものを出ています。
http://www.joseph-emberton.com/
味は 塩辛い・酸っぱい・甘い・苦い・旨い の5成分から成り立っています。塩は塩化ナトリウム、酸っぱいは酢酸やクエン酸などの酸、甘いは糖質とある程度成分がしぼれてくるのですが、旨いは核酸分解物とアミノ酸・ペプチド類、苦いにいたっては200種類ほどの物質が関与しているといわれておりまして、各成分の数値化・3D構造の提示というのは極めて困難であるといえます。
http://allabout.co.jp/gourmet/cafegohan/closeup/CU20070630A/
http://www.jst.go.jp/pr/info/info399/
味の見える化という意味では、旧来より官能試験等が行われており、これは人が実際にその食品を食べてみて、その各々がある一定の要素を評価し、これをレーダーチャートやX-Yプロットで表現するという事が行われており、これを機械化し、客観化するという努力も行われています。
ただ、これに関しましてもやはり味というのは5成分という事ですので3次元表記というのは難しいような気がします。