本当はコメント欄でご確認したいことなのですが、コメント欄が開いていないので回答に投稿させてください。確認事項は2件あります。
1. 「言語習得の臨界期」というとき、質問者さんが念頭においておられるのは「母語」ですか、それとも「外国語」ですか。それによって回答がまったく違ってきます。これまでの回答で既にオープン済みのもの6件のうち、回答としてある程度的確である4件(言語習得の臨界期について論じた文章のURLを示しているもの)は母語ではない言語についての文章です。
2. 「国際誌であると有難いです」の「国際誌」とは、どのような雑誌ないしジャーナルのことでしょうか。また、質問の意図としては、language aquisitionについて、英語で書かれた論文を回答するということでよろしいのでしょうか。(Language learningではないですよね。)
なお、現時点で3番目のご回答にあるAge of learning and second language speechという論文は、大変に興味深い内容ではありますが、この論文のテーマは「第2言語の発音」であり(つまり、「外国人っぽい訛り」なく第二言語が喋れるかどうか、ということ)、質問者さんが意図しておられる「言語習得の臨界期」とは異なります(質問者さんの「言語」が母語であれ第二言語であれ外国語であれ)。
1番目、4番目、5番目は同一のサイトからのものですね。これは中学校の英語教育に携わる方がセミナーで聞いた講演やお読みになった本などを元に書かれた文章で、学術的意味で「論文」と呼ぶ種類の文章ではありません。もちろん、ジャーナルに掲載されるような査読論文ではありません。
最後に、「臨界期」仮説についての説明文のURLです。筆者はAll Aboutで「TOEIC・英語検定」のコーナーを担当してきた中田さんという方です。
http://www.howtoeigo.net/naturalapproach.html
マサチューセッツ工科大学(MIT)の認知神経科学センター所長を務めるスティーブン・ピンカー教授は、人間の言語習得にも臨界期があることを示す具体例を、著書の中で2つ紹介しています。1つ目は、Genieの事例です。彼女は生まれた時から父親の虐待を受け、13歳になるまで実家の地下室に監禁され、言語とほとんど接触することなく育てられました。13歳になってから社会福祉員に発見され、長年にわたり社会復帰を目指して言語の訓練を受けたと言いますが、英語の文法を完全に身につけることはできなかったと言われています。
ピンカーのこの「著書」は1994年のもので、日本語翻訳も出ています。(既に16年も前の本ですのでご注意ください。)
ピンカーが例として取り上げている少女、Genieについては:
http://en.wikipedia.org/wiki/Genie_%28feral_child%29
「言語習得の臨界期」仮説(「臨界期はある」という証明はされてはいません)については:
http://en.wikipedia.org/wiki/Critical_period_hypothesis
Genieの件を含め、同仮説については、論文ではなく一般の書籍ですが、大津由紀夫『英語学習7つの誤解』(NHK出版、2007年)の「第4話」にわかりやすくまとめられています。この本には参考文献も非常に丁寧に紹介されています。
「臨界期」論は小学校英語義務化が議論・検討されていたときには
しきりに取り沙汰されていましたが、最近はほとんど聞きません。
鳥飼玖美子さんがご著書を語る中で触れておられます(2006年)。
http://www.bunshun.co.jp/jicho/shougakueigo/shougakueigo.htm
> たとえば、英語の早期教育を受けた子どもとそうでない子どもとについて、
> 中学・高校以降に追跡調査したところ、両者に差がないということが
> わかっています。せっかく「臨界期」を裏付けようとがんばった当の研究者が、
> この結果を見て、「この程度なのか」と認めてしまっているぐらいです。
ところで、回答文に重大なタイプ・ミスがあったので修正させてください。
ノートパソコンで入力していて、数字の打鍵がずれました。すみません。
△ 6件のうち、回答としてある程度的確である4件
○ 6件のうち、回答としてある程度的確である5件