ナトリウムイオンはなぜ、水酸化物イオンとの結合をやめて塩素と引っ付くのでしょうか?
水酸化という物質は、厳密にはありません。
ナトリウム(金属です)の塊を、水に入れると、激しく反応します。
(火が出るほど激しい反応で、危険です。)
その際、次の反応をします
Na+H2O(水) →NaOH(水酸化ナトリウム) + H(水素)
正しく化学式を書くと、
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2(水素ガス)
となります。水が、水素と水酸基に別れたわけです。
水素ガスが抜けちゃった分、水中にはOHが残っているので、
Na+ ・・・ OH- ・・・ H2O
という感じで、イオンが浮遊している状態です。
これが、水酸化ナトリウム水溶液で、水分を奪う(蒸発させる)と、
仕方なくナトリウムイオンと水酸基イオンがくっつき(電荷が逆だから、引力が生じる)、
結晶になります。
しかし、反応が起こる際には、水酸化ナトリウム水溶液中なので、水中には、
Na+ ・・・ OH- ・・・ H2O
バラバラになっています。
そこに、塩酸を加えます。
塩酸は、塩化水素(HCl)の水溶液です。塩素(Cl)はいつでも、パートナーの水素から電子をもらいたくて仕方がない状態です。そして、水中では水素から電子を奪って、逃走することができます。
Cl- ・・・ H+ ・・・ H2O
という感じにバラバラになります。
この、
Cl- ・・・ H+ ・・・ H2O
と
Na+ ・・・ OH- ・・・ H2O
が混じるわけです。ここで、OH-とH+に注目します。
これは、ナトリウムから電子を押しつけられたOHと、塩素から電子を奪われたHです。
OHは電子が要らないし、Hは電子が欲しい状態です。
水中でこの二人が出会うと、運命の糸に繋がれた恋人の様に、お互いに引きあって、
H2Oになってしまいます。すると、水溶液中は、
Na+ ・・・ Cl- ・・・ H2O
になってしまい、あたかもただの食塩水と同じ状態になってしまうわけです。
ナトリウムは、何にでもひっつくのではなく、
「俺の電子を受け取れ!」と高飛車なやなやつなんです。
また、塩素は「いつでも電子を受け取りまっせ。高く買わせてもらいますよ。」という卑屈な
奴です。
水分子は、この変な奴ら(ナトリウムや塩素)に振り回される立場で、
その結果、水溶液が酸性にさせられたり(H+過剰)、アルカリ性にさせられたり(OH-過剰)する
わけです。
ナトリウムイオンはなぜ、水酸化物イオンとの結合をやめて塩素と引っ付くのではなく、水酸化ナトリウムの水溶液中ではナトリウムイオンと水酸イオンに分かれている。そこに塩酸が加わって水酸イオンと水素イオンが結合して水になるために、塩化ナトリウムが残るだけ。
●化学魔の還元 [酸塩基編 8.中和反応]
>中和反応の本質はこの水ができるイオン反応にあるということが出来ます。
http://kagakuma.iza-yoi.net/sanenki/sanenki8.html
●第3節 中和反応
http://www.keirinkan.com/kori/kori_chemistry/kori_chemistry_m1/contents/ch-m1/2-bu/2-2-3.htm
●Master 化学I Contents
http://www.keirinkan.com/kori/kori_chemistry/kori_chemistry_m1/index.html