URLは、一応、Wikiの蝸牛について、リンクしておきますが、結構難解なので、なるべく簡単に解説してみます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9D%B8%E7%89%9B
まず、音を聞く能力についてですが、これについては、人間より動物のほうが優れていたりします。蝙蝠のように、人間が聞き取ることのできない波長の音を聞き取ることのできる動物もします。別に動物でも、子音や母音を音として聞くことはできるでしょうが、それを意味のあるものをして、聞いているかどうか不明です。人間の場合は、言葉として、音を聞き取るために、子音や母音を聞き分けて、言葉として認識できます。
さて、問題は、そのような微妙は音の違いをどうやって、違うものとして認識し、脳に伝えているかということになります。実は、まだ詳しいことは解明されていませんので、現時点で、予想されていることについて答えます。
音というのは、基本的に空気の振動です。それが、蝸牛内の鼓膜を振動させることによって、それに触れている有毛細胞が振動を感じ、細胞内部で、電気信号に変えることにより、神経細胞へ信号を伝え、脳へ伝えます。脳はその信号を言葉として認識します。ここで、問題は、どうやって、微妙な違いを、はっきりとした別の信号として脳に伝えられるか?なのです。一番、単純なモデルは、ピアノの弦のようにドレミファソラシドの音階によって、信号を区別しているというモデルです。高い音と低い音では、振動の周波数が違うので、それが、鼓膜のゆれ具合を変えて、有毛細胞が感じ取るシグナルを変えるというものです。
しかし、言葉などは非常に複雑で、かつ非常に微妙な違いです。単純な周波数の違いだけでは、区別するのは難しいと思われると思います。
そこで、近年、このような単純な周波数の違いだけでなく、どうやら、受け取った振動を、複雑な処理によって、認識している機構があることが示唆されています。Wikiの解説では、それらを線形に対して、非線形として表現しています。線形というのは、単純に言えば、小さな音は小さく、大きな音は大きな信号として伝えているいるということです。非線形というのは、単純な音でも、複雑な処理により、まったく違うものに変えてしまうというものです。一番わかりやすいのが言語です。質問にあったように、子音や母音を聞き分けてというのがまさにそうです、言葉は複雑ですが、単純な細かい音階に分けようと思えばできますが、それでは、非常に小さな違いしかないため、ひょっとしたら、一緒のもとして感じてしま可能性が大いにあります。蝸牛のシステムでは、特定の波長に対して、選択的にシグナルを強くしたり弱くしたりすることができるシステムになっていることがわかり始めてきました。メカニズムは、はっきりとは解明されていませんが、有毛細胞自体も振動しており、特定の波長と共鳴したりすることによって、微妙な違いも、非常に大きな違いとして認識し、信号を神経につたえていることが少しずつわかり始めているところです。
これらのシステムが人間特有か?といわれるとそうでもありません。基本的に哺乳動物であれば、ほぼ同じような機構を持っていると考えられます。微妙な違いを聞き分ける能力は、ほかの動物にもあると考えられますが、それらの複雑な音の組み合わせを、言語としてコミュニケーションの道具としてつかるようになったのは、聴覚の能力というよりは、人間の脳の能力といったほうが良いと思います。
人工内耳装用者による音素の同定課題はすでに行われており、
実際に弁別できるという結果が得られているようですよ。
CiNiiでざっくり探した範囲では例えばこんな文献が見つかりました。
「コンピュータを用いた音声知覚の測定 : 日本人の/ra/-/la/音の知覚と聴覚障害児(補聴器・人工内耳装用児)の英語の母音の知覚」
"A Computer Game for Audjtory Discriminatiotm in Foreign Language Learners and Hearing Disabled People"
(行動分析学研究 / 行動分析学研究 13(2), 100-114, 1999-03-31 / 日本行動分析学会)
<http://ci.nii.ac.jp/naid/110001229919>
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