1.伝承 ~ アバタがエクボに ~
かつて「あの写真館が上手い」という評価は、いかなる不美人も美人
に変貌させる技術を指していました。人物写真には、撮影・照明・背景
に加えて、レタッチ(現代はメークアップ)が不可欠だったのです。
なるべく大型カメラ(暗箱)で撮影し、原版の裏から鉛筆でなぞって、
ニキビやシミを消すのが基本です。だんだんエスカレートして、出っ歯
や薄毛まで(頼まれなくても気をきかせて)腕前を競ったようです。
そもそもは、戦死者の遺影を、生前の写真をもとに修復する必要から、
映画俳優のブロマイドや、週刊芸能誌の製版を経て、現代のCG描画に
いたるものです。器用な日本人は、いまなお世界水準に君臨しています。
2.回想 ~ 眉目秀麗、憂いに沈んだ表情 ~
「戦前の写真館では、似ても似つかないほど、修正された」
「したがって、このボクだって、二枚目になれる」
「背景に、描割り(かきわり)があり、月などが出ていたりする」
重森 弘淹(武蔵野美術大学教授)講義録より。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030302
知的キャバレー
3.実録 ~ 悲喜こもごも ~
── 立木 義浩・回想《なっちゃんの写真館 19800407-1004 NHK》
── 田辺 聖子・原案《芋たこなんきん 20061002-20070331 NHK》
── 田辺 聖子《田辺写真館が見た“昭和”200505‥ 文藝春秋》
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20051001
田辺家の人々 ~ 百歳の母 ~
http://www.geocities.jp/hanagoromo5/syowa.html
── 花岡写真館の当主(岸部一徳の扮する。町子の祖父)が、ペンや
筆を操ってネガの修整をしているシーンが映されていた。父(私の)か
ら漠然と聞かされていた写真修整の実態について、私なりに首肯するこ
とが出来た。嬉しかった。── ていわいの熟年時代
http://teiwait.exblog.jp/4275850/
古い写真のリフォーム(技術料金表)
http://www.fagi.jp/syusei.html
沓澤 信一郎:証明写真の撮影専門店 ファジィフォトのブログ